第21話 海龍遭遇戦
「海龍……」
「え」
その場所は森の中にある開けた平原
そこで食事をしていたのかグループアントの死骸が彼方此方に散乱している
《ワニガメは雑食ですが、似てる海龍も雑食です》
10m級サイズのウミガメ甲羅を持つワニガメは、俺たちを見ると食事を捨て突進してきた
「避けて!」
列車が突進してくるような速さだが距離がある
身体強化魔法を発動してメイド二人は左右に飛んだ
俺は上に避けようと足に力をいれ、
………ズルッっと足が滑った
「は?」
足元を見る、泥?…否、灰!!
考えるより前にバックステップしていた
「ち、ぐぁ!?」
《敵から目を逸らしたのは減点ですが、戻さなかったのは評価します》
運は悪いが、悪運は良いらしい
昨日の火山灰混じりの雨で泥になってたところで足を取られ、
飛び越えるのを諦めて後ろに下がったところで突進を食らったが、
海龍が木にぶつかることを気にしてスピードを抑えていた
おかげで5mほど吹き飛ばされても肋骨を何本か折る程度で済んだ
「気をつけて!海龍の尻尾には毒針がある!!」
青髪のメージュが指示を出すが尻尾まで5mほど距離があり届かない、
そう思ったが鞭のような速さで尻尾が伸びた
伸びた尻尾は俺に当たる前に足元から伸びた氷柱に軌道を逸らされ外れる
「ペイナ!!」
「
海龍の小さな爆発が包む
まるで有名なゲームの爆発魔法に似てるが威力は無いようで、
爆発の煙から出て来た海龍には傷らしきものが無い
「ガルゥアアァ!!」
海龍が複数の水球を出すが、同じ様に
そこで初めて赤髪のペイナに視線を向けた
《あの水球は千里眼の魔法です》
水を鏡代わりにして見る魔法『千里眼』
それで通常見えない尻尾の狙いを定めていた
当然見えなくなったのだから狙いを定めることはできないが、見えないなら狙いを定めなければ良いとばかりに尻尾で薙ぎ払いしてきた
尻尾が伸びるため後ろには逃げられない
覚悟を決め、剣の刃で尻尾の薙ぎ払いを受けた
「ギャァァァ」
海龍の叫び声と共に赤髪のペイナに向けられてた魔法の収束が止まって霧散する
青髪のメージュはこちらに合流しようと海龍を避けて進んだため
俺の援護は間に合わず、10mほど吹き飛ばされ木に叩きつけられた後に合流出来た
「トウヤ大丈夫?」
「大丈夫とは言えないかな、骨何本かやられて背中が痛い」
「ペイナー!暫く引き付けお願い!」
その頃、赤髪のペイナは海龍の叫びと共に接近し、剣で首を斬りつけていた
剣は確かに首に当たり確かに斬りつけたのだが鱗が硬すぎて斬れてない
「了解!時間稼ぎと言わず倒しましょうか?」
「時間稼ぎして!コレはトウヤが倒す!」
「おい、俺には無理だ。二人が倒せないんなら逃げるぞ!」
「大丈夫だよ、トウヤなら倒せる。
回復魔法を掛けて貰い痛みが消える
《折れていた背骨が治りました》
「無理だろ、さっきの一撃で背骨が折れてたんだぞ!」
「大丈夫、トウヤなら殺れる。私信じてるから!」
「ガゥアアァ!!」
海龍正面では赤髪のペイナが斬りつけ魔法を放ち時間を稼いでいるがダメージは殆どない
「見て、ペイナが攻撃してもダメージは殆ど受けてないのにトウヤの攻撃だけ効いてる」
海龍の尻尾に剣で受けたときに出来た切り傷がある
「それは剣が良いからだろ?俺の剣を使って二人がやったほうがいいんじゃないか?」
「それは無理です。気づいてないようですが、その魔剣はトウヤ様以外持てません」
「どういうことだ?」
その質問の返事を聞く前に海龍が大技を使った
口から吐き出した砂混じりの水はウォーターカッターとなり海龍前方の森を50mほど薙ぎ払った
倒れる木々
飛び立つ鳥達
倒れた木々の間から赤髪のペイナが出てきて胸をなでおろす
「説明してる時間はない、お願い、海龍を倒して…」
困ってる女は放っておけない
それが例え死ぬような状況でも俺は助けるだろう
例え質の悪い暴走族のリーダーだろうと喧嘩を売った俺だ
相手が人間じゃないとしてもここまで頼まれたからには引けない
「分かった。やれるだけやってみるから安心しろ」
損な性格だと自覚してるが死んでも治らないらしい
青髪のメージュはともかく、赤髪のペイナは顔色一つ変えず海龍と戦っている
動きに疲労してる様子はなく息も乱れておらず無傷だ
《気づいてるみたいですが二人とも結構余裕です》
そうだよな、「倒しましょうか?」とか言えるぐらいだしな
「私が掛けた補助魔法は5分で効果が切れるから下がって」
これ下がっても大丈夫って言ってるようなものだし、
実質俺へのスパルタ実践訓練ってところか?
《その通りです。どうせ後で海龍撃滅作戦に駆り出されるのですから今のうちに慣れてください》
(
《声に出さなかったのは評価しますが、愚痴は減点です》
エイのダメ出しに更にやる気が落ちるトウヤであった
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