決して許されることはないとしても。
他作品にも登場した魔法少女、キリサキキッカちゃんのその後のお話です。スピンオフという位置になるのでしょうか。
キリサキキッカという魔法少女はじつはさる国の王族の血族であり、自国を復活させ女王の座についています。彼女が語る魔法少女時代、という独白形式のお話です。
作者様のお話を読んでいてそのたびに思うのですが、とにかくキャラクターの特性と世界観の構築の仕方の幅がひろすぎて度肝を抜かれます。「こういうのもお書きになるの?」と驚きを覚えつつ、「こういうのが読みたかったんだ!」と快哉を叫びたくなるお話のオンパレード。この作品は個人的に「こういうのが読みたかった」作品のひとつといえます。
まず、キリサキキッカちゃんという女の子がとても好きなのですが、その人となりを読んでさらに好きになりました。こういう女の子、大好きな方も多いのではないでしょうか。獣耳+元少年兵+クールでラフな語り口、これだけでちょっとキュンと来た方、さあ読んでみましょう。
お話は他作品でキッカちゃんと交流を持つ先輩魔法少女を軸に進んでいきます。そちらを先に読んでいる方はさらに解釈が深まると思います。
先輩である彼女とすごした大切な時間、そして、彼女にまつわるキリサキキッカの重大な決断。胸がぎゅっと締め付けられるような、切ないほろ苦さが、まるで煙草の後味のように残る作品です。