第12話 冒険者ギルドの事情
「さぁ、かかって来な!」
盾を前にして構えてるが素人目に見ても適当に構えてる
ギルドマスター(以下ギルマス)の実力は知らないが新人相手では適当に構えても十分ということだろう
《身体強化魔法の発動を確認》
何となくで覚えてるフェンシングの構えをとってから突撃
初撃の突きは盾で外側に逸らされる
俺はフェンシングは素人だ
当然のごとく剣で反撃されるがこれは左手で逸らす
「っお!?」
来る方向が何となく分かってれば手で逸らす程度はできるんだよ、何せ……
《生前、死ぬ直前に覚えましたね》
先にエイに言われたが生前に覚えた
死んだのでシャレにならないが、文字通り死ぬ気でやれば剣を逸らすぐらいはできるってことだ
今度は逸らされた剣を内側に斬ろうとしたが盾で防がれる
ここまでは予想通り
ここで剣を離して盾を掴み
左手でギルマスの手首をつかみ顔面膝うちを狙う
「む?」
「っち」
ギルマスが盾を手放し顔を右に動かし避ける
避けられたのでギルマスの肩に着地してしまった
「「…………」」
左手を離してギルマスの肩を踏み台にして反対側に着地しようとしたが
着地に合わせて蹴りが飛んできたのでモロに食らってしまう
「っぁあああああー」
痛い、痛い、痛い、
肋骨は何本か折れた
ただそれだけなのに痛過ぎる
喧嘩でこの程度の痛みは慣れたはずなのに我慢できないほど痛い
まるで初めて痛みを感じたように痛い
《その感覚は間違っていません。ご主人様は生まれて初めて痛みを受けました》
(生前とは違うってか)
《そうです、戦闘用ホムンクルスは人間とは違います。それを目に焼き付…》
「「そこまでです!!」」
メイド二人が止めに入る
彼女たちは一瞬のうちにギルマスと俺の間に入り戦闘態勢になる
「ギルマス、やりすぎです!」
遅れて冒険者ギルドの職員が俺の近くに来て回復魔法を唱え始める
「癒し、修復、再生せよ、私は求める、健全な肉体を、
「いや、すまん、不意を突かれて加減を忘れたわ」
テストが中断されたが実質終わりだったので問題はなかった
「トウヤ様、お怪我はありませんか?」
「そうそう、痛いところがあれば治すよ?」
「治してもらったから大丈夫っ」
《まだ痛みは残ってます》
それでも回復魔法を掛けてもらう前よりはマシなので
痛みはそのまま慣れるまで我慢することにした
「思ったより簡単に勝負がついたがメイドたちから訓練とか受けてないのか?」
「受けてないな」
「そうか」
ほぼ一瞬で勝負はついたがある程度の実力は認められたようでEランクからのスタートとなった
「Eランクからだが、戦闘メイドが居る状況に限ってAランクまで受けていいと言うのは聞いてるな?」
何でも近くの半島の北半分が海龍に占拠され、
奪還のために地理的に便利な場所を要塞化して準備を整えてるとのこと
「優秀な冒険者は要塞予定地に集まってる。その影響でここの冒険者は人数不足だ
人数不足を補うためにデドラの爺さんから戦闘メイド借りる条件としてお前が同伴するってことになった」
「爺さんから説明された気がするが、俺としてはやるつもりないぞ」
「やらんでもいいが、影響を受けるのはお前だけじゃないぞ」
「どういう意味だ?」
「海龍にやられて港町イーマンスが壊滅した。そこは物流の一大都市でな、復活させんと海運が死ぬ」
《分かりやすく説明すると食糧不足で餓死者がでます》
「………マジか?」
「マジだ、今は備蓄でどうにかしてるが長く続くと陸路の輸送じゃ量が足りなくなる」
「一冒険者の…、新人冒険者に話す内容じゃねーだろ」
「どうせデドラ経由でお前の耳にも入る、問題は無い」
他にも人はいるだろう?っと周りを見渡すと俺たち以外居なかった
そういえばギルド内に入ったときも冒険者らしき人は見なかった
《冒険者は朝と夕方以外はギルドにいることは少ないです》
「まぁ、そんな訳で戦闘メイドの方々には期待してるぜ、ついでにお前さんも死なないように鍛えてもらえよ」
「死なないように?」
「もうすぐ海龍と決戦が迫ってるからな!」
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