第11話妖精と少女

・小話・

名前をなんて読んでいいのか分からないと言われたので、読み方と、能力をまとめました。


氷河 火炎(ひょうが かえん)

能力⁑業火


雨風 雫(あまかぜ しずく)

能力⁑雫→ウンディーネ


音色 響喜(ねいろ ひびき)

能力⁑音


氷河 由紀(ひょうが ゆき)

能力⁑吹雪


疾風(はやて)

能力⁑白風


あ!そうだ!前回の話の中でKSLとありましたが、KSLとは、K 警察

S消防

Lレスキュー

の略です。説明もなしに出してしまい申し訳ない。どんな事をするかというと、名前通り消防 警察 レスキューなど人命に関わる事をします。


お分かりいただけたでしょうか?

記念すべき10話を超え、読んでいただく皆様の息抜きぐらいで良いので、

出来るだけ期待に答えて行きたいので

これからもお読み下さい。


小話はここまで、本編をお楽しみ下さい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ゲホッゲホッ・・はぁ...はぁ...」

由紀や響喜がいるのにどっちかといえば、押し負けている。

しかもダメージを与えるどころか、近づけもしないし、攻撃も何度か受けている。


このままじゃ俺の火が無くなってしまう。

時間が立つごとに、危機感を感じるようなった。

※能力について

能力にも弱点がある。火は水に弱くて、草に強いなど属性的な弱点もあるが、個人的な弱点もある。例えば火炎の能力だと、火を出せる量が決まっている。火を使い過ぎると回復するまで、時間がかかる。

などの様に個人的な弱点がある。※


それは、響喜も由紀も同じ危機感を感じているのだろう。


なのに相手の危機感を全く感じない。

しかも、弱点すら分からない。


そろそろ打開策を見つけないと、まずい。


俺の顔色が悪くなったのを見て、相手から不吉な笑みがこぼれた


「かぶとの奴がやられたから、少し注意してたが、案外そうでもないかもな。今自分の弱点が危ないし、相手の弱点すら分からない。って考えているだろう。大丈夫、見つかる前に殺すから。」


話しながらでも的確に俺らに攻撃してくる。


KSLの人達と俺らも合わせて、20人近くは、いるのに全く攻撃を与える事ができない。


これ以上暴れられたら街や街の人達も

危ない。と考えるが自分も考えていられる余裕すらない。

だんだん考えも顔も暗くなる


「くっくっく・・・何だその顔は、やっぱそうでもなかったな。」


さっき浮かべた不吉な笑みは、勝利を確信した勝利の笑みに変わった。


もうダメなんじゃないかとどんどん考えは暗闇の中を進んでいく。

「もうダメだ」 「終わりだ」

と嘆く人達だって増えてきた。


もう...ダメかも...


その時、諦めという暗闇に一筋の光が差し込んだ。

その光は、やがて暗闇すべてをかき消して、明るく照らしてくれた。


「皆さん諦めないで!傷を癒しますから。妖精の涙」


[妖精の涙(ようせいのなみだ)

広範囲に治癒の雨を降らせる。一気に回復するのではなく、じわじわと回復するサポート技]


優しく放たれた言葉は、やがて雨を降らせた。

強くもなければ弱くも無い、いい強さの雨は、俺らや、街の人々の傷を癒していった。

雨なのに温かい水の粒は、傷を閉じ、治してくれた。

怪我を負っていた街の人々は、たちまち治り


「神様だ〜神様がこの雨を降らしてくれたのだー!」


と喜びつつKSLの人に安全なところまでつれていってもらっていた。


でも何でこんなに高度なサポート系の能力は知らない。

疑問は、直ぐに解けた。

目の前に雫が現れたのだ。

俺は、とっさに


「雫危ないから出てくるな!」


ちょっと強張って言ったが雫が直ぐに返してきた


「もう心配はいらない。私も戦えるから!」


そう言うと男の笑が止んだ。


「お前、相当強いな。火事に対して雨を降らせた。そして同時に治癒もして、俺には、その雨を当てない。」


男はさっき浮かべた笑みをやめて、雫を敵対の目でカッと睨んだ。


状況についていけなくなった俺たちは、雫に口々に質問した。


「何だ君は?」「雨は君の仕業なのか?」「雫何があったんだ?明らかに能力が違う。」


「ちょっと待って!答えは、後から出すから。今は、集中させて。」


空気を読まない質問に呆れたのか、

少し怒った感じで言われたため皆静まったが、俺だけは、口が進んだ。


「雫能力のコントロールは、どこで身につけたんだ。」


聞きたたい答えを聞き出そうにも、焦ってしまって、大事な一度きりの質問をこれじゃないだろという質問をして終わらせてしまった。


☆★☆★


「はあはあ・・・まだまだもっと強くならないと。」


小さな水を的に当てている。

雫とダーツの的の間は、50m程だが、この距離で当てるのは、至難の技だ。しかもほとんど真ん中に当てている。

何度もしたのか、的にはかなりの量の穴が空いている。


真ん中に当てるほど高度なコントロールをしているのに、まだまだと言い、雫は何度も打ち込んだ。


「はっはっはっ。今日もやってるのか。早くやめなよそんなこと。お前の能力は、いくら足掻こうとゴミのままだ。」


練習中の張り詰めた空気を壊す様に、急に入ってきた兄は、雫の頑張りを簡単に笑い、文末に軽く殴った。


雫の兄は産まれながらとても強い能力を持っていて家族もそうだ。

しかし一人だけ弱い能力を持った雫は、能力が発生してから家族から笑われて来た。


雫があんなに頑張った理由はこの環境から、出たいがためだったから。


ただ自分を認めて欲しい。

信頼できる、仲間と呼ぶことのできる

人が近くにいて欲しかったから...

★☆★☆


「いい話だが、茶番に過ぎん。そこしまったが、無駄だったな。」


話を静かに聞いていたが、話が終わると

男は呆れた感じで言葉を発し、龍で攻撃して来た。


「すみません。では、正々堂々。

妖精と少女の力を見せたあげます。

妖精の目くばせ。」


[妖精の目くばせ(ようせいのめくばせ)

指先から水を弾丸の様な形にして高速で出す。]


「サポート系の能力なのに、このリヴイヤサンに勝てると考えるとは、愚かな。

身の程を知るが良い」


強く放たれた技名と共に雫は、手を、小さい子供がよくする銃の形にした。

男はそれをサポート系だから弱いと考え込み、勝ち誇る様に馬鹿にした。


ドパーン!

雫の撃った水は、空気を貫き、龍の右頬を撃ち抜いた。

さっきまで俺たちが束になって大苦戦だった龍を簡単に撃ち抜いた雫の弾は延長線上に立っていた男の眉間を撃ち抜いた。


俺は、体に巻きついていた緊張の糸から解き放たれたような安堵に包まれた。

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