エンドレス・エンドレス
「いつまでもの続きは…」
「いつかにお預けです。さみしいけど、お互い色々あるから仕方ないですね?」
「はぁぁぁ…やっぱりそうですよね、ごめんなさい。…終わらない事なんて無いんですよね。できればあなたとずっとずっとずっとずっと一緒にいたい。けど、そんな事ないですよね。」
申し訳ない、ほんとうに申し訳ない。
おはようからおやすみまで、いられる時はずっと一緒にいてあげたいけど、仕事っていう仕事じゃない仕事をしている人間だからな…
さて、名残惜しいが仕方ない。
俺はあの塔をどうにかしないといけないんだ。
一日中キスしてハグして居たいがそういうわけにはいかないんだ。
俺はベッドの上でシーツただ一枚だけの姿の彼女にキスをした。
「んぅ…やめて下さい…離れたくなくなっちゃうから…ねぇ…もう、バカ。お馬鹿さんですね…好き、五分だけ、あと五分、ねぇごふぅ…ん…んちゅぅぅ…」
「…五分、すぐですよ?」
「あなたの邪魔、したくないから」
「優しすぎですよ、ジェーンさん」
「優しいあなたが好きだから、私もうーんと優しくしてあげます」
「俺だってジェーンさん好き、俺もずぅっと優しくしてあげます」
「あぁ、もう一分」
「えぇ、早すぎる」
「あとどれだけ好きって言い合えますかね。」
「多分あと100回は好きって言い合えますよ。」
「やりませんか?」
「疲れちゃいます」
「ケチですねシキくん」
「そ、そうですかね…」
「あぁぁっもう二分!」
「じゃもっとハグっ!」
「ガッつきますね…!ならこうです。」
「んぬぅ…んま…ぁ!キス…強すぎ。」
「はぅ…あ、なたも、ですよ」
「お互い…じゃないで、すか」
「気づけば五分、でしたね。シキ君…。好きです。無理だけはしないでくださいね…ホントに…大好き。帰ってきたら今度こそ一日中一緒にいましょう?おいしいものたっくさん食べてきれいなとこたっくさん見ましょう?二人の時間、二人の暮らし。それがそのうち三人の、四人かな?とにかくにぎやかな生活になって…もちろん、あなたとずぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっっっっっっと二人でお互いのいい所見つけ合って褒め合って静かに暮らしていくっていう未来もいいですけど。とにかく、あなたがいない事にははじまりませんから。」
「…ごめんなさい、もう、10分です。」
彼女はその身に纏ったベッドのシーツを投げ捨て、一糸纏わぬ姿で部屋の彼方此方をどったばったと駆けた。
俺は思わず、噴き出した。
彼女はひどく赤面した。
が、彼女は
「いってらっしゃいはエプロンでしてあげたくて…結局この部屋にしまって放っておいたままだったんですね」
そう言って素肌の上にエプロンを着た。
男はひどく赤面した。
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まずこれだけは聞いておかなければならない。
こっちもいろいろ困ってしまうから。
「さて、姉さん。どういうことか説明してくんない?」
「だから、私だって知らないのよ!この時代に無いものの話なんかされたって…ってか、私が作ってないから知らない!」
「…この時代に…ないもの。か。」
「さ。そんなことよりスタースクリューの調整よ。てかリネン、これ使ってる?」
…つかってない。
すまない、使ってない。
あの英雄に顔見せ出来ない。
…俺が見せる顔なんて何もないけど。
やっぱり…
そんな表情をした姉さんはなんだかあきれているようにもみえた。
でも、仕方ないだろう。
使いどころに困るのだ。
一長一短のフレンズの能力を随時使い分ける方が圧倒的に簡単だし、圧倒的にコストも軽い。
それに調整不足なものを実践投入などというリスキーなこと出来たもんじゃない。
いや、しようと思えば全然出来るんだが、流石にそんなことしてまで調整して自分が死ぬとかは嫌だからな…。
「って言い訳じゃない。そんなんでいいわけ?」
えぇギャグかよ。
いいわけ無いじゃろコンニャロ。
「とにかく、何があるかわからないから。しっかり調整していきなさいよ。お嫁さんといちゃいちゃしてもいいけどほどほどにね」
「グレープさんとかレイバルさんは?出れそうかな?」
「要請出しといたよ。多分大丈夫。安心しといて」
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参ったな。
あれは僕の…お父さん。
お父さん。
お父さんかよ。
「いや…そもそも、お父さん?そんなはずないんだけど。」
『マスター。あなたの父は生きていた…そういうことじゃないんですか?』
「それじゃあんなに若いのに説明が付かないよ。僕のお父さんは…この塔を壊したときに死んでるって。お母さん言ってたしさ。」
『…もし生きていたらもう30代。可能性はほぼゼロって感じですね』
「だよね~…てかお母さんそんな事になったら発狂しちゃうよ。今もお父さん…いや、名前を持ったロボットに執着して離れることが出来てないのに。」
『…わかってあげて下さいマスター。彼女は…』
「知ってるよ。別に僕なんとも思ってないしさ。それより、今は何年なの?」
『2019年。ここはおよそ我々の生きる時代の17年前に当たります。塔の幻影かどうかはわかりませんがとにかく見ている景色は2019年の物です。』
2019年。
僕は、できればここに居たくない。
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