その3
「どうする?」
「どうしよう?」
「とにかく……親しい友人をピックアップして連絡しよう」
それが正しいのか? 正しくないのか? 頭は混乱していた。
はじめにガチャコが連絡した友人は、ふざけているのだと思ったようだ。
「わかった。じゃあ、お見舞いに行った時に、ハムコにノート返せと言っておいて!」
ガチャ!
無理もなかった。
ハムコは本当に元気だったのだから。
「アルバイト先の……あの人にも連絡したほうがいいよね」
ガチャコの一言に、私はこわばった。
あの人……それは、ハムコの彼氏だった。
私は、サークルの会長になったばかりだった。
クラスメイトであり、親友であったハムコとの付き合いよりも、サークルの友人と過ごすほうが多くなっていた。
入学以来、何をするのでもいっしょだった私とハムコに、少しづつ距離が開いていた。
「あなたが一生懸命やっていることだから……」
最近付き合いの悪い私に、最後にはこの一言で、彼女はあきらめて去っていった。
「ごめんね。こっちは今が大事なところなの……」
追い討ちを掛けるように私。最近はその繰り返しだった。
でも……。
でも、本当は……サークルはいい訳だった。私は、明らかにハムコを避けていた。
それは「あの人」が原因だったかもしれない。
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