第20話 初クエスト(討伐)
魔法訓練をした翌日、俺と何時ものメイド二人で冒険者のクエストを受けていた
受けたクエストはゴブリン退治
初心者冒険者の定番であり、一番事故が起きやすいクエストでもある
ゴブリンは俺の知ってるゴブリンと差は無く、小柄で痩せ細った体格、緑色の肌、長い耳と鼻持ち、人と同じように二本足で立ち、武器を使う
そんなゴブリンの退治に近くの森に来た
本来は迷宮都市アーバル近郊の森にゴブリンは居ないらしいのだが、海龍の襲撃の煽りを食らって生息圏から追い出されたのが此方に来ている
森を進んで10分もせずにゴブリンに遭遇するのはそういう事だと赤髪メイドのペイナが言っていた
そんな赤髪メイドのペイナはメイド服ではなく鎧姿だ
スカートはいくつか縦に裂ける様に作られていて、その上に佩楯(はいだて)と草摺(くさずり)を装着
元がスカートだったので佩楯(はいだて)としては長く膝下まで、鎧はメイド服の上から装着できるように作られており、
エプロンを外し、袖も外しノースリーブにして上から鎧を付ける
その姿は一流の騎士に見えるが「主人より従者が目立ってはいけない」と街中では幻術を掛け、俺に釣り合う装備に見せかけてた
今はその幻術も解き、騎士の姿に見えるからか女を優先して狙ってくるゴブリンにしては珍しく男の俺から狙いを定めた
「しかしコイツら馬鹿だな」
敵は三体のゴブリン
二人を避けたってことは本能的に敵わないと悟ったんだろうが、奴らが持ってる貧相な武器じゃ死ぬ気がしない
装備は左から順に錆びた剣、こん棒、錆びた剣と盾っと言う感じで他は腰ミノを付けてるだけ
三体は俺に同時に攻撃をしかけ、俺は全ての攻撃を貰った
「ちょ!?」
「え」
左から順に突き、上段からの振り下ろし、右の薙ぎ払いだったが、振り下ろしには頭を魔法【強欲の盾】で防ぎ、他は装備品で防いだ
思ったより痛かったなーとか思いつつ、予想外に効いていない攻撃で戸惑ったゴブリン達を一振りで斬り捨てる
「思ったより楽だな」
冒険者ギルドで聞いた事故が起きやすいとは何だったのか
「トウヤ様、なぜ攻撃をワザと貰ったのですか?」
「そりゃ、痛みに慣れておこうと思ってな」
「防刃のシャツ着てなければ錆びた剣でも革装備ごと貫いていたかもしれませんよ?」
「その時は回復魔法を掛けてもらえばいい」
「いいですけど、次からはワザと攻撃を貰うのはダ・メ・ですよ!」
赤髪メイドのペイナからお叱りを貰ったが、それ以上に涙目で見てる青髪メイドのメージュの方が堪えた
《私もワザとやるのはオススメしません》
「分かった、心配かけて悪かったな」
涙目な青髪メイドのメージュの髪を撫でると顔が赤くなってく
「くっ、何故か負けた気分です」
「?」
討伐証明は片耳をなので切って血が出ないよう焼いて持っていく
ゴブリンには討伐証明以外うまみは無い
たまに良い武器を持ってることがあるが基本的に持ってる武器は鉄くずとして売れる程度の物だが、
今回の剣は質がよく、錆びを落として研ぎ治せば使えるので持っていくことになった
ゴブリンの死体は放置して次に行こうとしたが死体の臭いにつられたのか巨大アリがやってきた
大きさは80cmぐらいで5.6匹いる
「グループアントですか、これも常時討伐対象になっていますので退治しましょう」
ゴブリンとは違い三人で退治したが、虫だけあって頭を落としても暫くのは気持ち悪かった
「こういうのは慣れです。グループアントは迷宮にも居るので慣れてくださいね」
「………この辺にグループアントなんて居たっけ?」
「現に居るのですから居るのでしょう?」
「どういうことだ?」
「グループアントは迷宮都市アーバルにある迷宮で出現するアリ、巣の外では常に5.6匹で行動することからグループアントと呼ばれてるけど、
迷宮以外では殆ど見ないけど」
またグループアントが死体に集まってきた
「これは迷宮の一部が崩れて中の魔物が出て来た可能性が高い、調査するのも冒険者の仕事。」
「グループアントは、とりあえず退治する」
と氷の矢で退治し討伐証明の顎を取り傷口を焼く
「調査はしましょう。しますが、いざとなったら撤退しますのでメージュがトウヤさんを抱えて逃げてくださいね」
「了解」
「やっぱり俺は足手まといか」
「違います、まだトウヤさんは成長途中なだけです。その間ぐらいは私たちがお守りします」
「……すまん、頼む」
「任されました」
「まかされたー!」
グループアントが来た方向へ進んでいくと大きな岩が見えてきた
「こんな場所に岩?」
「違うみたい」
近づいてみると確かに岩ではない
それは大きな甲羅だった
ウミガメのような甲羅だが大きさが違い、目算で10mほどある
こちらに気づいて見せた顔はワニガメのような凶悪な見た目をしていて、
足も鉤爪に水かきが付いて水陸両方で生活できるのが伺える
「海龍……」
「え」
群れからはぐれた海龍、その遭遇戦が始まってしまった
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