第二章 8

8

 食堂には大きな丸テーブルが置かれ、その上にご馳走が所せましと並べられていた。

「「「「お、おおー!」」」」

 ここが"檻"だとしても、つい興奮してしまう。

「さあ、乾杯をしましょう」

 ここには、ロイスの他に、アルミス、アロンが来ていた。

 それと、もう一人。

 見慣れない老人がいた。

 誰だろう……?

 老人は俺の考えていることを見透かしたように、こちらに歩いてきた。

「はじめまして。私は執事のケレンスキーです」

「は、はじめまして……。俺はエドワードっていいます」

「貴方様のことは存じ上げております」

「は、はあ……」

 なんというか、堅すぎて話しにくい。

 その時、ロイスがグラスを持った手を上に伸ばした。

「今日、ここに集えた奇跡に、乾杯!」

「「「乾杯〜!」」」

 俺以外はみんなグラスを上にあげていた。

 俺はつられてグラスを持った。


 俺はちらりとロイスを見てみた。

 いつもと変わらない表情のようだが、微妙に違和感があった。

「気のせいか……」

「エドワード〜どしたの」

「いや、なんでも……」

 もう一度ロイスの顔を見てゾクッとした。

 口角がつり上がり、悪魔を連想させるかのような笑みだった。

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