第25話 僕らの - その1
「はい、特に異常は見られないですね。
登録オッケーですよ!」
テキパキと係員のお姉さんがミエのキーボードを確認して登録手続きを済ませた。
次は空の番だ。
「はい、こんにちは!では拝見しますね。」
そういうとお姉さんは空のキーボードを持ち上げながら様々な角度から眺め、チェックシートに手際よくチェックを入れていった。
「うんうん、いい色艶ですね。
このモデル人気ですけどここまで内部機構がカスタムしてあるものは久しぶりに見ました!もちろんさっきのキーボードもですけどね」
改めて説明すると、空が某電器屋につかまされたパチモノキーボードを可哀想に思ってアリエが空にプレゼントしたものだ。それはパチモノのそれとは異なり、金属のフレームで構築された燃えるように紅い赤のキーボードだ。今思えばパチモノキーボードが僕をこの世界に引き込んだトリガーと思っても良い。
ほぼフルサイズのキーボードで僕でも打ちやすいキーボードだ。だけど少し僕には重くて体力がある空にはもってこいのキーボードだった。空は、キーが少ないキーボードの入力が苦手なようなのでまさに最適な感じだ(雑かな?)
ミエのキーボードは、元々アリエが誰かの為に用意していたキーボードをミエの手のサイズに合わせてカスタムした物だ(らしい)。かなり小さいキーボードで色んなファンクションキーを使わないとまともに入力できない。というかできなかった。
僕と空は試しにミエのキーボードを打たせてもらったが、全くと言っていいほど打てなかった。というのもキーによって、「押し込んだ深さによって入力される文字が異なる」のだ。まさかここまで複雑なキーボードだとは…と空と顔を見合わせたものだ。
「どれもこれも良いキーボードですね!
ではそちらの…
えーと猿渡エンド君のキーボードをお願いします。」
僕は、The ENDを取り出しテーブルの上に置いた。
周りが何やらざわつき始めた。
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