第3話 入学試験
数百年前、白い螺旋状の痣が入った人間が暴れ回る事件が起きた。その時、警察が総動員で対処したが、被害者は1000万人超え、世界は涙と血を流し、絶望を感じていた。白い螺旋状の痣が入った人間を世界はインサニティーと呼んだ。
しかし、その事件から数ヶ月後、とある技術が確立されたことにより、絶望は希望に変わった。
トランスミッションブラスター。それに触れることで人間の神経を一時的に鍛え上げ、筋力、器用さ、瞬発力、判断力などを強化することが可能になった。
人間は刀や銃などに埋め込み、インサニティーの対処を可能とした。
インサニティーを対処するため、警察が手に負えない事件を解決すゆ為に防衛機能 ディフェンサーというのを作った。刀士、銃士、拳士と呼ばれる武器使職を作り、インサニティーに立ち向かった。そして時代の流れに沿いながら、ディフェンサーの武器使職の種類は増えていき、刀士、銃士、拳士以外のディフェンサーの武器使職は副士とまとめあげられた。
ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ
「あぁ、うるせぇ」
真斗は目覚まし時計のスイッチを切り音を止める。
「うぅ⋯⋯⋯⋯はぁ」
真斗はベットから降りると背伸びをし、大きく息を吐いた。
そして、勉強机と思わしき机においてあるカレンダーを見る。
1月20日。
銃士専門武器使職高等学校の試験日である。
約1ヶ月前、真斗は父と銃士になる約束をした。と言いながらも全く銃士になるための努力をしてこなかった真斗にとってはかなり緊張するものだった。
「とりあえず1ヶ月間やることをやったし⋯頑張りますかね」
と言いながら、部屋のドアを開き、下の階のリビングに向かった。
数時間後
広大な土地。ショッピングモールなどの娯楽施設、公演などの公共施設も揃っていおり、その奥には3つの大きな建物が見渡せる。ここは武器使職志望の子供達がそれぞれの職に就くために鍛え学ぶ場所「
ここは学園都市であっても都市ではない。元々この地名が「
奥の3つの建物はそれぞれ右から刀士、銃士、拳士の学校もなっている。副士の学校はそもそも副士が受けることは少ないことから大きな建物は存在しないが一応存在する。一般人はどこにあるかは知らされていない。
「広いなぁ~さすがディフェンサーの学園都市、空都」
黒いロングコート、首にマフラーをかけた少年、
家から空都市までは電車で約2時間そこそこと遠かった。そして真斗の街はここよりも田舎っぽいので、まるで田舎から都会へ出てきた若者ように興奮していた。
ここ空都市はディフェンサーの掛け持ちのため、ディフェンサーの学園都市と呼ばれる。別名として「ディフェンサー」と略して呼ばれている。
「えーと、銃士学校。銃士学校」
真斗は右手に持っていた地図を開き、銃士専門武器使職高等学校を探した。流石に名前が長いのでそれぞれ「
「おっと、みつけたみつけた」
地図に書いてある通路を指でなぞり確認しながら、試験会場である銃士学校を目指す。
試験会場
一つは筆記のテスト。武器使職は護衛任務など存在し、その際に護衛対象と話事が結構あるという。
その時に護衛対象に失礼のないように最低限の知識を持った人間を採用するために筆記試験が存在している。
二つ目は体力などの適応テストというものだ。銃士だと射的の正確さを図ったり体力がどれだけあるかを計測する。このテストに関しては学校によって試験内容は違う。これは筆記試験の次の日、つまり真斗でいうところの明日行うということになる。
(結構多いな⋯ざっと1万は超えてる⋯いや5千くらいか)
真斗の周りには人人人人。学生服を着た同じ年齢の子達が座り、試験が始まるのを待っていた。
ロングコートを脱ぎ、学ランで座っている真斗も同様だ。
(さて⋯⋯どんな問題が出るのだろうか)
そう思った直後に試験用紙(問題用紙と解答用紙)が配られた。
その10分後
「では始め!」
女性教官の合図でテストが始まった。
(あれ?⋯⋯⋯⋯⋯⋯これって)
真斗はテスト始まってすぐに違和感を覚えた。
周りの雰囲気とかそういうのが気になるという訳ではなく
(これ1ヶ月前の期末テストとほぼ内容同じじゃん!)
真斗は余りにもびっくりしてしまい、冷や汗をかいた。
確かに中学3年生の最後の期末テストというのもあり、総復習の内容にはなっていた。
前、真斗は「勉強したつけは出るかな?」と思ってはいたがここまで一緒な問題が多く出るとは思っていなかった。
そして真斗は順調に問題を解いていき
「終了!」
という合図でシャーペンを置いた。
その後テスト用紙は回収され、真斗は背伸びをした。
(これ⋯⋯楽勝じゃね?)
と心の隅で思っていた。
筆記試験終了後 真斗の家
「おかえりなさい。試験どうだった?」
玄関で靴を脱いだ直後、真斗の母が唐突に聞いてきた。
「うーん⋯⋯どうだろうね。結構埋められたけど」
「曖昧な答えだなぁ。受からないと父さん怒るからね」
「はいはい。連絡したと思うけどご飯食ってきたからもう寝るね。明日あるし」
「わかったよ」
真斗はその返事を母から貰うとゆっくり階段を登っていった。
「さぁ⋯真斗は受かりますかね?」
母はリビングにある机でくつろいでいる真斗の父に問いた。
「まぁ真斗はかなりの才能の持ち主だしな。前回の定期テストも良かったらしいし、大丈夫だと思うぞ」
父は自身たっぷりで言った。
父は真斗が防衛機能関係の職に就くこうという意志をかなり喜んでいた。
そのせいかいつもニコニコしている。
「そうですよね。大丈夫ですよね」
母もニッコリ笑顔を作って返した。
真斗の部屋
「射的か⋯⋯」
パジャマでベットに寝転がっていた真斗は呟いた。
「昔、
昔のことを懐かしみながら真斗はボソリと呟いていた。
だがそれと同時にとある気持ちを抱いていた。
(もし⋯銃士学校に入れたら⋯零と離れ離れになるのか)
銃士学校はここからかなり遠い。
というのもあるがそもそもあの学校達は寮制なのだ。
零とは長くいる。一時期、一緒にいない時期もあったが時間数的には刀士になった兄よりも長くおり、親の次に長くいる。
「寂しがるだろうな」
そう言うと真斗は枕に顔を押し付け寝た。
次の日 試験会場
「ふぅ~。準備体操で気持ち良いとか思う我。少しやばい気がする」
昨日は学ランだった真斗だが今日は運動しやすい服に着替えは 、準備体操をして伸ばした筋肉の気持ちよさを感じながら、試験を待っていた。
試験会場は銃士専用の体育館、練習場が多くあるところで行われた。
よく刑事ドラマで刑事が拳銃を撃つ時のセットのような場所、ジャングルのような森のような場所など様々な練習場が配置されていた。
「んてか⋯なんでこんなにも受けようとしてる奴の顔面偏差費高いわけ?」
真斗は周りを見渡した。顔が悪いと断言出来る者、もしくは曖昧な返答をしてしまいそうなルックスの者が見当たらない。
「これは場違いだな」
と真斗は感じているものの結構馴染んでいる。イケメンは自分のことをイケメンではないと否定するというがそれはこのことだろう。だがそもそも認めてしまったらナルシストとしか思われないので否定した方が良いと思うが。
「次4008番!
大きな体格をした教師に真斗は大きな声で呼ばれた。
「あ・・・はいっ!」
勢いよく返事した真斗はその教師の元へ向かう。
「ではこれから試験を行う」
教師はそう言った直後に真斗に拳銃を渡してきた。
「今からあの的を三発。一発ずつ私が号令をかけるからそれに合わせて撃て」
そう言われると真斗は頷き、一歩前に進んだ。
真斗の目の前には的があった。
人の形を模した紙だ。それぞれ点数が円で囲ってあり、《心臓と脳の部分は満点という意味で赤い点》が付けられていた。
真斗は銃弾をセットし、銃を構える。
「では⋯⋯始め!」
バン!!!!
教師の音と共に銃弾が銃口から出ていった。
小さい火花を放ちながら、その銃弾は
プチン
と《心臓の位置を示した赤い点》を吸い込まれるように撃ち抜いた。
「おい⋯嘘だろ⋯」
「今回初じゃないか?」
「やばい!すごい!」
と真斗の後ろがざわめき始める。
一発目から満点を撃ち抜いたからその反応は当然と言えるかもしれない。
真斗の姿を見ていた教師は少し顰めた顔をした。
「では次⋯撃て!」
すぐさま号令をかけ真斗はまたもや銃弾を放った。
その銃弾は見事に《脳の位置示した赤い点》を貫いた。
真斗の後ろが先程よりもさらに騒ぎ始める。
「では最後⋯撃て!」
真斗はその号令に合わせてまた撃った。
的には赤い点が2つある。もし満点を取るのであればどちらかの穴に入れなければならない。
そして真斗の放った銃弾は
スッ
と脳の位置を示した赤い点をもう一度貫いた。
「「「オォォォォ!」」」
真斗の後ろで歓声が上がった。
真斗の号令をかけていた教師は感心しながら
「素晴らしい⋯君は確か二刀流の英雄の弟だよね?」
と言った。
「えぇ⋯真双の弟です」
真斗は少し自分の力に驚き、動揺しながら答える。
「兄弟合わせて才能ありか⋯史上初の満点おめでとう。そして最高の銃士になることを祈っているよ」
教師はそう言うと拍手をした。
その光景を見た者は皆拍手をし始めた。
真斗は少し照れくさかった。
その後は自販機の置いてある休憩室でくつろいでいた。
「このあとは体力図るために長距離のテストか⋯まだまだ大変だな」
スポーツドリンクを片手に持ちながら真斗は呟いた。
先程の射撃。真斗は予想を遥かに超えた実力を発揮してしまったため、今もかなり動揺していた。
「結局銃士になっても期待されてしまうのか」
と良くも悪くも後悔していた。
「だけど⋯最強の道には一歩進んだ・・・とりあえず結果よし」
そう言いながらスポーツドリンクを飲むと
「おい⋯4008番」
真斗は自分の試験番号を呼ばれ、呼ばれた方向を向く。
そこには金髪のチャラそうな少年三人が立っていた。
「おい。お前何してくれんてんだ?あぁ?」
少年の一人が真斗の胸ぐらを掴み、圧をかけてきた。
「ナニが・・・です?」
真斗は何が何だが分からないので(と言いつつもさっきの射的が満点の点かなとは予想をしつつも)少年に聞きながら、スポーツドリンクの入れ物を椅子に置いた。
「てめえ。何調子乗ってんの?何イキってんの?満点取っただけでイキるなゴミが」
(なんで脅してんだ?)
真斗はそう思いつつもその言葉に対して言葉を返した。
「史上初の満点というのが余りにも嬉しくてですね⋯まぁ少し恥ずかしかったですけどそれが何か?」
その言葉に少年達は怒りを露わにした。
「チッ⋯てめえ殺す」
少年達は真斗を囲み始めた。
真斗の目の前にいる少年が指をポキポキと鳴らす。
そして真斗に襲いかかってきた。
凄まじい勢いで少年達は「避けれないな」と思ったが、真斗はそれを軽々と避け、足を蹴り転ばせて奥にあるドアへ少年を足で蹴り飛ばした。
「ガッ!」
少年は苦しそうに背中を地面に着いているドアに乗せながら、唾を吐く。
他の少年二人が真斗の凄まじい蹴りに動揺しているところを見て、真斗は走って休憩室を出た。
「待て!」
だが、少年達はすぐ動きドアを出た直後の真斗を囲んだ。
休憩室の外の通路は一方通行で横幅は二人しか入らないほど狭い。
二つの逃げる道を塞がれた真斗は
(襲いかかってきた奴から順に仕留めるか)
と決めた。
「クソがァァ!」
一人の少年が殴りかかってきた。
真斗の顔面を狙っていた。真斗ははその少年の腕を抑え、上に投げ飛ばし、顔面に蹴りを食らわせた。
「ぶはっっ」
少年は少し歯から血を出しながら倒れ込んだ。
「キサマァァァ!」
最後の少年が顔面を狙って蹴ってきた。
真斗は後ろに下がりながら避けた。
だが少年はすぐさま攻撃を仕掛けた。
「オラ、オラ、オラ、オラ、オラァ」と攻撃するたびに声を上げていた。
「オラァ!」と正確に真斗の腹に蹴りを入れた。
「ガハッ⋯」
真斗は蹴りを腹に入れられた痛みにより唸った。
「ハハはは⋯ハハハハハハハハハハハハ!ざまァ見やがれ⋯⋯れ?」
少年は異変を感じた。足が真斗の腹から動かないのだ。
「一発蹴りを食らわせれたからって⋯⋯油断してもらっちゃ困る!」
真斗は少年の足を抑えていた手を振り上げ、少年の股間に飛び蹴りを食らわした。
「ァァァァアア!」
少年は白目を向きながら地面に叩きつけられ意識を失った。
「ふぅ⋯⋯疲れた」
真斗は倒れている少年達の方を順番に見渡す。
「さてと⋯会場に戻りますかね」
真斗はそう言うと会場に戻るため歩き出した。
「まだだァ⋯」
歯から血を出した少年がそう呟く。だが真斗は会場に向かってしまい聞こえていない。
「まだ俺らは倒れちゃぃネェェ!」
と叫んだ直後
バン!
少年のうなじに《手刀》が切り込まれた。
「あァァァ⋯」と喉を震わせながら少年は意識を失った。
少年に手刀を食らわしたのは可憐な少女だった。
ピンクのような明るい髪の色。クラスには絶対いるムードメーカーのような少女は倒れた少年を見ながらこう言った。
「喧嘩を売った⋯⋯私のクラスメイトに殴りかかったのが悪いんですよ」
そう笑顔で少年達に言葉を捧げると後ろを振り向きどこかへ去っていった。
数分後
「あ、ヤバい。スポーツドリンク置いてきた⋯⋯まぁいっか」
スポーツドリンクの存在を完全に忘れていた真斗だった。
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