第19話 魔法訓練その2
「メージュ、そこで正座!」
メージュが庇ってほしそうにチラチラこちらを見ているが自業自得なのでペイナに任せる
そのまま暫くメージュがお説教されたので訓練は中止されたままになった
暫くして説教が終わり再開したが、相変わらず教えるのは青髪メイドのメージュ
「さて、怒られたけど私が教える、何か質問ある?」
「大丈夫なのか?」
ふざけて誤魔化したが教えられるのかと聞くと
「論より証拠、見て」
炎、水、雷、風、光、闇の球体を作り見せてくる
風だけ透明で見づらいが水滴を風玉に巻き込むことで何とか分かる
「どうせ慣れたら完全無詠唱が基本になって呪文とか忘れる」
「それは貴女が忘れただけでしょう?」
「そうともいう」
ギロリっと赤髪メイドのペイナが青髪メイドのメージュを睨むが本人は気にしていない
「まぁまぁ、ペイナ先輩」
緑髪メイドのエメラが抑えるが、この三人はいつもこんな調子なのだろうか?
「こんなことが出来るのは戦闘メイドの中でも私ぐらい、褒めていいんだよ?」
「調子に乗らないで!私だって魔法四種同時展開ぐらいなら出来るんだから!」
「四種同時展開できれば十分なんですけどね、六種同時どころか四種同時展開もあまり使わないですからね」
魔法の同時展開とか数が多いほど凄いのはわかる、分かるが、
「どういう時に使うんだ?」
「じゃぁ、理論が不得意そうなメージュに変わって私、ペイナが教えますね」
むぅっと頬を膨らます青髪メイドのメージュ
何となく膨らんだ頬を指で突くと、ぽふっと潰れ口から空気が出る
青髪メイドのメージュがもう一度膨らますともう一度突く、ぽふっ
何となくやっただけだがメージュの表情が面白く、もう一度やろうかっと思ったところで赤髪メイドのペイナが睨んでる
「トウヤ様、始めてよろしいですか?」
「お、おう、よろしいのですよ?」
「ですよ?」
赤髪メイドのペイナからのプレッシャーで変な返事になってしまった
「では、えっと、魔法の同時展開を使用する状況でしたね、分かりやすく言えば極寒の地で体を温めながら魔法を使う場合でしたり、
逆にイフリートにやられたように灼熱の地で暑さから身を守りながら魔法を使う場合だったりします。」
………イフリートの熱地獄に成す術なくやられた俺には、その例えは分かりやすかった
あの時のような、どうしようもない事態を避けれるだけで、その強みが分かる
「なるほど、なら覚えなきゃな!」
ニコッっと笑ったらメイド三人が赤くなった
「それでこそ、私たちのご主人様です!」
「そうそう、そうでなきゃね」
「う~ん、どことなく戦闘狂臭がするのですが…」
三者三様だが、最後の戦闘狂臭は酷いんじゃないか?
「コホン、ならまずは一種類の魔法は使えるようにならないとダメだから私が教えるよ?」
割り込んだ青髪メイドのメージュに渋い顔をするが、多重魔法の使い方は後ででもいいので教えるのはメージュになる
「少し脱線したけど、まずは
青髪メイドのメージュの手には袖から出した本
「光、輝き、辺りを照らせ、
呪文を唱えると青髪メイドのメージュの左手人差し指が光る、………のはいいんだが本を見ながらなら俺が本を読んだ方が早くないか?
《忘れてるようですがご主人様はこの世界の文字は読めません》
そうだった、『希望の書』が日本語で書かれてたから忘れてた
「光、輝き、闇を照らせ、
呪文を変えると光が強くなる
「光、輝き、前を照らせ、
今度は懐中電灯のように人差し指が刺した方向が明るくなる
「呪文を少し変えればこの通り、無詠唱だと
弱い光、強い光、前方を照らす光、青髪メイドのメージュがやってるのは完全無詠唱だが出来るというなら出来るのだろう
「
「え~と」
「光、輝き、闇を照らせ、
「光、輝き、闇を照らせ、
赤髪メイドのペイナが俺の前に呪文を詠唱してくれたので復唱したら出来た
人差し指が光っている、「おぉ」っと初めて(?)の魔法に感動し人差し指を前に差し出すと、
青髪メイドのメージュが同じようにゆっくりと差し出した人差し指を近づける
それは映画のワンシーンのようで実際有名な映画のワンシーンである
人差し指どうしが触れるかというところで
「遊ばない!」
っと赤髪メイドのペイナに人差し指どうしの真ん中をチョップされ強制的に離された
「ペイナのケチ~」
「メージュはふざけ過ぎです!」
そこでフフフっと笑い声が聞こえた
笑ったのは緑髪メイドのエメラで、他三人の視線がエメラに集まる
「ごめんなさい、でも先輩達とトウヤ様の仲が余りに良いので、つい笑ってしまいました」
その言葉にトウヤ、ペイナ、メージュは恥ずかしくなり黙ってしまう
「ほら、また脱線してますよ、今日の内にある程度は魔法を覚えませんとダメでしょう?」
その後、脱線を挟みつつ魔法の練習は夜まで続いた
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