第13話 準備

「まぁ、そんな訳で戦闘メイドの方々には期待してるぜ、ついでにお前さんも死なないように鍛えてもらえよ」


「死なないように?」


「もうすぐ海龍と決戦が迫ってるからな!」


事が起こったのが二日前の海龍島の大噴火からだと考えると早過ぎる


《おそらく短期決戦を狙ってると思われます》


「マジかよ…」


「大丈夫ですトウヤ様!私が鍛えて見せます!」


自信満々のドヤ顔で宣言する青髪メイドのメージュ


「鍛えるのは勿論ですが、冒険者として活躍するのですから一通りの知識も伝授してみせます!」


こちらも自信満々のドヤ顔で宣言する赤髪メイドのペイナ


「あと二、三日もすれば準備はできるはずだ、それまでに形になれば後方に、

戦場が怖いってんなら避難民の護送って依頼もあるぞ?」


ギルドマスター(以下ギルマス)が意地悪い笑みを浮かべる


《逃げるなら今の内に逃げろっと言ってますね》


分かってるよ!だけど、困ってる奴を見捨てるようなことはできない

偽善だって分かってるが困ってる奴を見捨てるられるようなら

これは自己満足だ、結果どうなろうと俺はこれを貫くつもりだが


「……足手まといになるようだったらソレ受けるわ」


足手まといとか論外だしな


「では、そろそろ冒険者登録を完了させましょう!」


元の個室に戻って血液と指紋の採取され代わりにEランクの冒険者タグを渡された


冒険者タグは銀色の鉄板にゴムのサイレンサーを付けた二枚のドックタグ(軍隊の認識票)だった

二枚ある理由は死んだ場合、一枚を死亡確認に使い、もう一枚を遺体の判別用に残すためにあるとか


「冒険者タグは常に首に掛けてください。それと身分証明書にも使える冒険者カードはこちらです」


冒険者カードはパスポートサイズの厚い銅板だった

名前とランクにIDと思わしき数字が書き込まれている


「これで冒険者登録は以上になります。何かご質問はありますでしょうか?」


「基本的から専門的なことまで私たちが把握しているので大丈夫です。それより預かった資金の半分を預かってほしいのですが」


そこで冒険者ギルドがやってる銀行のことを聞く


預かったお金は基本的に全ての冒険者ギルドで引き出すことができる

場所によっては引き出し制限があり、これは農村部などの貧しい場所では常備してる金額に限度があるためだ

農村部以外にも引き出し上限はあるが、余程のことが無いがぎり上限には達しないので関係ないだろう


金貨100枚を預け、ついでに冒険者ギルドで売ってる周辺地図を買う


「以上で終わりですね、お疲れ様でした。またのご利用お待ちしております」


職員に案内され裏口から冒険者ギルドを出た


「裏口からってことは気を使われたのか?」


「私たちは目立ちますからね」


「トウヤ様は気にしなくていいよ!そのうち慣れるから!」


赤髪メイドのペイナはいつも通りだが、

青髪メイドのメージュは面倒なことが終わったと笑顔だ


「それはそうですが今のままでは不便です。っえい」


ポンっと白い煙が赤髪メイドのペイナを包んだと思うと直ぐに煙が晴れた

そこに居たのは私服姿になったペイナだった


ペイナにビックリしていると青髪メイドのメージュも白い煙に包まれ

そのあとに私服姿へと変わっていた


「どうですかトウヤ様?」


「似合ってる?」


上が和服で下が袴を着ているペイナ


上が和服で下が普通のスカートのメージュ


「ペイナは和服が赤く、袴は黒で花の模様が入ってるのか、美人だから何でも似合いそうだが

服の色合いとワンポイントの花模様がいいな、似合ってる!」


思わず親指を立ててしまう


「メージュは青に近い水色の和服にスカートか、上から下へ行くに従って色が濃くなる所がいいな、

組み合わせは以外だけどテール・スカートも良く似合ってるぞ!」


思ったより嬉しいのか頬を染めて喜んでいた


「ありがとうございます。トウヤ様」


「ありがとう。トウヤ様!」


彼女たちにどうやって一瞬で着替えたのか聞いたが、はぐらかされてしまった


裏通りから表通りを通ってレストランへ

その間、二人と腕を組んで歩いていたので妙に視線を集め、特に男達が向ける嫉妬した視線が痛かった


食事は仲良く三人で食べ(このためにメイド服から私服に着替えたらしい)


防具も扱ってる武器屋(武器メイン)で魔剣の査定と防具のための採寸を図り

重い金属製の鎧は避けて革制のレザーメイルを買った


「おーい、査定終わったぞい。」


剣や盾を物色中に査定が終わり話を聞きに行く


「いい魔剣だな、おそらく金貨500枚と言ったところだろう。買い取り希望なら金貨450で引き受けるぞぉ」


「いや、値段を知りたかっただけだから売らない」


「そうか残念だのう」


その後、必要なテントなどの野営セットはペイナとメージュが持っているらしいので買わずに、保存食などを買ってからヴォイニッチ邸に帰還した


俺の部屋(朝寝てた部屋)に戻るとベットメイキングされて綺麗になっていた

ベット以外は使ってないから分からないが部屋も綺麗に掃除されたのだろう


ベットの近くに今朝渡された『希望の書』が置いてある以外は特に変わったところはない


「夕食まで時間があるし、ちょっと読んでみるか…」

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