あなたー僕目線

「やっぱり、ダメみたい。」



ひとりになろう。

そう、決めた。



君は何も悪くない。一緒にいる時間よりも自分の時間を大切に想ってしまった僕のせい。



最初からいつかこうなるって分かってた。だけど不思議と居心地が良くて、気がついたら二年。あれ、三年だっけ?



「どうして二年半も。」



そっか、二年半か。



昔から言われる言葉。


ーお前は他人に無関心すぎるよ


そう言われても今までは自覚も何も、なかったけれど。23歳。今になって、なんとなく分かった気がする。それでも三年、いや、二年半。一緒にいられたのだから、君には縁を感じるし、何より、沢山の感謝であふれている。




「それならもっと早くに切り出してくれたら良かったのに。二年半だよ。二ヶ月半とは違うんだよ。」



君は多分、このあと泣く。僕の前では泣かずに帰るけど、一人になって泣いてしまう。




「うん、ごめんね。」




求めているのはこんな言葉じゃないんだろうけど。この先の君の気持ちが心配になって、笑顔はつくれなかった。でも、こうするのが一番いいと思うんだ。もう僕は、君といられない。君だからダメなんじゃない。いや、君だからダメなのかもしれないけれど、少なくとも僕は、他の誰とでもなく、ひとりになりたい。



「もういいよ。貴方に私は、もういらないんだね。」



悲しそうな声色で、君は言った。



「いらないって表現は、正しくないかな。」


そう、正しくは、


「いらないんじゃなくて、いちゃ、いけないんだ。」



僕と一緒にいることは、いけないこと。

ひとりになりたい人間に、誰かが寄り添っていては無理をするだけだから。




そうすると君は頷いた。



「元気で。」

「うん。」



コトン、とホットココアが運ばれてくる。

小さな笑みを見せるウェイターにお礼を言って頭を下げる。


君は、寂しいのかな。

僕は、どうだろう。



いつか君のことを思い出す日が来るのだろうけど、それよりも僕は、僕を選んだ。


無関心すぎる


その言葉の意味を探ろうとすると不思議と虚しくなるものだから、今日という日も流してしまおう。




さようなら、僕と君の時間。

二人でいるには、少し、追いつかなかった。

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