第二章 5
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「ああ」
俺は覚悟を決めた。
「この館にはいくつかの秘密がありますが、そのうちの一つを教えてあげましょう。あの時計を見てください。」
ロイスに言われて壁にかけてある時計を見て驚愕した。
「時間が……進んでない……」
あれは確か俺らがここに来た時間だよな……?
「そうです。あなた達が来た時の時間から一切進んでないのです。この館は呪いの館であると同時に、人が来ない限り不死の館でもあるのですよ」
「嘘だ……嘘だ……」
永遠にここで暮らせって言うのか……?
俺は行く宛のない怒りと絶望にかられ、どこに行くわけでもなく走り続けた。
「ちょっと!どこに行くんですか?」
それにここの住人が怖い。怖くて仕方がない。
走っていると、後ろから足音が聞こえてきた。
まさかと思い、後ろを振り返って見ると、住人達が俺を追いかけてきていた。
「マッテクダサイヨ」
「「ナニカラニゲテルノ」」
俺は咄嗟に近くの部屋に入った。
鍵を閉め、扉の前に椅子や机を置いた。
ドンドンドンドン!
「「「アケテクダサイナ」」」
ドアノブが激しく上下に動き、扉もミシミシ言っている。
破られるのは時間の問題だろう。
体操座りをして床を見ていると、そこに手紙が落ちていることに気が付いた。
恐る恐る手を伸ばし、中を見てみる。
時計の修理が終わりました。
手紙には一行だけ書かれていた。
動かない時計と関係があるのだろうか……?
俺は本棚にある本を手に取って開いた。
そして俺は思わずこう言った。
「ミィツケタ……」
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