第8話 ミエちゃん

翌日、学校で空にキーボードを見せたら「チョッオ!?オマッエッエッ?!何それ?!?!ウェエ?!」とかなりおかしなリアクションが返ってきた。

何それと聞かれても「家にあった」くらいしか返答のしようがなかった。いやほんとに。


「これはアリエさんのとこにリベンジだな?!気になったから今日も持ってきたぜ!…オレの…キーボード…だった物を…」

空はまだ微妙にショックを受けてたようだった。アリエにバラされてキーボードとして大事と思われるキーが何箇所か外されてしまったわけだし(正確には勝手に取れたがアリエの説明だった)。


体育のあとにジュースも買えないと空は嘆いていた。


そういえば、そのジュースが買えない空を後ろから半笑いで見ているときに、ミエが後ろを通りすがった。


あちらは家庭科の授業が終わった帰りだったのかエプロンを含めて、色々とごちゃごちゃした物を抱えていた。


「あ、メザス!久しぶりだね!」


そうそう、久しぶり。なぜだか。

ミエは僕の家の近所に住んでいて、高校までエレベーター形式で一緒だった。とはいえ高校は選べるわけだったんだけど何故か一緒になった。

高校になると、校舎の規模もでかくなったせいか隣のクラスの割にはほとんどすれ違う機会がかなり減ったように感じる。


「次、また教室移動だからまたね!あ〜忙し忙し」


ミエは、バタバタと走ってそのまま去っていった。なんだか高校エンジョイしてそうだなぁ。

一緒にいた女子とキャッキャウフフしながら去っていく後ろ姿に何だか薄ピンクとかそんなホワホワしたものが見えた気がした。


「今の子はエンド君の何かな?ん?」


ニヤニヤしながら問い詰める空をはいはい、とあしらいながら教室に戻る僕たちであった。


何かなって、幼馴染ってやつだろう?それ以上のそれ以下でもないわけで。この時は、まだそんな感じなわけなんだ。


さて、時間が経つのは早いわけで。

今日もまた【アリエキーボードファクトリー】の前に立つ僕らだった。


しかし、何かおかしい。【僕ら】の人数は昨日より1人多い。


何故かミエが着いてきたのだ。

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