第三章 1

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 目が覚めたら、そこは牢屋の中だった。

「おやおや、目が覚めましたか。お客様、手荒な真似をしてしまって申し訳ありません。今日から一週間、ここで過ごしてもらいます。そうしたらここから脱出する元気も無くなることでしょう。それでは」

 クソっ……どうすれば……。

「エドワード君、その剣を使ってみてくれないか」

 背後の暗闇から聞き覚えのある声がした。

 メディアだ。

「エドワード君のその剣ならこの鉄格子も切れるかもしれない」

「あ、ああ」

 俺は剣を引き抜いた。鋭く研がれた剣は今まで切れなかったものはないという。

 もしかしたら、この鉄格子もメディアの言う通り切れるかもしれない。

 俺は剣に力と希望を込めて一文字に振った。

「らぁッ!」

 ガキィィィィン!!

 聞こえてきく耳障りな金属音。

 鉄格子は傷一つ付くことなくそこに堂々と存在していた。

 代わりに、俺の剣の刃がこぼれた。

「そんな……」

 これで、希望が潰えたというわけだ。


 牢屋生活終了まであと、6日。

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