第7話 冒険者登録

「当面の資金と、一部の転移者『帰還希望者』が書いた本、『希望の書』(日本語版)じゃ」


「資金は分かるが本?」


転移者が書いた本は表紙に『希望の書』日本語版と書かれてあった


《日本語以外には英語、中国語、フランス語、スペイン語等、メジャーな各国バージョンが作られています》


「この『希望の書』は文字通り異世界人の希望になるとか言われおる本じゃ、資金と共に役に立つぞ!」


こういう場で失礼だと思ったが資金と言われてる袋の中身を見ると金貨が沢山入っていた


「資金は金貨200枚、この世界で無駄遣いしないのじゃったら5年ぐらいは暮らせるじゃろ」


もちろん只ではない、冒険者登録をして異世界人専用用紙に可能な限り書き込まなくてはならない


生まれた場所、年齢、時代、職業、趣味、好きなことから嫌いなことまで

個人的なことから世界情勢まで、元の世界で知ってることがあれば覚えてる限り全てのことを求められる


異世界転移の場合は上記にプラスして私物の一部を買い取りもしている


これらは資金調達に使われることもあるが、それも含めて全ては元の世界に帰ることを目標に行っている

元の世界に帰りたい転移者たち、彼等はそのまま文字通り『帰還希望者』などと呼ばれている


「本来じゃったら、この説明は冒険者ギルドで受けるんじゃが今は特別忙しいからの、ここで簡易登録できるように取り計らったぞ」


そんなことを説明されてたら、ガタガタ、ゴトゴトっと揺れて音が鳴る

また軽い地震だ、頻度から推測するに大地震のか?


「……お主が眠ってる間に北の無人島で大地震と噴火が起こったようでの、今のはその余震じゃ」


とりあえず、異世界人として冒険者登録するために用意された書類に軽く目を通すと

全て日本語で書かれており、書く内容も難しいことはなさそう


ペン(万年筆)を貰い記入していく、その間にも爺さんは説明を続ける


「書きながらでも聞くことはできるじゃろ?説明を続けるぞ」


そもそも本来の予定では冒険者登録は冒険者ギルドで行う予定だった


それがヴォイニッチ邸で簡易登録できるようになったのは北で起きた地震と噴火による影響だ

北の無人島で起きたのだが、その場所に住んでいた海龍が地震は兎も角、火山噴火で住めなくなったため南下

近くの半島にあった付近最大の港町イーマンスが襲われ壊滅したのを切っ掛けにして半島の北半分が海龍に占拠された


被害を免れた人は付近の都市や町に避難したがまだ混乱は続いており

冒険者ギルドも通常業務にプラスして混乱収拾のため周辺地域から増援を派遣したが間に合っていない


そんな訳で猫の手を借りたいほどの忙しい冒険者ギルドは説明をデドラに任せて異例の簡易登録を認めたのだった


「気になったんだが、冒険者ギルドってあの冒険者ギルドか?」


「どの冒険者ギルドか知らんのじゃが、魔物退治や薬草や鉱石の採集に旅商人の護衛など、便利屋みたいな扱いをされる冒険者を扱うところじゃ

ずっと昔に来た異世界人が作ったんじゃぞ」


異世界人が作ったと言われれば納得だ。異世界人が作ったなら俺が知ってる冒険者ギルドの内容と差も無い様で、

ランクもテンプレにありそうなF~Aランク、その上にSランクがあり貢献度、依頼達成数、知識、強さで判断してランク付けしている


最初はFランクからスタートなのだが俺は戦闘メイド二人付くことでAランクまでクエストを受けられるよう手配された


「いや、そんなの要らんから」


いや、ホント、ランクが上がれば危険なんだろうし、そんな危ないの受けれないようにしていいから

そこで後ろにいる二人のメイドに顔を向けるとペコリとお辞儀した


「不安なのは分かりますが安心してください。私たち二人がご主人様であるトウヤ様を戦闘から生活までサポートするペイナです!」


「同じく戦闘、食事、お風呂、夜の営みまでバッチ来いなメイド、メージュです。よろしく!」


「………バッチ来いって」


「……ちょっと地が出とるぞメージュ」


とんでも発言に固まる俺と爺さんの二人


「何か変なこと言った?あとトウヤ様がご主人様になるなら敬語はいらないよね?」


「メージュ、普通は逆だからね?状況を見て適切に敬語を使えばいいけど普通はご主人様に敬語を使うものだからね?」


赤髪メイドのペイナが嗜めるがイマイチ分かってない様子


「四六時中メイドに敬語使われるのも疲れるじゃろうからそれでもいいんじゃが、貴族とかの偉い人には敬語を使うようにするんじゃぞ」


「はーい」


「えーと、なんじゃったかな?………そうじゃ、ペイナとメージュを御主の専用メイドにする話じゃった」


話の流れで分かってたが俺専属のメイドにするらしい。二人を見るととても眩しい笑顔で微笑んだ


「二人は戦闘メイドとして訓練も積んで居るのじゃ、お主より強いから足を引っ張らないようにするんじゃぞ!」


「二人は俺がご主人様でいいのか?」


「問題ないです、私達は既に身も心もトウヤ様のメイドです。トウヤ様の好きなように使ってくれれば幸いです。」


「昼と言わず、夜までと言わず朝まで好きに使っていいですよ!」


徹夜してまで働かせるってブラックすぎだろ!


そこまでやるつもりは無いが右も左も分からない現状、サポートしてくれる人が多い分には問題ないような気がする

無いような気がするんだが…


二人とも美人すぎるだろ!!

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