第2話不思議な能力
昼休みの時間になった。
俺は屋上に出る。
屋上には誰も居なくベンチが1つ置いてあった。
俺はそこに腰掛け購買で買ったパンを食べ始めるのだ。
ギィィ
扉の開く音が響いた。
「へ〜ここは良い眺めですね」
声の主は先薔薇だ。
ここの屋上は基本的に誰も来ない。
言わば俺の特別席みたいな所だ。
「ドア壊した跡ありましたけど、一片君が壊したんですか?」
ニコっと気味の悪い笑顔を見せながら近づいてくる。
「別にいいだろ。それより何か用か?」
「まあ、ここまで来て何もないなんて事あるわけないですもんね」
俺はベンチから立ち上がり構えを取る
「僕こう見えても強いですよ?喧嘩…します?」
俺には分かる。
ただのホラ吹き野郎じゃない。
顔に似合わずこいつは喧嘩慣れしてやがる。
それにこの言い方…喧嘩が目的じゃない?
「お前の目的はなんだ先薔薇!」
「やだなぁ…僕はただ君のクロニカルを見たいだけなんですよ」
「……は?くろに…かる??」
くろにかるって何だ?クロニクルの事か?いや、はっきりクロニカルと言った。
こいつは何を言ってるんだ?
「おや?その顔…まだ発動してないのですか?」
「何の話だよ…」
「おかしいな…吸血鬼が君をマークしてたから絶対クロニカル使いだと思ったのに」
こいつ今吸血鬼って言ったか!?
吸血鬼ってあの吸血鬼か?
「お前吸血鬼の知り合いか?」
「いえ、敵です。」
「敵?」
「いや、ここから先は貴方には関係ないみたいなので僕は失礼します」
そう言って先薔薇は踵を返す。
「ちょっと待てよ!クロニカルだとか吸血鬼だとか俺に何か関係があるんじゃないのか!?」
「忘れてください。僕の勘違いみたいです」
そう言って先薔薇は校舎へ続く扉に向かう。
こんな訳分かんねえ状態で、みすみす帰すわけにはいかねえ!
俺は先薔薇を追いかける
「ちょっと待てって!」
「君もしつこいですね…」
「そりゃそうだろ!全然話が見えないっつーの!」
「はぁ…」
とため息をつき先薔薇は振り向き俺の顔を見る。
そして右手を広げ前に伸ばす
「クロニカル」
そう言うと先薔薇の伸ばした右手に[パキパキ]と音を立て何かが無から作られる。
「アイス・バーン」
更にそう言うとその何かが、勢いよく発射されコンクリの地面に叩きつけられ割れた。
俺はその割れたものを見た。
「氷…?」
あまりにも驚いてつい、声に出す。
そう、先薔薇は無から氷を作りそれを飛ばしたのだ。
大きさはテニスボール程だ。
「おや?視えましたか?」
「あ…あぁ…氷だ…お前氷を作ったのか?」
「なるほど…素質はあるみたいですね。」
「これがクロニカルなのか?氷を作るのがクロニカルなのか?」
キーンコーンカーンコーン
「おや、ベルが鳴りましたね。僕は戻りますよ」
「おい待てよ!まだ話終わってないだろ!」
「今のが視えたのならいずれまた話す機会がありますよ」
そう言って先薔薇は校舎へ入って行った。
超能力とか2次元の中の話だと思っていたが、いざこうして目にすると
俺は何もできない人間なんだと思い知らされた。
俺は考えてみた。
多分きっとクロニカルってのは、さっきの超能力の事で、人それぞれにクロニカルがあるんじゃないか?
例えば……人の血を吸うようなクロニカルとか…
「ちぇっ…パン食いそびれちった…」
クロニカル @NIAzRON
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