03

冷「………」


忍「今年の夏も涼しいのね」


冷「私もそうだけれど、私の娘も自分より町に作用するのよね」


忍「それって違いがあるの?」


冷「そうみたいよ。私は原神だから自分の先代の事は殆ど知らないけれど、更月のご先祖さまに聞いたところだと、先代の…イヅナだったかしら?彼女は町に作用する。その前の冷泉は本人の身体に作用してたみたいね」


忍「あなたで100年経っているのに、先代とか先々代ってどれだけ昔なのよ」


冷「さあね。それぞれ100年くらいなんじゃないかしら?」


忍「それはそれで寿命が人並過ぎて神様って感じがしないのだけれど」


冷「まぁ、そのイヅナさんみたいに、人と恋に落ちて色々と失う神様もいるから、それぞれの神様がどれだけの寿命を持っているかなんて計りようがないわね」


忍「どうして、冷泉は人と恋に落ちると早く死ぬの?」


冷「そうねぇ…私も全部知っている訳じゃないのだけれど、人間と恋に落ちると、神様としての力が失われて、それまで生きてきた時間を人間としての価値に直して、その後の時間と共に払わされる…とか、そんな感じらしいわ」


忍「つまり、長く生きた神様ほど、人間になった時に…」


冷「そう言うことみたいよ。私はまだわからないけれど」


忍「となると、あなたも今人間になったなら」


冷「そうね、今まで生きてきた100年分を払わされるのかもね~」


忍「立派なお婆ちゃんね」


冷「言い切らないでよ、まだ私には孫娘は居ないんだから」


忍「まだ、ね」


冷「あーあ、忍が私の扱いに慣れてきちゃって寂しいわ」


忍「そろそろ一矢報いてやりたいと思ってた所よ」


忍「………」


冷「………」


冷「寂しい?」


忍「………」


冷「ん?」


忍「………ちょっと」


忍「…何を言っても、私が初めて目にした神様で、そしてこんな私の話を聞いてくれる数少ない相手ですもの」


忍「そんな相手に、少し位感慨を持っても…」


冷「うーふーふー………」


忍「何よ、そんな気味の悪い笑顔を浮かべて」


冷「ふふっ、やっぱり忍は素直で可愛いわね〜」


冷「そう言う隠し事のできない忍が、私はだーい好きよ~」


忍「あなたには今後正直に話をしない事にするわ」

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