頼むからテレビの音に反応しないでくれスマホの音声認識くん…
「はぁ…疲れた。タコは良いなぁ、頼れる彼女がいてよぉ?」
「俺に言うな…それに、お前優しいからさ、すぐにいい子見つかるよ。」
無責任な…お前彼女ちゃんに甘えてる…
いや、彼女ちゃんに甘えられてるじゃねぇか
おっと、失礼失礼。
自己紹介しておく。
もしかしたら俺のこと、知ってる人もいるかな?
俺の名前は
奥都蓮夫(タコ)の同期で、何故か俺はイカ呼ばわりである。鳶矢という名前があるんだ、そう呼んでくれよ。
そんなタコとイカの海鮮コンビは、海鮮の美味い居酒屋『権常 惨事』で今日もまた飲めもしない酒の香りを浴びて刺身を頬張る。
…俺は酒飲めるぞ。
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『まぁだ帰ってくる気無いのか?』
「だから、もう帰らねぇって言ってんじゃん…俺はここで暮らすんだ。決めたんだ。だからもう関わるな。」
『そう言うな、これはお前の為に言ってるんだぞ?それに、コッチで暮らした方が絶対的に良いに決まってる。収入もそうだし、お前も男だから…ほら、イイコと暮らしたいだろ?』
「コッチで上手くやるって、何度言えば良いんだ…俺の好きにさせてくれ、じゃぁな」
『あっ!まt…』ツゥーツゥーツゥ…
…本土に帰る気は…無い。
誰があんなカネにしか興味のない奴のところに帰るか。
俺がここ、ジャパリパークへ就職、移住して来た理由。それは、家の奴らから解き放たれたかったからである。
俺が何をするにも決める。
親の会社に勤めさせられるところだった。
ドブラックだし、人の下で働かない状態でぽんと上層部へ行くなんて、嫌だ。
親が結婚相手に、と連れてくる奴はどいつもこいつもカネが好きで好きで堪らない奴の間に生まれたカネにしか興味のない妙に整った顔の美人ばかりだ。正直キモい。吐き気が。
これは俺の反逆だ。金を移住代と一ヶ月近く暮らせるだけの分だけ持って出て来た。
だがどうだ、カネは恐ろしく人をかき回す。
すぐに俺の居所はバレた。
世間に話が回って貰っちゃ困るんだろう。
俺はここにいればとりあえず誰も来ねぇ。
あーねむい。
父さんは優しかった。
ジャパリパークに逃げたのも、父さんのお陰
俺が3歳の頃に。天国へ。
ギターが好きだったよね。父さん。
「父さん…俺が正しいよな…?頼む。
そう言って欲しいなぁ。」
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「イワビーさん、またギター弾いてるんですか?いっつもお上手ですけど、練習したんですか?」
「お?ジェーンか。
いやぁ有難いことにな、練習あんまりせずに大体引けるようになったんだよ!毛皮脱がなきゃやりにくいし、こーど?とかって奴はあんまよく分から無いけどな…」
PPPの楽屋に、仲の良い二人が。
「このギターだって、元々楽屋に置きっぱなしだったんだよなぁ。誰のだったんだろうな?」
「先代…?」
「ん?先代?…あぁ。なるほどな。」
彼女はイワトビペンギンのイワビー。
ギターに描かれた絵について盛り上がった奴はイカ。
先代というワードを聞いて反応したのはもちろん何時ぞやの酒飲みの席で仲良くなったそのイカとやらの話に出て来たからである。
「先代…か。」
「烏先家の恥…か。
そうは、思わないけどな」
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