第7話 なにもわからない
あの後、母さんはかかってきた電話が予想以上に長電話だったので一旦僕は自分の部屋にそのキーボード【ジ・エンド】を持って行くことにした。
リビングの方からは、「も〜急じゃないの、いままでどうしてたの〜」とか「あらそれはよかったわぁ〜」とかなんだか楽しそうな声が聞こえてくる。
さて、最初はキーが全然押せなかったわけだけど、今はちゃんと押せるようになったぞ。生体認証だーとかなんか色々起きて「ロック」が解除されたってことみたいだけど。
キーボードって言うんだからパソコンに繋げでみようかなと思っていざ接続ポートを探すも、あれ?あれれ??と僕の頭の上にはハテナがいっぱい浮かび上がった。
僕のパソコンと接続できなそうなポートが1つもないのだ。
母さんからのお下がりのパソコンだけれど、古過ぎもせず、かと言って最新のパソコンでもないけど割となんでも接続できそうなパソコンではあったので、接続できない事に少し驚いた。
それっぽい、何かこう接続できそうなポートが6箇所ほど側面に並んではいるのだけど今まで全く見たことないような形の接続ポートだった。とはいえ僕はまだ生まれてから高校生になるくらいの期間しか生きてきていない。きっともっと昔の規格かなんかなのかな?くらいにしか思わなかった。
それと更に僕の思うキーボードと明らかに違う部分がそのキーボードにはあった。それは、何か板状の物が入りそうなような装置が本体と一緒になっている部分だった。その何か入れれそうな部分には、【MAIN COREDISC】と小さく刻印されている。そういえば…コアディスクがなんとかって言ってたな。
ネットの力で解決!と思ったが、検索して出てくるのは、何かのゲームの攻略サイトやアイテム情報っぽいサイトばかりでそれらしい情報はほぼなかった。
それ以外にもごちゃごちゃLEDのランプがついていたり、アンテナのマークらしき刻印があったりと機能満載感がそのキーボードにはあった。
うーん…仕方ないな。僕は、早々に諦めて、これは明日アリエに見せるしか無さそうだ…。
そう思い、キーボードを箱に戻してリュックへ突っ込んだ。
久々の立ち漕ぎで少し汗をかいたのかうっすらベタつきを感じたので、ちょっと早いけど風呂に入ろうか、そう思って風呂場に向かう途中、リビングを覗くと母さんは出かける支度をしていた。もう電話は終わっていたようだ。
「いま会社からメールがあってね、母さんちょっと急用で呼ばれちゃったから少し会社行ってくるね。ペチ子が落ち着かないみたいで」
母さんは「会社」と言っていたが、実際は海洋学の研究所の事だ。最近、また珍しい種類の生き物(母さんはペチ子と名前を勝手に名前をつけているようだった)が保護されたとかでバタバタしているようだった。不規則な生活だけど母さんは誇りを持ってその仕事をしている。
バタバタしながら、母さんはまたね〜と言わんばかりのハンドサインをして出ていった。
結局ほとんど。そう、ほとんどの事が全く解らず仕舞いだけど明日になれば何かが解るだろう。
そう思いながら僕は、風呂にお湯を貯めながら、おにぎりの柔らかいお腹を撫でるのである。
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