勇者の旅の裏側で
八月森
プロローグ
子供のころ、好きだった絵本がある。
題名はもう思い出せないけれど、内容は、勇者が仲間と共に旅をして魔王を倒しに行く、というありふれたものだった。
神さまが造ったというすごい剣を手に入れた勇者は、仲間と一緒に旅をしながら、立ち寄った村や街の困りごとを解決していく。
弱い人や困っている人の味方で、強くて悪い魔物を退治して、最後には一番悪い魔王も倒して、たくさんの人を助ける勇者さま。
そんな、どこにでもあるようなそのお話が、わたしは大好きだった。
うちに一冊だけあったその絵本を、わたしは擦り切れるくらいに何度も、何度も、読み返した。
時には、夢の中でその続きを見ることさえあった。
ずっとずっと、勇者に憧れていた。
――あの日、本物の勇者に会うその時までは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます