かのシャーロックホームズにさえ出来ない芸当ってなんなんだろうと考えるには長くお別れを言ってやろうとアレコレ台詞を考えるには全然足りない微妙な時間が俺には必要だと思う。どうだろうか。


かのシャーロックホームズにさえ出来ない芸当ってなんなんだろうと考えるには長くお別れを言ってやろうとアレコレ台詞を考えるには全然足りない微妙な時間が俺には必要だと思う。どうだろうか。


「俺は不幸だ。」


「…そうか?おかねって奴は沢山ある方がいいんだろ?」


酒の席で仲良くなれた時の事だ。



彼女はイイコだ。

酒の席って事もあったんだけど、めっちゃ話聞いてくれる。もちろん向こうの話も聞いてあげている。当たり前だよね。


「俺の家さ、元々結構貧乏だったんだよ。

…いやまぁ全然学校も行けないような貧乏じゃ無いんだけど、ババア、ってかまぁウチの母親なんだけど、ソイツがまぁ中々ヤバくてさ。すぐに男引っ掛けて来たりとかで…

 父さんが銀行員でさ、収入は悪くない…

 まぁ、パッと消えるんだけど。

 あの金持ちのオエライさん引っ掛けやがって…死んだ父さんの供養もなんもしないでこれだ。あんなカネマミレ、俺ァもう嫌だ。」


「そーゆー理由なのか。なんか、残念だな」


「残念?」


「あーいや、なんでも無い。」


…?まぁ良いけど。

何が残念なのかはわからないし、俺の父さんは目の前で死んだワケでは無かった。

船での事故で、父さんは海へ投げ出され行方不明になった。…どうせ死んだ。


「父さん、なんて名前なんだ?」



神智しんち 学文路かむろ


「…神智学文路。俺は神智鳶矢だった。」


「へぇ…シンチ…ね。え”?シンチ!?」


酒の力で更に大きくなった彼女の声が飛び跳ねる。


「そうだけど…何?」


「シンチ…シンチ!なるほど、わかった!!!!」


「ごめん、どうがどうなってるの?何処に合点行ってるのか知らないけど…」


わりぃわりぃ…と彼女が始めた話によると


彼女の活動しているPPPの楽屋に彼女のギターがあって、そのギターは元々楽屋にあって、裏には

「Sk→R SEE YOU AGAIN ,BUDDY」

と彫ってあるんだそうだ。

和訳すると「またね、相棒」

彼女の読みが正しいのなら、このギターと言うのは俺の父さんので、先代イワトビペンギンのギターは父さんのものであり、二人は親密な仲だった。

ということになる。


ジャパリパークには何度か初期運営の時に来ていたが…父さん…まさか。






____________________

















「これを置いていこう。

 …僕はもう、ここには居られない。」




「カムロ…?ッ!カムロ!!!!!!!!」









「悪いけど僕はもうここには居られないんだよ。…ありがとう。イワビー。」


「だからって何も言わずに出て行くなよ!

 何も…何も言わずに!」


「僕にそんなことは出来ない!

 帰って来たくなる…

 足が…動かなくなる…。」


「悩んでんだろ!迷ってんだろ!?」

「もう決心したさ!」

「じゃあなんでこんな所いんだよ!

 さっさと行けよ!


 …オレだって…行って欲しかねぇよ

 顔見ちまったらもう無理だろ…?」


「僕を好きに、本気で好きになってくれたのはキミだけだった…ありがとう、イワビー 

…大好きだよ。」


















「勝手なこと…しやがって。」


オレの気持ちも知らないクセに

オレの一番そばにいてくれたクセに



「あんまりにも勝手過ぎる。

  オレだって、大好きなのに…ッ!」









____________________







「えーと…烏先 報外流ほうとるさん…?今日は俺に何の御用でしょう」


珍しく「俺に会いに来る」お客様である。大概姉さんかジェーンさんに会いに来る人ばかりだが。


「お初にお目にかかります、辿未 輪念さん…いや、節来 式さん。」


「ご存じでしたか、俺の事。」


えぇ…存じ上げますとも…

そんな作られた笑顔でええ、まあ。と答える



嫌な予感は当たりだ。


「実はですね…我々は貴方様方の素晴らしい技術を学びたい…サンドスターを活用する方法…といえば良いんでしょうかね。それらを学ばせて頂きたい…」


「お断りします。お帰り下さい。」


…どう出る?


「まぁそう言わずに…企画書だけでも…」


仕方ない。読むか。

サンドスターを燃料化、分離、化合等の活用方法の伝達…ふん、もうやってる事を教えろと…

後は…

フレンズの統率や“軍事利用”だとぉッ!?

うるせえ問答無用で却下だ却下だ!

誰がこんな金と暴力にしかキョウミの無いバカヤローと手ェ組むかっての!


「…あらためて言いますが、お断りします」


「何故です?貴方も仲間が増えることになるのですから、メリットしか無いはずです」


「メリットなんて何処にもありません。

 別に仲間が増えても困るんで。では。」


「フレンズの力サンドスターの力の大きさは貴方もご存じのはず…また何故デメリットの塊だというのですか。」


「本来そんな使われ方をしてしまっては困る物質なんです、コレ。俺の研究は国とパークに目を通して貰ってやっと成り立っているので、一般企業様には申し訳ないけどお断りさせて貰います。」


「家畜や奴隷になるのが目に見えてるフレンズ如きに感情移入ですか…感受性が豊かでいらっしゃるようで。貴方をみているとカムロを思い出しますね…アイツも馬鹿だった。あぁ物わかりの良い方だと思ったのに。残念」


「なおお断りします。それでは。」


「遺言はそれでいいですか?」


ふむ…武力行使か…

なおさら駄目に決まってんだろバーカ。


「遺言…ですか。じゃあ一言…“装着ッ!”」


研究室だぞ?ここは俺の防衛拠点だ。

そこらカネモチ共のオエライさんなんて敵のテの字でも無い。


「うぐぁ…なんだ!コレは!?」


「セルリアンの腕の動きを真似て作られたクレーンハンドです…我々にとってはセルリアンというのは謎多き生命体であり、絶対悪では無いので、いなくなっては困るのです。生業にしているフレンズもいるのでね。

軍事利用等も諦めて下さい。

では、失礼します。お持ちでした拳銃は回収し、俺の喋ってた後ろで研究員のコスプレをしていたお兄さん方も捉えさせて貰ってます。俺自慢じゃ無いけど研究員の顔と名前全部把握してるし、ここは部外者入室禁止でなのでまぁバレないと思った方がおバカ様ですね。銃刀法や盗難事件等として、警察とパーク本部へ連絡しました。


…俺の仕事は終わりです。烏先社長様…

汚職、バレないと良いですね。」





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「うっそぉ…あのジジイ捕まったのか…」

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