神も仏も居やしない。
神。
人知を超えた天の向こうの光。
手の届かぬような世界の。
仏。
悟りを開き、自らを人知を超えた光へと昇華させた者。
こんなヘンピな所にゃ、居ない。
キミドリの羽根か耳かわからんような妙な猫か、黒い…よくわからん奴しかいない。
「ダレがよくわからん奴だッて?」
「アァ…キコエテンノカ、メンドウダナ」
カタコトのオレは…
シキリアン。
と、呼ばれたセルリアン。
今はうっすらと…
どこか面影を残しているだけだという。
「まぁお茶でも飲め、火山の飾りの生活も悪く無いだろう?」
「ハァ…アキラメタヨ、イロイロト」
「ふん…
お前が諦めると言うとは思っていなかったが…早かったな。
もしや…なんか狙っては居ないだろうな?」
「イマサラソンナコトシテモムダダロウ?」
「さァ?ワタシはご飯食べられるならイイけど、そうじゃないモノなのかな。
今さら無駄って言っても、あの時負けた要因なんてシキ君と君の準備の量の差とセルリアンってダケだと思う。」
「ダト、イインダガナ…」
んまぁ…アイツが居なけりゃオレは今ここには居ない。
「…そういうことだ。」
「ココロヨンデンノ?」
「気にするな…それでまぁ、言い方の問題かもしれんが…アイツは言ってしまえばお前の親、みたいなもんだ。」
「オヤ…ネェ。アノミョウチキリンナネコト、“アイツ”ガオレノオヤカ。」
不服だ。とても不服だ。
なんでまたアイツらが…ったく。
「ソウ考えれば、まだまだ幸せなんじゃ無い?シキリアン。」
「オレノドコガシアワセダッテイウノサ…」
「幸せ…とはまた違うのかもなぁ。
なんて言えば良いのか…楽、かな。」
「楽…ダト?」
ふざけるな…心の底からこの世界を堕とそうと用意した。その何処が楽だって…
「そうじゃぁ無い。その考えに至るまでの思考回路だよ。」
どういうことだ?
「アイツは…シキは、両親の顔を知らない」
知らない…
「彼は顔にすぐ感情が出る。
喜怒哀楽がはっきりしているんだろう。
だがそれは、誰かに対しての声であり、
自分に対しての声ではない。
誰かの為に喜び、
誰かの為に泣き、
誰かの為に戦う。
それだけ人に尽くせるのは、自分が良くしてもらってたかららしい。
赤ん坊の頃、捨てられた彼はダンボールハウスの住人達に面倒を見られてたらしい、詳しくは本人も言いたく無さそうにしてたし、そもそも記憶が怪しいらしいからな。
それで6歳頃拾われて、そこから人生を歩む名前をつけられた、って事さ。」
「それと、シキ君は長く旅をしてたからね…えらく助け合いの精神に助けられてるんだろウネ?キット。」
「それで…まぁ…お前は、純粋に自分の欲望を満たすため。それだけを考えていた訳だから、シキより覚悟が足りなかったって所だ」
親なんて、居なかった方が良いなんて思う奴はいないだろう…
“俺”みたいな奴を除いて…だが。
気持ちの問題かもな。
______________
所変わって研究所
へっくし…
噂でもされたか…?
「シキさん、大丈夫ッスか?」
「んあ~、風邪っぽいのかねぇ。3徹が響いてんな、これ。
「何とか大丈夫ッス…
てかまた3徹?なにしてんスか……」
「ちょいと忙しいのさ、セルリアンが居なくなった訳じゃ無いから対策とってるんだけど、中々上手くは行かないものでさぁ~?」
「四神とかが手伝ってくれりゃ良いんスけどね、そんな神サマも暇じゃないか。」
四神…
四神とは古来より東アジア一帯にて世界の四方の方角を司り守護すると伝えられている聖獣のことで、 四神は青龍、朱雀、白虎、玄武の四聖獣(四神獣)で構成された縁起の良い神様。
風水の基本的な世界観として東に青龍、南に朱雀、西に白虎、北に玄武の揃う場所を四神相応と呼び理想的な地勢とする…
と、ジャパペディアにはある。
…ジャパリパーク4方を護る神のことだ。
東、水の力を操る
南、炎を体に纏う
西、風の力を操る
北、地を体と歩む
彼女たちにまつわる伝承に気になるものがあったので紹介しておく。
_______
波立つ 輝ける島
輝きの島 ある時 黒雲立ち籠めん
その黒雲 輝きの山より出でる
闇の中 黒雲 裂く三英傑現れり
奇怪なる相棒 携えし若人
轟音の磁場 山崩す若人
氷上の狩人 舞う若人
三英傑 黒雲切り払い 楽園を導く
四神 金輪際 それ起こらぬよう
輝きの山 封印す
封印の力 いづれ弱まらん
四神 その山に化身安置す
四神 その山に言い残したり
『我らの力を欲する者よ
6人の選ばれし若人を集めよ
1つ 奇怪なる相棒を携えし若人
1つ 未だ旅を歩む友の若人
1つ
1つ
1つ
1つ
6人の若人集いし時
虹にも似た煌めきが
山を覆い尽くす
その時 黒雲を封印せし壁
完全無欠の称号を持つだろう』
と。
やがて6人 若人集い
山に 虹の雨降らん
かつての黒雲 役目を果たし
外界の光 その身に浴びん
神も仏も居ないなら
在りし四神 捜しだせ
土を纏うその石に
見合う覚悟があるならば
伝説に名を刻め
神も仏も居ないから
______________
これが祭事の伝承だそうだ
伝承の始まりや途中にいる三英傑とは…
俺達だろうか?
そうなるとかなり昔に似たような事があったのかも知れない。
記憶力のいいジェーンさんに話をしてみたら目がキラッキラ。
もォうほんとに純粋で可愛いな君、大好き。
しばらくこの伝承で話のネタは困らないかな
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