僕の家族

@kurou0817

別れ

僕の家族の話をしよう。

僕は四人兄弟で、両親と暮らしていた。祖父はいなく、祖母と曾祖母が自分達とは離れて暮らしている。

曾祖母は90歳をすぎた頃から身体が思うように動かなくなり、病院で寝たきりの暮らしをしていた。

僕はまだその時、小学生3年生くらいだったと思う。実際は何歳だったのか忘れてしまったが、その時のことは今でも覚えている。


夏休みだったのか久しぶりに里帰りをしていた時だ。

ある日、母にいきなり

「今から病院に行くから急いでね!」

そう言って叩き起された。

眠気眼のまま、僕は母に言われたとおりに準備を始めた。

準備が終わり、車に乗りこんだ。しかし、車は発進しない。

なぜ進まないのかと思ったら、祖母が乗っていなかった。

里帰りをしていたが、祖母とは住む家が違った。そのため、祖母を迎えに行った。

僕は、母がなぜそんなに急いでいるのかが分からなかった。

祖母の家に着き、僕は祖母を呼びに言った。

祖母はまだ準備が終わっていなかった。準備をするのに時間がかかり、しびれを切らした母が車から降りてきた。

僕はその時、母が急いでいる理由を聞いた。

病院から電話がかかってきたそうだ。

「 あなたのお家の○○さんの容態が悪くなってきています。もしかしたら、これが最後のお別れになるかもしれません 」

実際の電話の内容はわからないが、おおよそ、このような内容だろう。

祖母の準備が終わり、急いで車に乗りこみ病院へ向かった。


病院に到着した。

曾祖母の病室へ急いだ。しかし、そこで待っていた現実は…


………曾祖母の死だった。


僕は泣かなかった。否、泣けなかったのだ。

幼かったために死がどんなものなのか理解出来ていなかった。

ただ眠っているようにしか見えなかったのだ。

僕はただ呆然と部屋の隅に立って、母と医者の話を聞いていた。


「 ○○さんは、つい先程、5分ほど前に息を引き取りました 」

「どんな様子でしたか」

「 幸いともうしますか、安らかに逝くことができたと思います 」

「そうですか」


たったの5分早く来ていれば、曾祖母の最後の時に一緒にいることが出来たのに…。

僕達家族は、みんなが後悔した。誰が悪いとかの話はしないで、お互いが後悔した。


僕は自分のこの話を通して、誰かに伝えたいと思う。

人の命は無限ではない。突然いなくなってしまう時がある。

その時、一緒にいてあげられるかどうかが大切だ。

自分にとって大切な人に最後を見届けてほしい。万人が思う願いをどうか叶える努力をしてくれ。

大切な人の最後の瞬間、一緒にいられなかった僕が言えたことではないが、誰にも後悔して欲しくないので精一杯の言葉で伝える。

どうか、君の近くにいる人を大切に…。


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