節辿るは来たる未知


「198円ちょうど頂きまーす、ありがとう御座いました~」


ティロティロティロティローン…


コンビニに寄った。

仕事は昼休みの時間。お弁当はあるが飲み物が無かったので(水筒忘れた)お茶と、ついでにガムを買った。ミントのやつ。


節来 式

齢17にしてその腕に奇怪なる相棒を携え、この楽園を楽園たらしめた青年。


とは俺の事らしい。

誰がいつから呼び始めたか、しっかり記憶に刻んでいる。

シキという名前。

いっちょ前なあだ名。

楽園の英雄。

どいつもこいつも3カ月前に終わり、復興を始めたここで起きた出来事だ。


「辿未さん!辿未さーん!」


誰か駆けてき…

おや、彼は確かラッキービーストの調整、製造、アップデートをするLB'sの…


うちさん、どうしました?俺に御用ですか?LBの設計図が届いてないとか?」


「そうじゃぁ無いんですよ!まま、これ見てクダサイな」


そう言って彼はタブレット機器を鞄から引きずりだす。見せられた映像を観きった俺はしばらく口が塞がらなかった。


「ラッキービーストのフレンズだと…?おかしな事もあるなぁ…」


要検査ですね、こりゃ…。

そう言って彼とは別れた。





さて、自己紹介の続きと行こう。

さっき井ノ内さんは俺の事を、

辿未せんみ」と呼んだ。


これにはまぁその…色々とあるのだが。

簡単に言ってしまうと俺の本名は、

辿未せんみ 輪念りねんであり、

辿未の姓は姉の家系の姓である。

俺は拾われた身なので正直これを本名として語って良いのか不安だが…


まぁかれこれ17年…いや、もう暫くすれば俺は18年この名前を名乗る事になる。

もう大丈夫だろう。


そうそう、うちに帰れば奥さんどうのこうのと前何処かで言ったが、正確には籍を入れて無いのでただの同居人である…そもそも人じゃ無い。


今日は早く帰れるだろうか。

彼女は最近料理の腕を磨いている。

一緒にご飯作りましょ?なんて話をしていたのだ、さっさと帰って色々としたい。


______________



「姉さん…!どうしてさ!」

↑駄目だ。姉さんに呼び止められてしまったよこりゃ駄目だ。


「輪念…お願いだから…!ね?今度ご飯奢るから!彼女ちゃんも連れて来てさ?ね?お願い!この通り!」


とまぁ、上司でもある姉に仕事を頼まれた。

しゃーないので諦めて仕事。


今更なんの仕事をしているかなぞ知りたい人は少ないだろうけれど、解説しておく。

俺はエンジニア兼研究員。

今回、キョウシュウエリア復興にあたり、園長さんに雇われた。当分死ぬまでやめるつもりはない。本土に友達居ねぇし。なんだったら俺の家(俺は養子だが)はパークの人間が多いので何とも思って無い。出来るだけさっさと家に帰りたいのだが、面倒なサンプル調査のせいで帰れて20時だろう。

晩飯は…また一人だろうか、よしてくれ。



______________




「ただいまー…」


結局20時。

今日ほど姉さんを恨んだ日は無い。

あるとすれば…朝食の味噌汁が馬鹿程あちぃときだろうか。

微妙な目覚めからあのやけどしそうなほどの味噌汁は正直言うとムカつく。最近は自分でやるので大丈夫大丈夫。


鍵を開けてドアを開けて鍵をかけて上着を脱いでスタンドにかける。

部屋は暖かい。

「あっ!お帰りなさい!…ちょっと、遅かったですね?」


「ごめんなさい、姉さんに呼び止められちまったら従うしかありませんからねぇ…?」


笑って許してくれる彼女で良かった。

平手打ち来そうな物だが。

本当に優しい…温順な子だ。

そういえばジェンツーペンギンの和名は、

オンジュンペンギンと言うらしい。

うん、その通りで御座います。


「もう、待ちくたびれちゃって…お腹すいちゃいました…」


「えっ、待っててくれたんですか!?」


ウチはいつも6時…遅くても7時にはご飯を頂く。それに二人が該当しない時は別で。


でも、今日は待っててくれたらしい。

なんかあるんですかねぇ?



_______




と、

疑いの目を向ける俺だったのだが…

特に無い。

本当になにも起こらない。

只今21:39。



…眠い。少々早く感じるが、さっさと風呂入って寝る。



____________

_________

____

___




___________________








「読書ですか?」

「はい!」

「なに読んでるんですか?」


「…貴方のお話です」


輪念式…

彼を求める公式を教えてあげよう。

Sandstar[S.s]×LBsystem[L.B]=RINEN[R]



覚えておくと良い。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る