第49話 ダルフ村開村式

「ヒミコ、砂漠の南はどうなって居るだろう?」

「トウキョウ国もサイト王国も全く問題無さそう、砂漠の南に行って見る?」

「大陸のこちら側を全て確認したい」

「行けるだけ飛んで行くよ、途中日が暮れたら転移で帰って、次の日昨日の所まで転移で跳んで、2日も飛べば大陸の南端まで行けるわ」


 ヒミコの言うように、出来る限りの高速で、砂漠上空を行きます。

 数ヶ所オアシスが有り、小規模の村が有りました。

 砂漠を越えるのが目標なので、寄る事なく進みます。

 日が西に傾いてきました。

「じいちゃん、あのオアシスの近くに降りて」

 オアシスが遥か彼方に見える位置に降り、転移で前線基地に戻ります。



 前線基地に帰還しました。

「ライ国王様、ご助力のお陰様で、東村の開村式を取り行う事に成りました」

 ミズモ村長が、嬉しそうに報告に来ました。


 ヒミコと東村(元東砦)に行きます。

 東村では、母さんが指揮を取り、戦闘メイド隊が、慌ただしく式典の準備をして居ました。

 食材は、ハイパー航空隊員が狩りを行ったようで、兜割りを中央に生やした大鹿やウズラの様な鳥が山積みされて居ます。

 樹海のゴブリンを、絶滅させた事により、ゴブリンの餌になって居た動植物が豊富に採集出来る様になったそうです。


 芋や野菜バターチーズ等は「ゼフィル市から、空輸してきました」

 と、フィンが言っていました。


 折角皆がお膳立てしてくれた事、砂漠の南行きは、一時中断、明日は目出度い式典の開催です。



 今日式典が、賑やかに開かれました。

「ライ国王様·····」「「「「ライ国王様ぁ!!!」」」」

 ダルフ達は、喜びの涙で、まともに声が出ていません。

 ゴブリンに間違われ、殺戮と奴隷の日々が続き、安らぐ事の無かったダルフ達です、安住の町と言って良い独立集落を手に入れ、感無量でしょう。

「おめでとう!!!ダルフの皆さん!!用意されたご馳走を食べ、楽しく騒いで、開村を祝いましょう!!!カラム酒とビールも大量に用意して居ます」



「「·····ライ様ぁ」」お酒に酔ったのか、王宮奴隷だった、ピイルとピイロが、しなだれ掛かって来ました、其だけで偶息はビンビンです。

 ハイパーに成っても、相変わらず妖艶な美女達です。

「南砦をぅ、私達ハーピー400人のぅ村にしても良いですかぁ?」

 呂律は怪しいが、ダルフ達以上に過酷な扱いをされて来たハーピー達です、許可を出すのは簡単ですが、まともな村落に成るには、問題が多々有ります。


「男性ハーピーが、3人しか生き残って居なかったけど、村が成立します?」

「男性は、ライ様がいらっしゃれば、充分です!!」

「い?いやぁ、そう言って貰えると嬉しいけど、子供が出来ないでしょう」

 久し振りに、好きだったビールを少し飲んだ為でしょう、二人の妖艶な美女に手を引かれ、フラフラと空き家に入ってしまいました。


 ピイロとピイルを相手に、精を絞り尽くす如く目眩めくるめく夜を過ごしてしまいました。

 美しいハーピー達に、劣情が既に限界だったので、何れこう成った事でしょう、後悔はして居ませんが、快楽におぼれそうで恐いです。




 3日後、ピイルとピイロが卵を出産しました。

 100人の王宮奴隷の一人、ピノコがわしに知らせてくれました。

 母さんにヒミコは嬉しそうに「ライおめでとう」「ライ兄おめでとう」と言ってくれましたが、メイ達戦闘メイド隊とセイラさん達エルフ航空隊の皆が、複雑な表情で(次は絶体私!!)何か呟いて居ました。


 わしは、責任上、ピイルとピイロ同室の二人に食事を運び、孵化まで一緒に過ごしました。

 信じられない事に一月後、わしとピイルピイロの子が孵化しました。

「「ライ様の子、命名お願いします!!」」

 我が子には、わしライのラの字を付けようと思って居ました。

「ピイル、最初に孵化した、この子はライカ、ピイロ、次の子はライア」

「ライカですね!!素敵な名前」「ライアですね!良い名前です!!」


 目出度く、2男の父親に成りました。

 我が子2人に命名までしたのに、我が子を抱きもしたのに実感が全然湧いて来ません。

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