第50話 最後の時、それから

 ライカもライアも、一際大きな翼を持った天使です。


 ライアは、天使の笑顔を見せてくれています。

 ライカは、いつも無表情でわしをじっと見詰めるだけです。


 機嫌が悪いのは、ピロロやフィン古参のハーピー達です、

「ライ様、なぜ私達で無く新参者に手を付けられたのですか!!今夜にでも、私に子を授けて下さい!!!」

 美しい顔なのに、怒りに似た物がダブって見えるようで、恐い位迫力の有る美女達が迫って来ます。


 逆に、戦闘メイド隊のメンバーは、ニコニコ笑顔で居てくれます。


 知らせて居ないはずが、リネ姉さんがコウセイのじいちゃんの祝の品と手紙を持ってやって来ました。

 リハツさんにヨシアさん、それにミラノさん、超人部隊の幹部、ゼフィルさん、ジンと異能部隊の幹部、大勢祝いに来てくれました。


 その夜、我が子のお披露目式が開かれ、祝いに集まってくれた女性達は、嬉しそうにして居ます。

(有り難いな!!皆好い人達だ、わしに子が出来た事をこんなに喜んでくれて)

 ライは単純に感謝して居ますが。

(ライ様と男女の中になれるのは、もう2~3年先だとおもってた、嬉しいな今夜にでも迫ってみるぞ!!!)

 ライに親しい殆どの女性の思いでした。


 ライカをピイルから受け取り、抱いて母さんに見せに行きます。

「母さん、孫のライカだよ」

 今でも16歳位に見える母さんが、「シンに見せたかった」ポツリと呟きました、「そうだね、父さんがライカをみたら、即剣術を仕込もうとしたでしょうね」


「ライカちゃんを、抱かせて!!」

 ライカを母さんに預けます。

「ライの、赤ちゃんだった時に似てる·····雰囲気が一緒、懐かしいわ·····」


「·····あれ?ライ?ヒミコ?··········

 ·····オーキョウ神様との約束、戦乱の大陸、天下統一出来たので·····

 オーキョウ神様の所に·····帰ったのね·····ライ!!ヒミコ!!」



 辺り一面真っ白の空間に成っています。

 全てが無かったかの如く、突然の出来事でした。


 突然心臓が締め付けられる、あの痛みがやって来ました。

「思い出した!!!ヒミコ有り難う!!!」

「じいちゃん、御免時間が無くなった、突然だけど、これで終わりだよ」


 全て思い出しました。

 わしは、死の間際、猫又ヒミコの妖術で、わしが夢見た世界を体験させて貰って居たと。

「じいちゃん、安心して!!オーキョウ紳様は、本当にじいちゃんを気に入って呉れてる、じいちゃんの転生は保証してくれたよ!!」

「ザッツ大陸、サイレイ王国は?」

「あのまま在るよ、私とじいちゃんが居なく成っただけ·····」

「そうか、良かった、わしと一緒に消えるのかと思った」

「消える可能性も有ったよ!じいちゃんの頑張りをオーキョウ紳様が認めてくれたから·····言っちゃダメなんだけれど、じいちゃんの転生先はライカだよ」

「そんな気がした、ライカはわしを解って居った様に思う·····

 ヒミコはこれからどうする?」

「仔猫に戻って、誰か波長の合う相手を探すよ」

「ヒミコ·····楽しかった、有り難う!!遣りたい事が殆ど全て出来た!!心残りは·····何もな·····い·····」

「じいちゃん、一緒に過ごせて私も楽しかったよ」


「転生したら、記憶が無くなるけど、頑張ってライカの人生楽しんでね!!じいちゃんサヨウナラ!!!」



 日本の片隅で独居老人が、誰知れる事なく、息を引き取りました。



 じいちゃんに、御別れの言葉を掛け、仔猫の姿になったヒミコは、深夜暗い道を、トボトボ進みます。

 ぼんやりと歩くヒミコは、突然懐かしい気配を感じました。


「ミャァ?」

「やっと見つけた!!!ヒミコ!!!」

「ミャッ!!!大王様、山姥大王様ぁ!!!!!」

 無神世界だった最下層、わしマンバ神が唯一神の世界に跳ぶぞ!!




 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 ご愛読、有り難う御座いました。

 ライの物語は、これで終わりです。


 猫又ヒミコは「この幼女凶暴にて」で活躍します。

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戦乱の異世界に転生したようです 犬時保志 @ysxyz

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