第1-14話 ハードブレイク
「うわぁあ…おれのイグナイターが……」
筐体の切断面はキレイすっぱりと言うよりもエゲツなくガリガリと削られた断面であった。断面からは煙が上がり、数秒後にはボンっと爆発してあたりに部品が散乱した。
「あめぇんだよ。こちとら西のファクトリーヘッドだぞ?何も考えずに突っ込んできて勝てるわけねぇだろ」
「そゆこと♪ゆーちゃん、サッサと終わらしてトリプルギガサンドバーガー食べいこ★」
笑顔、そして無言で頷くと、縁さんはおおよそ縁さんよりも大きな筐体の封門を軽々しく片手で持ち上げた。
ものすごく違和感のある光景だった。
どう考えても金属製の筐体だ。しかも厚みもそれなりにある。封門の端にはグリップが付いており、持って、そしてまるで鈍器のように振り回せる…ような。そんな風に見えたわけだが…。
周りが、しん……と静まる。
「本気で防がんとえらいことになってまうで?」
封門筐体の側面から青い光を帯びた光の板のような物が伸びた。
ヒィィィイインインと高い音が封門から聞こえてくる。まるでロボットアニメ武器のようだ。
それは、さながら超大型の両刃ナタのように見える。
「ちょまっ…縁さ…」
審判のような男が止めに入った時には、
すでに時遅しだった。
「っ!…芸夢くん、伏せて!」
レイが僕に覆いかぶさるように飛び込んできた瞬間、縁さんは勢いよくそのナタを輩たちの方に駆けて行ってぶち当てた。
…
「…大丈夫?」
なんとか。
「やりすぎなのよね、あの子」
ずぶ濡れになったレイは、ずぶ濡れになった僕の横でそうボヤいた。
消防隊の人たちがタオルを配りながら外傷がないかビルにいた人たちに聞いて回っている。
結局、縁さんの一撃でビルは一棟丸ごと崩れ去った。
奇跡的に死傷者は一人もいなかった。
…
その同時刻、六本木の裏通りにあるカフェにて。
「ごめんごめん、やりすぎてしもたわ」
「ゆーちゃん、本気出し過ぎだぞっ★」
「ったく、まさかビルごとこわすかね」
カフェ飯を堪能する3人であった。
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