あぁ暗闇よ旅を泣く。 2
まだ来るのはわかってる。
きっと、
「オオアルマジロ…かな。」
勢いよく壁を転がるように走ってきたオオアルマジロセルリアン、略してアルマリアン。
そして、
「マスター、もう一体!いや二体です!」
同じく勢いよく突っ込んで来たのはとげとげしい見た目のアフリカタテガミヤマアラシセルリアン…いや長いな、ヤマアラシリアンでいいか。そしてソレを投げつけて来ていたのは鋭い眼光のハシビロコウセルリアン、ハシリアンでいいか、走り屋みたいだけど。
さて三体、どう卸そうか。
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「うーん、なにがどうなっているのやら…」
園長さんがコーヒーを飲みながら唸る。
「わかりません…ただ漠然とセルリウム製の塔としか…」
カコ博士は資料を睨みつけては目を閉じまた見開きを繰り返しまるで寝不足のよう。
今日はぐっすりだったと本人が弁解していた。よほど悩んでいるのだろう。
ここはセルリウムタワーを研究しているついさっき出来た掘っ立て小屋の研究所。
「そういえば、ネジュンとかって子、どうしたんでしょうね。急に居なくなったけれど」
うわぁ~ん!やっぱり園長さん私じゃない子の方が好きなんだ!私の事は心配しないのに!!!
…って事では無くて、実際私もソレは思っていた。「さっきまでいたよね?」と私は言った、ソレがイエスで帰ってきたので間違いない。
「私、どうもあの子どこかで見た気がするのよね…何処だったかしら?」
「カコ博士、それはどういう?私は職業上人の顔を覚えるのは得意ですが…お客様にも職員サイドにも、そんな方居ないかと。緑の瞳…誰だろうか?」
「でも、園長さんが覚えて無いのにカコ博士が覚えているって……博士の身内なんじゃない?」
「私の身内?……
緑の瞳…
…リネン?」
まさか…
シキ君の!?
「「「妹!?」」」
「確かに言い回しとかそっくりかも!彼女の正体を探っていけば、シキ君の本当の親さんとかもわかるかも~!?」
私は、喉を潤すべくおおきなジョッキ…は研究所なので無い故大きめのビーカーに注がれた氷だらけの炭酸飲料をカランカラン鳴らして飲んだ。
「薄くない?そのス◯ºラ◯ト」
「おいしーかも~!」カラカラカラカラ
「ビーカー割れるからやめて下さい!」
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「へぶしっ!」
僕は戦闘中に勢いよくくしゃみしてしまった。
「マスター、お風邪ですか?マスターの体内に強力なウィルスは検知できませんが…」
「わかんない!それより目の前をどうにかしなきゃいけないでしょ!!」
目の前、というのは未だ続く堅い防壁とその奥から狙いを定める眼光の事。すなわち三体のセルリアンに対してである。手も足も出せずにいるのだ。
「どうしようか…裏をとることが出来れば…」
『人数負けしています、戻って救援を呼ぶべきでは?』
「いや…これで行こう。」
『了解、タイリクオオカミアーマー。
Ready?』
「装着ッ!」
タイリクオオカミアーマー、人手不足に強い。
「ほーらいけ!」
なんとタイリクオオカミ型エネルギー光弾を放つ事でしばらく群れで戦う事が出来るのだ。最大3体まで。それぞれの核のサンドスターが切れたら終わり。一体一体の攻撃能力を設定する機能があって、今回は一体が特攻、二体を撹乱型とした。
「ふんふん…これで立ち塞がるおおきな壁の後ろを攻撃できる!さぁオオカミ連合、敵のドタマぶち抜きにいきますよぉぉぉぉっっっ!」
二体のオオカミがバキバキ地面のセルリウムを砕くように走り抜けていく。その走るスピードは本物のソレと大差の無いくらいのモノである。
そして、特攻型と僕でタッグラッシュ!
「ふんっ!……硬い~!」
なんなのこの硬さは。
盾役の二体が思ったよりしっかり護っている、まぁ片方はトゲトゲな槍持ちだし仕方ないのか。
あと大変なのはハシリアン。スナイパーか何かしてたほうがいいよ君。偏差打ちしないで。
…いや、仕方ない。とか。
無理とか。僕嫌いだから。
お母さんがよく言う。
『あなたはお父さんによく似た目をしてる。あの人は冷たく見えるけど、凄く暖かい。あの人は一見人の事を考えて無いようで、理屈っぽいようで、実は凄く他人を想ってて、情で動いて、そして諦めず立ち上がってきたの。あなたがそんな風になってくれたらうれしい。』
って。
「僕がセルリアンが嫌いな理由…
ひとぉつ!本能とはいえ幾多の人を困らせる!
ふたぁつ!本能とはいえ幾多の物を壊す!
みっつ。
僕のお父さんを殺したからだ。」
こんなことで折れていてたまるか、紛い物同士仲良し小好しなどしていられるか、お前達を必ず
「仕留める。」
『オオカミ3体に告ぐ。マスターの命令だ。総員総攻撃せよ!怯むな!』
「守るだけじゃ勝てない!要は壊せばいい!ソレが」
「『最適解率、99,9パーセント。』」
流石に攻めまくられればどうにか崩せる…!
『HUGALAL!?』
見えたっ。
「隙ありッ!行けっ!」
『GALAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
隊列崩壊!
「我々の勝ちはそこだ!」
『Howling of the earth!』
「大陸の遠吠えを聴きやがれッッッッッッ!」
ぱっかぁぁぁぁぁぁん!
まぁ、最初から音で攻めれば良かったのですが。
ちょっと。僕頭が沸騰していたみたいで。
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