06

忍「小折」


小「なあに?」


忍「あなた、"サンデー”と言うものに興味は無いかしら?」


小「どうしたの、そんなしたり顔で?それに…さんでー?」


忍「やっぱり小折も知らないのね。それじゃあ付いてきて、また外に出掛けるわよ」


小「えぇいいわよ。忍がそんなに楽しそうなのはとても気になるし」


………


千「いらっしゃいませー!」


忍「こんにちは、千尋ちゃん」


千「あっ!更月先輩!」


忍「忍でいいのよ。それより千尋ちゃん、この人は家の居候の夏野さん」


小「こんにちは~」


忍「小折、この子はこの喫茶店の娘さんで私の一つ下の後輩」


千「川上かわかみ 千尋ちひろです!どうぞよろしくお願いします!」


小「とても元気な子よね。夏野 小折よ、私も小折って呼んでくれていいからね?」


千「はい、小折さん!」


忍「それで千尋ちゃん、早速なんだけど、このお店の有名なメニュー、お願いできるかしら?」


千「はい、ストロベリーサンデーですね、少々お待ちください!」


タッタッタッ………


忍「………何よ小折、人の顔をじろじろと見て」


小「別に~?ただ、あなたには無い感じのいい子だったなぁ、って思っただけ」


忍「これだから小折は………」


………


千「お待たせしましたー!ストロベリーサンデーです」


小「あらあら」


小「すごいわね、イチゴの赤色がすごくきれい!それに、なんだかとても贅沢な感じ!」


千「ごゆっくりどうぞ」


忍「これがサンデーよ」


小「すごいわね、アイスクリームに生クリームに…スポンジケーキやイチゴのソース…縦長のグラスに甘いものが勢ぞろいね。これは確かに今まで見たこともない食べ物だわ!」


忍「この長いスプーンで食べていくのよ」


小「食べていいのかしら?」


忍「お先にどうぞ」


小「それじゃあ僭越ながら………ん~!ひんやりしててすごく甘~い!」


忍「気に入ってもらえたのかしら?」


小「もちろんよ!やっぱり長生きはしてみるものね。我慢して生きた甲斐があるわ」


忍「それは冗談なのか本当の話なのか…」


小「全部本当のお話よ~、んーイチゴのソースもいい塩梅ね~」


忍「喜んでもらえて何よりね」


小「忍は食べないの?」


忍「あぁそうね、千尋ちゃん。悪いんだけどスプーンをもう一つ…」


小「別にそんなことしなくたって…はい」


忍「え、ちょっと待って…それはあなたが使っていたスプーンでしょう?」


小「んふふ~」


忍「あ、悪い顔をしている」


小「はい、!あーん…」


忍「しのぶちゃんなんて初めて聞いたわ」


小「ほらほら~、早くしないと溶けちゃう。それに私が頬っぺたにあーんしないといけなくなっちゃうわ」


忍「あーもう………あー」


小「はい、どうぞ。おいしい?」


忍「…美味しいけど、気まずいわ」


小「ふふっ、ありがとうねー、私にこんな幸せがあることを教えてくれて」


忍「…ま、家の取り決めを破って神様を外に連れ出した久しぶりの人間として、私はあなたに責任を持って色々と紹介しないとね」


小「そんなに堅苦しくしなくてもいいのよ。忍が私にをしたいから連れてきた。それでいいじゃないの」


忍「…小折、何時から気がついていたのかしら」


小「そんなもの、に決まっているじゃない。もうちょっと表情に出ないように練習しないと」

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