第2話 後編 魔法が当たり前の世界
歩いてしばらくすると、森の中に入っていき、さらに少し進むとグランはいきなり足を止めた。
「ついた」
シュンはグランの横にいき、視線の先を見ると、そこには横に平べったい石がただ地面に置かれていた。
「これが?」
石を見ながらグランに聞くとコクンと頷いて、その石に手を置き何かを念じ始めた。
すると…
「!」
ブゥンと近未来的な起動音を出しながら、石から青く細長い、シュンがこちらの世界に来る時に見た光が現れた。
「ここを通れば元の世界に戻れます」
「お、おう…」
ここが魔法を使う異世界という話は聞いていたけれど、その魔法とやらをシュンは一度も見ていない。
それがいきなりこんな形で魔法を見るとは思ってもおらず、シュンは目の前の光景に突如解釈が追い付かなくなっていた。
「えっと…これが、魔法なのか?」
「これは『古代人の遺産』て言って、魔法を使ってるんだけどその魔法が今の魔法とは違うみたいなんだ」
「魔法とは違う魔法?」
「『古代人の遺産』に使われている魔法は、五大元素の定理からかけ離れた、未知の魔法が使われているんだよ」
「なるほど…」
全く理解していないが、長くなりそうなので理解したふりでグランの話を終わらせる。
「つまりこの光を通れば元の世界に戻れるってこと?」
「うん」
「…」
自然と二人は石が発する青い光を見ながら無言になる。
「…なぁ、戻った後もっかいこっちに来れんの?」
「シュンをこっちに連れてくる時、誰を連れてくるかとか選べなかったから、この世界にもう一度来るっていうのは難しいと思う…」
「だよな…
…だったら俺、もう少しこっちにいるわ」
「えっ?帰らないの?」
「そりゃいつか帰るけどよ、こっちにいたら俺も魔法使えるようになるかもしんねぇだろ?
どうせ帰んならよ、魔法覚えて帰りたいじゃん」
戻った世界で魔法を使う自分を想像し、思わずニヤながら言うシュンに、グランは流されるように「な、なるほど」と返事を返す。
「んでさ、グラン。お前が魔法教えてよ」
「え!僕が!?」
「あったりまえだろう!?
お前が俺を連れてきたんだから」
「そうだけど…」
「心配すんなって。
3日過ぎても覚えないようなら戻るからよ」
「でも…」
グランはなんとか断る言葉を繰り出そうとするが、シュンの「お前が俺を連れてきたんだから」という言葉でなにも言えなくなっていた。
「とにかく、ここで話してても埒明かねぇから、続きはお前ん家で話すとするか!」
シュンは勝手に仕切りだし、目的変更を決定すると、180度体を回転させて来た道を戻りだし、グランも急いで着いていった。
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