昔隠す閃光
今は昔。
そう聞いて、あなたは何を思い浮かべただろうか。
いや。そんなことは、いい。
とおいむかし、
ひとりのおんなが、
しまにながれついた。
めがみどりいろで、
けなみはまるでなっていなくて、
じぶんがだれだかわすれていた。
ともだちをさがそうとして、
こえをあげた。
へんじはなかった。
なにもきこえなかった。
けれど、
なにもなかったわけではなかった。
かぜがさっていく。
ほのおがもえていく。
みずがながれていく。
だいちがそこをいく。
信ずる者無き神、
それ即ち、
風、地、炎、水らの自然と同じ。
信ずる者ある神、
それ即ち、
炎が照り、
水が降り、
地は風と共に恵みを運ぶ如き、
施しの力を得る。
けものをかのじょはあいした。
かのじょをけものはあいした。
あいをずっとしんじた。
はじめはいたかった。
ちをながし、
なみだもながした。
ひとがここでいきをついた。
やまは、
かがやきのましつづけるのを、
ゆるさなかった。
かがやきがましていくのを。
かれらはくわぬをおぼえた。
かれらはくわれぬもおぼえた。
ゆえに、
くらうものをうみだした。
めのような、
ひものような。
そしてそれはいつか、
ひとをむしばみはじめた。
ゆえにかのじょはつるぎをもった。
かがやくけものがりのつるぎを。
きえん。
それはのぼりゆくほのお。
しほうをかこむようなちから。
まなかにたつ、
えらばれた3つ。
あんうんがこのしまをおおった。
それを3つははらいのけた。
そして3つは、
あるひ、
やまにかえった。
せかいはあれらをわすれない。
せかいはあれらをみつづける。
ひとをみて、
かがやきをたやさぬすべを。
けものをみて、
いのちをたやさぬすべを。
ほしはおぼえている。
すべてをおぼえている。
しりえぬことまでも。
すべてを。
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