冷泉の祠と、忍と小折 -フリージィ・サマーtips-
黒羽@海神書房
01
「ねぇ」
「ねぇねぇ」
「ねぇってば、
忍「………なに?」
「つまらない」
忍「今更それを言うの?それ何年目の文句なのよ」
「そうね、もうすぐ100年になるかしら?」
忍「ならそろそろ理解している頃でしょう。ここから出る事は出来ないって」
忍「でしょ、冷泉」
冷「そうよ。忍に限らず私を監視していた人にはみんなこう言う事を言っているのよ」
忍「本当に、長く生きすぎた神様って迷惑よね」
冷「ふふっ、そんな皮肉ももう何百回目かしらね〜」
忍「でも、本当に良いの?」
冷「何が?」
忍「あなたの娘、退屈しているみたいだけれど」
冷「それは大丈夫よ。あの子が今の神様、それならあの子は自分の事を理解している筈ですもの。今年の踊り手が決まれば、あの子も退屈じゃなくなるから、それまではしばらくぼんやりと眺めているだけよ」
忍「そう」
冷「それで、つまらないのだけれど」
忍「仕方がないから、本堂の御神体様とでもお話をしていればいいわ」
忍「私は私で忙しいんだから」
冷「何年経っても人間は私の相手をしてくれないのよねー」
忍「拗ねてもだめ」
冷「冗談よ。本当に相手をしてくれてないのなら、忍はここにも近寄らないはずだし」
忍「これは我が家の仕事だからよ」
冷「お仕事でやってる人が寝る間際までここに来る?」
忍「仕事だからよ」
冷「うふふー。半分は自分に役目が回ってきたことが嬉しくてー…」
忍「な、何を…」
冷「もう半分は私の事が珍しくて珍しくてしょうがないから…」
冷「そうよね?」
忍「さ、さあ…なんの事かしら?」
忍「…何?神通力か何かなのかしら?」
冷「うふふー、やっぱりあなたはまだ子どもね~。今まさにあなたの顔に書いてるのよ」
忍「って、まさかハッタリ…」
冷「素直なのは子供の特権よ。でも隠したいことはちゃんと隠せるようにならなくちゃね?」
忍「ほんっとに、長く生きすぎた神様は迷惑よ」
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