02
冷「随分と熱心に何か書いているようだけれど、忍は何をしているの?」
忍「夏休みの宿題。こう言うのは早く終わらせるに限るわね」
冷「忍はそう言うの、早く片付けるタイプなのね。あなたのお父さんはずっと手つかずでギリギリになって辛うじてこなしていたわよ」
忍「その辺の行き当たりばったりは、今も昔も変わらないようね…」
忍「冷泉、一つ聞いていい?」
冷「一つと言わずいくらでもどうぞ」
忍「あなたは、更月家を恨んでる?」
冷「恨む?」
忍「あなたはこの冷泉町の三人目の原神、本当ならあなたも今までの冷泉の神様のように敬われて然るべきなのに、それを私達の家系が勝手に閉じ込めた」
忍「そして今でも、貴方はこの冷泉神社の本殿の奥に閉じ込められている。私と言う監視付きで」
冷「そうね。確かに訳もわからず忍のご先祖様たちにここに幽閉されたときは驚いたわ。そもそも私は原神…つまり、親を持たない神様だから、冷泉町に生まれた時は冗談抜きで右も左も分からないのよね。それでいきなり色んな人に手を取られ足を取られ…」
冷「考えてみれば、私結構危ない目に遭っているわね。ふふっ」
忍「なんで楽しそうなのよ」
冷「でも、幽閉されてたかも知れないけれど、監禁はされていなかった。私を閉じ込めた人達は、私に人間と言う生き方を教えてくれた。そして私が神様だと教えてくれた。こうして忍と楽しくお喋り出来るようにしてくれた」
冷「何の形も持たない神様だった私を、今の私にしてくれたんだから、恨んでばかりもいられないわ」
忍「前向きなのね」
冷「それとも、忍は私の事を心配してくれているの?」
忍「人並み程度よ」
冷「あら嬉しい。こんなわたしを心配してくれる人がいるなんて」
忍「その台詞がもうちょっと自然だったなら、可愛げもあるのだけれど」
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