第24話続・修行

今回は小話ではありません。

理由はとても小さくて、今回の話の量は小話には入り切らないほどの多さだからです。


それでは本題に入ります。今回は、今まで紹介されていなかった、裏の設定についてです。

まずは少しおさらいをしましょう。


2020年の東京五輪、開会式の日に

とつじょ現れた隕石により、人類は滅亡しました。そこから時は過ぎ、人類は、また誕生しましたが、スキルと言われる異能を持った人類でした。


隕石が落ちるまでの時代を「旧人類時代」といい、

スキルを持った人類が産まれてからの時代を「新人類時代」と言って人々は時代を分けました。


新人類時代はまだ1200年しか経っていませんが、ワープなど旧人類時代(現在)の社会にはない、近未来のものが多くあります。


その理由は2つあります。1つ目は、旧人類時代の保管機能です。旧人類時代の人々は自身の研究成果など、文明に関わるもののほとんどを、保管していたため、それを解読し、研究や文明の進化がとても早くなったからです。


2つ目は、スキルの発言です。花樹のスキル「世界樹」は、地球全てを木で覆い尽くす。と言われています。

このように、世界レベルで変えてしまう、桁違いな強さのスキルがあるのです。だから、時を動かしたり、大地を再生したり、超精密なコピーを創り上げたりなど、いくらでもこの世界を作れ変える事など、簡単にできてしまうです。


この2つの理由から、旧人類時代の研究や文明を約半分の年で超越できたのです。


この設定、後付けだろ!

と思う方がいても仕方ありませんね。だって24話でやっと設定公開ですから。

しかし、この設定はこの小説を書こうとしたのと、同時に考えているため、後付けの設定ではございません!


長くなりましたが、本編をお楽しみください。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


顔に刻まれた沢山のシワの数。そのシワからは、長年生きた、人生の先輩の凄さが刻まれていた。

髪も髭も白くなっていて、髪は短いが髭は長く伸びていた。


「ぴったりじゃな。わしもまだまだ老いちゃあおらんよ。」


本年83歳の自分を若く思ったのか、

嬉しそうに少ししゃがれた声で喋った。


驚きで固まったままの俺やみんなを、おじいちゃんは「中に入ってゆっくりお茶でも飲みな。」

と言わんばかりの、手招きで俺達を中へ入れた。


正気に戻った俺が、喋ろうと考えた瞬間。唇はいっさい動いていないのに。


「おっと。話は中でしようか。」


おじいちゃんはそう言って、俺の顔の前に手のひらを見せた。


久しぶりの感覚だった。

昔はよく俺の言おうとする事を未来を読んだかのように、口パクで合わせたり、「あとからな。」とか言われて止められたりした。


つられてみんなも中に入った。

古めの木造家屋。玄関から続く廊下は一人通るのがやっとくらいで、少し狭かった。廊下から一直線に続くリビングには、キッチンが隣にあり、古い木の机と椅子が一つあるだけで、家具は他に何もなかった。


おじいちゃんは、みんなを机の周りに座らせ、俺の横に「よっこいしょ」と言ってあぐらをかいて、座った。

おじいちゃんは、みんなの顔をぐるっと見回すと、司会者の様にし切った。


「もうしゃべっていいぞ。」


待っていたその言葉を。

俺は溜め込んでいたものを全て出す勢いで、早口で質問をしまくった。


「何でおじいちゃんが生きているんだ?死んだはずじゃなかったっけ?

なんで?俺がいない時に何があったんだ?」


あまりにも熱が入ってしまって、少し立ちかけていた。息も上がっていた。


そこをおじいちゃんは、俺の肩を抑えて座らし、落ち着いた口調で答えた。


「質問は一つにしろ。まぁ、あの手紙をみればわしも死んだと思うじゃろう。確かに、あの時わしも死んだと思った。やつは、ちょうどお前と同じ年だったじゃろうかな。急に入ってきたと思うと、ナイフを使ってわしの腕を切りかかりに来たのじゃ。かすり傷ですんだのじゃが、反撃に移ろうとスキルを使おうとした時。その時わしは恐ろしいものを感じた。スキルが発動しなかったのじゃ。スキルの発動じゃ何て当たり前じゃった。それができなかったのじゃ。」


スキルが発動しなかった⁈


スキルの発動なんて当たり前で、使えない時なんて一度も経験したことなかった。

俺は一種の恐怖を感じた。


俺は反射的に質問した。


「じゃ。じゃあ、おじいちゃんスキルは。」


「いや。案ずるでない。今はスキルが発動する。」


そう言って手に氷を纏わせた。

まさか。と思ったがそうでは無かったので、ホッとした。


そんな俺を置いて行き、おじいちゃんは話を進めた。


「スキルのない老人のわしは、手も足も出ないまま敗北した。

おまけに家族も殺されてしまったのじゃが、何故かわしは生かされた。あの時は死んでしまったと、思ったよ。

しかし、少年はわしの頭に手を置いた。頭がぼんやりしてたので、詳しくは分からんが、吸い取られる感覚じゃった。

少年は無言のままワープをし、その場から立ち去ったのじゃ。」


みんなは話に聞き入っていた。勿論俺も聞き入っていた。


またおじいちゃんは、そんな俺達をおいて行く様に、新しい話題を出して来た。


「そう言えば、修行に来たといったかな。今は夏休みじゃが、みんなはどうする予定なんじゃ?」


確かに。と言わせる程のもっともな疑問に、みんなは顔を見合わせた。


確かに俺は、学校をやめてでも、この旅を続ける気だけど。他が・・・


そう思っていると。花樹が俺を見ながら冷静な落ち着いた声で喋った。


「私は中学生卒業してから、推薦でKSLに入団させてもらったよ。だから学校の心配はない。この旅に出る前に、隊長に理由を全て打ち明けた。

そうしたら、快くOKしてくれたから、KSLの心配もない。

多分火炎君は、学校をやめてでも旅を続ける気だと思う。でも安心して私は着いてくから。」


正直嬉しかった。自分の為に仕事まで切って来てくれて、その上自分のわがままにまだ着いて行くと言ってくれたから。


俺が「ありがとう」と言おうとした時、雫が花樹に張り合う様に喋った。


「それなら私だって!火炎君に着いて行く気はあるよ!例え家族に反対されてもね。でもこのまま家族に何もなしには、出れないから・・・」


最初は俺の近くまで身を乗り出してしゃべっていたのに、急に顔を下に向けた。

雫は用が済んだのか、ゆっくりと体を元に戻した。


そこを楽しいそうに見ていたおじいちゃんが、笑いながら喋った。


「ほっほっほ。いい仲間を持ったのぉ火炎。そうこなくっちゃじゃ。ではこんなプランはどうかの?」


ここから俺たちの修行の日々が始まった。

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