いつかの。



いつかの貴方へ


お元気ですか?

私です。お元気ですか?


最近、娘がすこし貴方に似てきたような気がします。

気のせいでしょうか。

カッコイイ貴方の姿を、

彼女は無意識に追いかけているのかもしれませんね。


なんて、いつかの貴方に話した所で、

「気が早いですよ」

とか言うだけで、私をおいてけぼりにするんです。


しょうがないですね。


いつかの貴方は

娘のことも

お姉さんのことも

新しい英雄のことも

私のことだって

何も知らないのだから。


今の貴方も、知らないのでしょうか。

毎日、おしゃべりしているもの

知らないなんて、言わないで下さい。

きっと知っている。

そう信じています。

だって、まだ貴方の手は温かく、

何処かやり切ったのだと安心する瞳が、

燃えるかのように時折光って、

口元にうっすらと笑みを浮かべるのだから。

私が辛くて、

よく日の当たるベッドに寝ているあなたに抱き着くと、

すごく悲しそうな顔をして、

黙って聞いて、

そして優しい顔をする。


孤独では、

ありません。

しかし。


私はよく後悔するのです。

あのとき…って。

あのとき、あのとき。


あのとき。

もう少し早く、

私が気付けば。


お願いしていれば。


よかったのかなって。


貴方の気持ちに気付いた時には遅かった。

私が、

ヒロインみたいな顔して

ここにいたから。


貴方は昔から、面倒なひとです。

もしかしたら、

すっぱり、諦められたのかもしれないのに。

いや、貴方のせいじゃない。

貴方は、名実ともに真の英雄になった。

以前のように、

貴方とアナタとか。

私たちだけじゃなくて。

顔も名も知らない誰かを、

誰かの平和を

誰かの為に。

今度は貴方の意思を継いで。

誰かの為に、

力を尽くそうと思います。

それを、あなたが望むなら。



あぁ、筆を握る手がかすんでしまいました。

神様、時の女神様、どうか。


この手紙を、


いつかの彼に。



       貴方を世界で一番愛している

          貴方のお嫁さんより。







_____________________________









いつかの貴女へ


これを見ているなら、

貴女は、

俺との約束を破ったことになります。

パソコン見ないでくださいって言っといたのにね?

まぁ、

俺は俺で、

とんでもない約束を破ったのだろうけど。


帰るって、言ったんだけどね。


ごめんなさい。


きっと、

きっと、

さみしいよね。

さみしい所じゃないよね。

憎いよね。

俺のこと、嫌いになってしまったかな。


でも、もう決めてたんです。

どうやっても無理だろうから。


俺は、今どこにいますか?

貴方のそばに、いますか?

どうでしょうか。

もし、俺がそこに、

物理的に“存在している”なら。

LBsystemに、全てを託したので。

どうか、俺の力、

わずかだけれど、

受け取ってください。

元々は貴女の力、

使えない事はないと思います。

タイプツー、わりといい奴なんですよ?

口は禍の元ってことわざをインプットしておくべきだったかな。

大丈夫、きっと、世界はうんと美しい。


身勝手なものですよね。


貴女を巻き込みたくない。

でも、

巻き込んでしまった。

わがままで、

面倒な男でごめんなさい。


どうか、俺の、貴女の、姉さんの。

みんなの、

愛したパークを愛してください。








いつだったかな、

貴女が昔のことを、

教えてくれたの。


俺と一緒だって、

思った。

だって、

誰も理解してくれなかったんだもんね。

運命なんじゃないの?

笑ってくれた。

一人はもう、

考えられないって、

言ってたのに。


孤独を忘れていたのに、

それを、思い出させてしまった。

判断を、

誤ったのでしょうか。













……

この世で、貴女のことを一番愛しています。


この世で、一番貴女にお世話になりました。


もし、


なにかの奇跡で、



貴女に、

笑いかけることが出来る日が来たら。



 





どれだけ、

どれだけ、

謝ればいいのでしょうか。



      貴女の事が大好きでたまらない

            面倒な眼鏡より。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る