第二章 4

4


「閲覧禁止の棚は明日また行こう」

 走り疲れた俺はみんなにそう言った。

 ちょうどその時、ロイスが部屋に入ってきた。

「皆様、お風呂が沸きました」

 おお、お風呂か。

「入りに行かないか?」

 俺はデイビッドに言った。

「おお、そうだな」

 お風呂を警戒しているのか、返事が刺々しい。


 シロツメ荘のお風呂は意外と広かった。湯加減も絶妙で、疲れが取れていくような気がした。

 いち早く部屋に戻った俺は、疲れがどっと押し寄せてきて、誰にもおやすみを言う前に寝てしまった。


 何時間寝ただろう。

 お風呂から戻ってきたアンリもメディアもデイビッドも、もう寝ていた。

 ちょっと待て――。

 俺は何かいつもの夜と違う気がした。

 外が……明るい……。

 昼間の様な明るさではなく、日没直後のような明るさ。

 それは、俺が寝る前に見た外と同じ明るさだった。

 俺は部屋の外に飛び出した。

 どうして、どうして――。

 ロイスのところへ行こうとした矢先、誰かとぶつかってしまった。

「すみませんっ」

 顔をあげると、そこにはロイスの顔があった。

「どうしたんです?そんなに慌てて」

「そ、外が……」

「あらあら。キヅイテシマッタノネ……。ねぇ、この館の秘密を知りたい?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る