第18話勝利の笑顔

・小話・

第17話はいつもより短くてごめんなさい。リアルの方が忙しくなってしまったため、書く時間が取れませんでした。

まことに申し訳ございませんでした。


響喜の能力について少し説明します。

ご存知の通り能力は音なのですが、

辺りに響かせるのは勿論、音を直接脳に響かせることもできるのです。


そうなると最強じゃん!

と思うかもしれませんが、脳に流し込むためには、その分普通とは倍の

ダメージが耳に入ります。

それと、それができる範囲は1m弱ぐらいでしかできないため、できたら強いのですが、その分のデメリットはとても大きいです。


説明足らずですいません。

今回の小話はここまで本編をお楽しみください。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「きゃあああああ〜」


肺活量がどうなっているのと驚いてもおかしくない程の大きくて長くかん高い声が辺りに響いた。


由紀はジェトコースターやフリーホォールなどの絶叫マシンが大の苦手なため落下しながら、涙を流していた。


雪姫愛用クッション


[雪姫愛用クッション(ゆきひめあいようくっしょん)

細かいゆきをクッション状に固めて衝撃を防ぐ技。]


ぼふぅーん

由紀がお尻から着地すると、クッション状に固められた雪が一斉に舞い散った。着地しても涙は止まらず、由紀は目からこぼれる涙を頑張って拭った。


由紀はやっと涙を止め火炎達を探すために歩き出した。

3.4分探しただろうか、歩きをやめて止まって、戦闘体制に入った。

能力感知の範囲内に火炎や雫などな知っている能力は出ていないのに、知らない能力が出ている。


火の能力かな?

普通は能力感知は能力の「強さ」「位置」しかわからないのだが、八大能力の風から枝分れした能力なら、強さをより明確に、広い範囲で相手の能力が何から枝分れしたのか分かる。

能力の枝分れは色で分かる。

氷なら白。火なら赤のように表される。


由紀は考えた。

そこまで強くないが、少し変な色の赤色をしていて、ピンクに近い様な赤色。少し警戒が必要かも。


由紀は相手の方向に体を向ける。

すると、能力感知内にピンクに近いものが表された。


ぼうん!ぼうん!

バランスボールがバウンドした様な、

跳ねる音と共に、火の玉が周りの木や

地面にあたりバウンドしてくる。

火の玉は熱気と共に、迫って来た。


どのタイミングで火の玉が当たるか、

どの角度で、どの向きから当たるか。

バウンドするから、予測して避けるのが難しい。

しかし、裏を返せばさっきのことが分かればとても避けるのが容易い。


由紀はふと思い出した。


「ピンチこそ、笑ってればどうにかなる。笑った方の勝ちだ。」


脳裏に笑いながら教えてくれた火炎の笑顔が思い浮かんだ。


そうか。笑顔でいるのが大切なんだ。

試合でもそうやって勝って来たじゃないか!


由紀はいつも剣道の試合で笑っていたことを思い出した。


自然に由紀の強張った顔から笑みがこぼれ始め、やがて笑顔に変わった。


由紀は自分の周りに吹雪を体の周りをぐるぐる回る様に纏わせた。


雪風の鎧


[雪風の鎧(せっぷうのよろい)

吹雪を体の周りをぐるぐる回る様に

纏わせることで攻撃を防ぐ技。

弾丸など風の影響を受けやすいものには超有効!]


雪風の鎧のおかげで火の玉が当たらずそのまま風の影響を受けて、軌道をそらした。

軌道がそれた火の玉は周りの木などに当たり、いろいろな場所をバウンドしたあと、相手の所に向かっていった。


「あぢゃああああ」


火の玉が当たったのか、相手の声が聞こえ、相手は熱さにのたうちまわりながら隠れていた場所から出てきた。


「あちぃ。くっそ何でこっちに玉が来たんだよ。」


そう言って、服の焦げた部分を抑えていた。

もうここまでくれば、勝ったも同然。

由紀の顔には勝利の笑顔が表れていた。


と...


「向日葵の光槍」


[向日葵の光槍(ひまわりのこうそう)ひまわりが集めた太陽光で作った光の槍を何本も飛ばす技。]


落ち着いたクールな声で言われた

技名。

熱さに苦しむ男を無惨にも、撃ち抜く無数の光の槍。

攻撃が終わってから、落ち着いた足取りで導きの花地図を出しながら、花樹が歩いて来た。


由紀は折角のいい所を奪われたのと、

花樹が技の同時発動という高難度のことをやっていることに、しばらく空いた口が塞がらなかった。


「ごめん。まさかとどめを指すところだった?」


「あ。いや。いいんです。ちょうど苦戦してて。あははは」


由紀は苦し紛れの苦笑いをとった。


それから男を拘束して、KSLに通報して一件が終わった。


二人でゆっくり歩きながら、火炎達を探していると。空から疾風が降ってきた。由紀はそれをキャッチし、花樹の技で回復した。


「この日までには会いたいな。もう夕方になりかけている。」


由紀は傾いた日に目を向けてそう言った。

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