第6話 武器選び
授業初日
今日はどちらかと言うと授業はオリエンテーションのような内容に近かった。
まずは専門知識を叩き込まれた。
「まずだが、私達が仕事としている『武器使職』は防衛機能『ディフェンサー』のひとつとなる」
昨日とは違い、私服を着た那瑠が教壇の上に座りながら言った。
すると黒板(ではなくスクリーンの方が正しい)が那瑠の言った言葉を映し、そしてその詳しい内容などを映して言った。
「ディフェンサーは数百年前、インサニティーの出現により生まれた法律、まぁもう少し馴染みやすいのでいうとプログラムのようなものだ。
武器使職はそのプログラムによって生まれた機能と思って貰えればいい」
真斗は那瑠が説明をしている中、真斗以外は話を聞くことに集中している中、真斗は他事を考えていた。
(こんなゴスロリみたいな服着て、説明されるとこっちは全く話を聞けないんだよな)
すると額に《赤く染まった水》がついた。
(えっ何こ⋯)
と原因究明を行おうとした瞬間、強烈な痛みに襲われた。
「イッタアァアァア!」
勢いよく真斗は椅子から崩れ落ち、額を両手で抑える。
(ん?なんだこれ?)
真斗は額に血ではない、他の異物が付いていることを感じ、血がついた両手を確認した。
「これって⋯⋯」
そこには灰色の金属が血の中に混じっていた。
「真神。何をボーッと聞いている?」
那瑠が容姿からは想像出来ない威圧を放ちながら真斗に言った。
「え?まさかこれロリババアが⋯⋯」
と真斗が言った直後、那瑠の右手がこちらに向き、そして青白い光を放つ。
「イッタァァァァ!」
またもや真斗に強烈な痛みが額に走る。
(まさかこれ⋯⋯このロリババアが!)
「なぁ、時雨。今何が起きた!」
真斗は時雨に問い詰める。
「えーと⋯⋯わかんない。先生がなんか黒板に書くペンを持った直後光ったのは見えたけど」
時雨達。謎の那瑠から攻撃を受けていない者達は那瑠の手が光ったのが見えていた。だがその直後、すぐに真斗が額から血を垂らし始めたのでどうやって攻撃したのかはわからなかった。
「ふん。授業を聞かず、無礼な態度をとっているからそうなる。私が可愛らしい容姿をしているからかは知らんが、これで学んで治すんだな」
那瑠は教壇の上から足を組み、腕を組みながら真斗に言い放った。
(自分がロリババアには気づいてるんだ)
真斗はそこが少し驚きだった。
「さて、話の続きだが、これから貴様達にはトランスミッションブラスターの色を決めてもらう」
(え?トランスミッションブラスター?」
話を聞いていなかった真斗は那瑠が言った言葉の意味が理解出来なかった。
その時、真斗は横からチョンチョンと肩をつつかれた。
「トランスミッションブラスターっていうのはね、武器使職が使う武器に埋め込まれてる仕組みで神経を一時的に強化を出来るんだよ。んでその強化する時にオーラを発するからその色を決めようってわけ」
理解不能な真斗に時雨は天から手を差し伸べた。
(いい友達持ったな俺)
自分の運に真斗は感謝した。
「おいそこ。何を話している?」
目を瞑りながら、那瑠は真斗と時雨に問い詰める。
「真斗くんがペン落としたので拾ってあげてたんです」
時雨は真斗が話を聞いていなかったのでトランスミッションブラスターについて教えたことを隠した。
「ふん。少しは気をつけるんだな真神」
何とかなったと安心し、時雨に頭を下げた。
そして時雨は「いいよ」と合図するかのように手を振った。
「さて、今から紙を配る」
那瑠は教壇から降り、教壇においてあった紙を配り始める。
「ここに自分のオーラにしたい色を書け」
紙には「自分の希望するオーラの色をお書き下さい」と丁寧にそれしか書かれていなかった。
「うーん、どうしようかな」
真斗はあんまり好きな色がないため、少し迷う。
「ちなみにこれは周りの奴らと相談して決めてもいいからな」
那瑠は中々動かない生徒のペンを動かすため助言をする。
すると教室が騒がしくなった。
それぞれの生徒が「俺は黄色」だとか「私は紫!」だとか色々自分の意思を友達などに示していた。
「時雨はどうする?」
真斗は隣に座っている時雨に聞いてみる。
「僕は青かな。まぁ時雨って名前だし。雨は水色とか青ってイメージがあるしね。僕の場合男だから水色だと女っぽいから青かなぁって」
色の決め方が具体的で真斗は感心した。
「真斗は?」
今度は時雨が真斗に聞いてきた。
「俺は⋯だな⋯」
(やばい。全く決まってないなんて⋯なんか恥ずかしい!)
少し真斗は冷や汗をかいた。
「私はピンクにしますよ。まぁ髪の色と同じですし」
突然真斗の横の通路、時雨と真斗の間ではない方の通路から可愛らしい女性の声が聞こえてきた。
声の主は新崎 桃だった。
「うーん、髪の色でいくと黒だしなぁ⋯⋯でもなぁ」
真斗は自分の中ではあまり黒ではない方がいいと思った。何故かはわからない。あまり影響されている色はない。だから黒でも良いはずなのに真斗はあまり好まない顔をした。
「んなら、赤は?」
時雨がなにかを閃いた顔をした直後、真斗に赤色はどうだ?と提案してきた。
「あんまり赤にしてる人少ないって聞くし、それなら真斗くんも別にいいんじゃないかな?」
真斗は少し考えた。
(赤か⋯血の色ねぇ⋯うんよし!)
真斗は決意を固めた。
「俺は赤にする!理由は⋯まぁないけどなんかピンときた!」
理由はない。血の色だからっているので少し迷ったが、自分の血を想像し、その血で人を助ければ良いのではと少し思いったがあまりはっきり根拠生まれなかった。だが、真斗にはしっくりくるものがあった。
「僕はそれでいいと思うよ」
「私もそう思います。赤色⋯情熱の赤とでも受け取れますしね」
時雨、そして桃も真斗の決意に異議を持ってはいなかった。
「よし!これで」
真斗は紙に「赤」という言葉を書く。このまま出せば真斗のオーラの色は赤となる。
「これでいいですね。後で恐らくお披露目会になるでしょうから少し楽しみです」
桃は両手を合わせながら、真斗、時雨、そして自分オーラの色が決定したことに対して喜びを顕にしていた。
「うーん!⋯はぁ。こりゃあ楽しみだな」
真斗は最初の試練を乗り越えた達成感のようなものがあり、少し喜んで、そしてこれからの展開を楽しみにしていた。
その光景を教壇から那瑠は見ていた。
(何とも大袈裟で無責任な奴らだが⋯これは楽しみだな)
那瑠は少しこの教室の将来を楽しみになってきていた。
数時間後、真斗達は少し前に入学試験を受けた体育館に来ていた。
そこにはあらゆる銃が置いてあった。
ハンドガン、ショットガン、ライフル。詳しい銃種はわからないが様々な銃があった。
「どれがいいのかな?」
真斗はライフルを色々なしてを見ながら言った。
「さぁねー、僕はショットガンにするからとりあえず好きなデザインのやつ選ぼうかなと」
と時雨は真斗の言葉に反応する。
「まぁそういうデザインとかでも決めてしまっても別にいいわけだ」
真斗は「よいしょ」と持っていた銃を置いて、息を吐きながらその場を立つ。
「これじゃあキリがないな⋯あれ?」
真斗は近くにいた桃に視線を向ける。
「桃ってもう決めたのか?」
桃はライフルだと思われる遠距離系の銃を両手で持っていた。桃は昨日真斗に自分は遠距離系の銃にすると宣言はしていた。
「はい。これが一番威力高いそうなので」
銃の横に色々威力等の詳細が書いてある紙が置いてある。だが真斗にはそれがどれくらいのものなのかわからないため参考にすることが出来ない。そして、そもそも銃の種類をどうするか決めていない真斗はどうしようもなかった。
「そうかぁ⋯はぁ。どれにするかホント決まんねぇ」
すると横から謎の気配を感じた。
(なんだ⋯⋯今の感じ)
真斗は横を振り向く。すると先程存在しなかった銃があった。形はハンドガン。拳銃だった。
「あれ?これさっきなかったよな?」
形は周りとさほど変わらないのだが少し赤い模様が入っていた。
真斗は銃の元へ行って座り、銃のあらゆる所を手で動かしながら見る。
「丁度赤だし⋯これでもいいかな」
真斗は銃を見るのを止め、両手で持ちながらその状態をずっと見るとそう呟いた。
真斗はその銃を持ちながら立つと時雨達と合流した。
「俺、これにするわ」
銃口を上に向けながら時雨達に見せた。
「拳銃ね⋯なんか凄くデザインカッコイイね」
時雨は持ち手が青のような色をした散弾銃を持ちながら、真斗の銃の感想を言う。
「私もいいと思います。」
桃も似たような意見を言った。
「さて、行きましょうか。あのカウンターのような場所で銃を提出して登録みたいなのをすれば良いそうです」
桃は体育館の入り口近くにあるカウンターを指指した。
そして桃がそこに向かって歩き出したので、真斗達は桃について行く。
そして、カウンターの前に立つ。
カウンターには人が4人ほど居り、その人達に渡せば良いらしく、真斗はその人達の前に立った。
「「「お願いします」」」
それぞれ同時に銃を差し出す。
「IDを入力してください」
するとテーブルの上にパネルが出現し、webのログイン画面のようなのがでた。
「えーと」
真斗は画面に表示されているキーボードを触りながら、入力を始める。
「終わりました」
真斗は入力し終わりカウンターの下で何かをやっている人に言う。
すぐには出てこなかったが少しすると真斗が持っていた銃を持ちながら上に出てきた。
「確認しました。これでこの銃は使えるようになります」
真斗はその人に銃を渡された。
真斗はゆっくりその銃を受け取る。
銃を少し動かしながら真斗はじっくり見つめる。
「ありがとうございます」
そう言い残すと真斗はカウンターを離れ、既に登録が終わっていた桃に合流した。
「おぉ、終わってたのか?」
「はい、少し前に終わりました」
「と言っても僕達の終わった時間はそこまで誤差がないけどね」
三人少し笑いを漏らす。
「終わったな、貴様ら」
笑っている真斗達に那瑠が近づいてきた。
「あ、ロリバ」と真斗が言った直後、ものすごく速い那瑠の蹴りを真斗は顔面に食い込まされた。
「ボェェエ!」と唾を口から垂らしながら、真斗は倒れ込む。
「少しは態度に気をつけるんだな、真神。このままだと私にヤられるぞ?」
真斗を含め、三人は少し背中がゾッとし、怖くなった。
「えっと⋯⋯先生?これから私達はどうすれば?」
空気を変えようと桃は那瑠に質問した。
「今から試しにトランスミッションブラスターを起動させてみろ。その後にチームを組んでそれを報告しろ。終わったら教室に戻れ」
と那瑠は言った。
「えっとロ⋯じゃなくて先生様?どうやって起動すれば?」
赤く染まった頬を抑え、痛そうに真斗は那瑠に聞いた。
「とりあえず指の神経に力を入れてみろ」
那瑠は拳を握りしめるような動作をしながら、真斗達に言った。
(指先に神経を入れる⋯⋯ねぇ!)
真斗は心の中で大きな声を上げながら、指先に力を入れ、銃を右手で握る。
すると、銃に触れている指先からものすごく力のようなものが体全体を走っていき、真斗の体が赤く光った。
「これは⋯⋯」
正確には真斗の体の周りが光った方が正しい。もしくは真斗が赤い光に包まれた方が正しいだろうか。真斗は赤く綺麗な光を放ちながら自分の体を見つめる。
自分の体はまるで汗が染み出ているのかと思わせるかのように赤い光を纏っていた。
「これは凄いですね⋯綺麗です」
ピンク色に光り輝くオーラを放った桃が感想を述べる。
「うん。結構カッコイイんじゃないかな」
銃を構えながら、オーラに感心する青いオーラを放った時雨がそう言った。
「よし、これでいいな。それでチームメンバー誰と誰だ?」
腕を組みながら那瑠は真斗達に聞く。
「えーと僕達三人と⋯」
チームは四人体制となる。そのためあと一人必要なのだが
(確か、あと一人は桃が連れてくるとかかんとか)
昨日、チームはどうするかという話をした時に桃があと一人は自分で連れてくるような趣旨の事を真斗達に言っていた。
(でも誰かはまだ聞かされてないぞ)
真斗が少し焦りながら思っていると
「すいませ~ん!遅れました!」
遠くからオレンジ色の短い髪に学校の制服を着た女子が走ってきた。
「あ、来ましたね。私達のチームになる最後の一人」
桃がそういうと女の子は那瑠の目の前までやって来た。
「ぜぇぜぇ」と荒い呼吸を膝に手をつきながらも、すぐさまその状態からビシッと体を真っ直ぐにして、那瑠の方を向いた。
「トイレ行ってて遅れました!このチームメンバーは私です!」
ものすごくハキハキとした声だった。
(わぁぁ。こんな元気な子見たことないわ。零もそこそこ元気だけどこんなに元気過ぎではない)
と真斗はその女の子の様子を見て思った。
「あ、真神 真斗さんと霧島 時雨さんですね!自己紹介遅れました!」
その女の子は真斗の方を向いた。
「私は
メガネをかけ、素晴らしい笑顔を見せながらうさぎは言った。
「あ、あぁ、こちらこそ」
少し動揺しながら真斗はうさぎに挨拶した。
「僕もよろしく」
時雨は真斗はとは違く、落ち着いた態度で挨拶した。
「はぁ、全く。お前らは何とも大雑把で無責任なんだ⋯⋯」
那瑠は呆れながらも少し笑みを浮かべながらそう呟く。真斗達を面白がっているのだろう。
「まぁいい。貴様らをチームとして承認する。今すぐ教室に戻れ」
那瑠は「あっち行け」と言うかのよう手を振りながら、去っていった。
「これからこのチームでやるのか⋯⋯運良くみんな銃の種類違うけど」
真斗は拳銃。
時雨はショットガン。
桃はライフル。
うさぎはマシンガン
真斗は少し安心感を感じていた。
(いろんな所にも対応出来るか⋯⋯全くこの学校に入ってからいいことずくめだな)
真斗はチームメイトの顔を順番に見ていく。
真斗達以外の三人はそれぞれ話すのに夢中で真斗が自分達を眺めているのを気づいていなかった。
「これからもこんな感じだといいんだがな」
真斗は自分の願いを漏らす。
「どうした?」
時雨が真斗の声に気づいた。
「いや、何でもない。さぁ、教室に戻ろうぜ」
真斗達はその後、教室に向けて、未来に向けて歩き出した。
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