第35話 苦戦
討伐隊は樹海に踏入ました。
太陽が中天にあるので、見通しは良好です。
ガルダ中隊長は慎重に進みます。
後ろを振り返り、手で制止の合図を送りながら。
「止まれ!!」
「ガルダ隊長、何か有りました?」
「
ガルダの注意を促す声と同時に矢が飛んで来ました。
「はっ!!」
ガルダは抜刀し、矢を切り落とします。
ドオォン!!
狼超人隊員が含み弾を放ったようですが、樹海の巨木が邪魔をして矢を射った相手には届いて居ません。
四方から矢が飛んで来ます。
ズドドドォンッ
上空から、ハイパー隊が攻撃して居るようですが、巨木の枝が邪魔をして、目標の
狼超人隊が矢の飛んで来た方向に、高速で駆け寄り、二人の
「参ったぞ!!茶色の兔人族、樹海では見つけ難い!!!」
「ガルダ隊長、ルデフさんが負傷!!」
ルデフを見ると、脚に矢が刺さり、痛そうに座り込んで居ます。
「ルデフ!大丈夫か?」
「·····かすり傷·····」
矢に毒が仕込まれて居たようで、ルデフは意識を失いました。
大急ぎ矢を引き抜き、矢傷から毒を吸出し脚をきつく縛り、毒がこれ以上回らない処置をし、退却です。
樹海の木がまばらになった所で、フィンが急降下して来て、ルデフを抱えて飛び立ちました。
抱えたルデフが冷たく感じます。フィンは焦りました。
フィン自身意識が飛びそうに成る高速飛行で、軍医施設に飛び込みます。
「ルデフさんが、毒矢にやられた!!解毒を急いで!!!」
軍医は手早く、ルデフの衣服を切り取り、状態を診て首の動脈に触れ、瞳の瞳孔を確認
「手遅れです、神経毒で心停止1340死亡を確認」
「嘘だろぉ!!軍医殿治療してくれ!!!」
高速飛行のフィンに気付いたライ国王が医務室に飛び込んで来て
「諦めるのはまだ早い!!!」
と叫んで、ルデフさんにキスして、胸を押さえ、キスして、胸を押さえる、を繰り返して居ます。
「軍医!!神経毒の解毒注射!!!早くしろ!!!!!」
と叫んで、キスと、胸押しをくりかえし、10分程経った頃ルデフさんの意識が戻りました。
「ライ国王様ぁ!!!!!死人を生き返らせたぁ!!!!!」
軍医は、奇跡を目の当たりにして、絶句状態です。
フィンは、ライ国王様に脚を再生して貰った事を思い出し、ルデフさんに命を吹き込んだ様に見え、感激で涙を流しながら、ライ国王様を拝んで居ます。
現代医療で、一般的な心肺停止状態の蘇生術ですが、知らないと奇跡か特種異能と勘違いする事でしょう。
毒のため、壊死を起こしたルデフの右脚は、医師の手により切断されました。
討伐隊のメンバーが、例の大衆酒場「飲ん平」で反省会を開いて居ます。
反省会と言うか、「呑まずにやってられるか!!」と言う所でしょう。
「で?ルデフさんはどんな具合なんだ?」
「それがさぁ!軍医に診せた時は、神経毒で死んでたのよ!!
軍医が「手遅れです、1340死亡を確認」なんて言って、
完全にルデフさん死んでたの」
「何だとぉ!!ルデフさん、右脚を切断したが、命に別状無いと聞いたぞ!!」
「ハックさん、話は最後まで聞いてよぅ!!
ルデフさんが死んじゃった!!って、私悔しくて辛くて泣きそうになったの!!
そこに、ライ国王様が飛び込んで来て、軍医をドヤシつけて、死んだルデフさんに命を吹き込んで、生き返らせたの!!!」
「ライ様が?うんうんライ様なら蘇生もやるだろうな!!」
「私も皆も手足の再生やって貰ったでしょ?
流石に蘇生は大変みたいよ!ライ国王様10分位、懸命に命を吹き込んでたの!!!」
「ライ国王様って、人間か?」
「私は2度降臨を見たが、ライ様には度々オーキョウ神様が会いに来てるぞ!!
ライ様はオーキョウ神様の使徒で、天下統一の使命を言い使って居るそうだ」
「噂では聞いたが、ガルダ隊長本当でしたか!!」
「ああっ!オキョウさんとか呼んで、オーキョウ神様と親しげに話してた」
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