第4話繋がる粘着力
目が覚めるともう夕方の6時になっていた。どうやらいつの間にか寝ていたらしい。
大きな欠伸をし、眠くてろくに目を開かずベットから立ち上がったとき、そこには妹がいた。
ちょっと……、いたなら言ってよ。びっくりしたじゃないですか。よくよく考えれば一緒に会話した事なかったね!ごめんね!
俺は黙って部屋を出ようとすると、
「あ、あのさぁ……」
初めて聞いた妹の肉声。なんか生々しいよね肉声って文字。
「なんだ」
俺は体を妹の方へ向ける。朱音って男嫌いだったような……。
「ーーーWi-Fi貸してくれないかな……」
俺はこの言葉を聞き、Wi-Fiに感謝した。世界中の人たちを繋ぐWi-Fiは、仲の悪いってレベルじゃない兄妹をも容易く繋いでしまうものなのかと。
「それと、納豆は嫌だ……!」
頬を赤らめているのか、部屋が暗くてよく分からないがそう見えた。納豆もネバネバしてよく物にくっつくから、俺たちもくっつけてくれたのね。ありがと!腐った大豆よ。
「あぁ……。わかったよ」
携帯を受け取ると、なれた手付きで設定をする。これでよし……と。
「ほい……」
設定が終わり無事完了したところで妹に返した。
「あっ……ありがと……」
何このツンデレみたいな反応。困るから。ツンデレ耐性が乏しい俺には、どういう表情をすればいいのか、いまいちよくわからなかった。
こういう時は無表情が役に立つ。
「いいよ…。んで納豆は嫌だって?」
俺が改めて問うと、妹はコクっと頷いた。
ていうか俺の切り札効果的面じゃね?これこのまま須崎兄妹友好条約結べるんじゃないのか?
「しょうがねぇな。納豆は辞めるか……。ていうかあれ嘘だしな」
俺がハッハッハと高笑いをしてドヤ顔をした。
何か睨まれた気がしたが、気にしない。こういう態度が雰囲気を壊すんだろな……。
俺はこの機に少し質問をすることにした。
なぜ、俺を無視したのか。この疑問の答えをここで聞くべきだ、そう思ったからだ。
「お前さ、何で俺のこと無視してたんだ?」
俺はさっきのテンションから通常運転に戻し、そう質問した。
質問した後、妹にベットに座るよう促し、俺は部屋の扉に背中をくっつけるようにして出口を塞いだ。
俺の変わりようには妹も動揺したのか、少し怯えているようだった。
大丈夫。優しいお兄ちゃんはそんな事はしない。
だから話せ。
少しの間沈黙が続き、俺はもう一言喋ることにした。
「俺が何か悪い事したなら言ってくれ。別に何言われようが怒ったりはしない。もしあるなら俺もそれを全力で良くしていくつもりだ……。」
と言い天井を見上げ、答えが返ってくるのを待った。
妹はようやく話す気になったのか、俺の目を見た。俺もそれに応え目を合わせる。
「話す気になったか?」
俺が確認を取ると、妹は頷き喋り始めた。
「ないよ」
「ん?何て?」
「だから無いって。悪いところなんて……。家事もしてくれるし。」
「じゃあっ……何で?」
と俺が聞くと、妹は下を向き震えていた。なんか顔が赤かった気がしたので、
「熱でも出したか?」
と言うと、妹は俺に顔を向けた。やっぱり顔が赤い。特に頬が。
俺にそう言われた妹は目をカッと見開くと、
「うるさい!!」
と怒鳴ると、プンスカと帰ってしまった。
夕飯の支度をしているとき、俺はあの女の子の事を思い出した。
なんというか保護欲が湧く感じがするのである。
俺の不審者ぶりには毎度度肝を抜かれるぜ……。
そんな事を考えながら料理をしていく。今夜は餃子だ。あと
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