第19話 セカンドライン - その2

ブートアラートは、部活の夜練中に鳴った。大会に向けての追い込みが行われていて最近は帰りが遅くなることが多々あった。


帰宅後、少し遅い夕飯の際、父と長兄に道場に来るよう言われた。なんの用事かは知らされなかったが、REVOLVERを持ってくるようにと。


このキーボードを渡されてから、父や長兄から直接的にこのような形で道場に呼ばれることは初めてであった。大半は組手等の基礎的な研鑽で呼ばれることはあったが…


夜も静まり、道場までの渡り廊下は月明かりがとても明るく、夜の紺色がよくわかった。


灯りが消えた道場にはすでに2人が座っていた。


父が一言。


「改行よ。REVOLVERは常に肌見放さず持ち歩いておるか」


はい、と。長兄から受け渡された時にそう言い渡された。


「では、今日のブートアラートは聞いておるな」


はい。


父はふぅ、と一息ついて長兄と顔を見合わせ頷いた。


「これから話す事、行う事。


全て他言無用。


そしていいか、改行。


お前は薬師丸本家の大義を成し遂げろ。


お前が成し遂げなければならないんだ。」



長兄は、そう言うと、父と共に立ち上がった。


そして、


いつの間にか、


REVOLVERのような大型の銃器のような物を取り出した。


どこに隠していたんだ???というシルエットだ。灯りの無い道場だ。月明かりが照らす反射のみで確認できた。


父上は、両手に比較的小さな物を。


長兄は片手にREVOLVERと負けず劣らずな大きな物を。




ゴトッ



長兄が手に持った塊、硬く重いものが道場の床に置かれた音が静かに響く。




「目で見たほうが早い。


構えろ


改行」



……………



そうして俺は、知らなければならない事を知った。


薬師丸本家としての大義。


俺はその大義を貫くため、誰よりも強くならなければならない。


守るべき者を守るために。





※薬師丸本家敷地内には、専用の道場がある。

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