第31話 カモ国、ノメ国占領

 ミラノ部隊長は、オロ家当主オロ-ジロクの娘だそうです。

 娘と言っても、台所下女だった母親を、ジロクが強姦し、産まれたのがミラノさんで、厄介払いみたいに、下士官としてオロ軍に配属させられました。


 本妻や側室の異母兄妹は、少尉以上の士官だそうで、あきらかな差別を受けて居たようです。

 何年経っても曹長から昇進していない、そんなミラノですが、多くの部下他の部隊の兵からも、慕われていたそうです。


 そんなミラノさんに、旧オロ、カモ、ノメ国を纏め、サイレイ第二の王都、ミラノ府として、再建してもらう事にしました。

 再建資金は、それこそ山のように有ります!!


 冬が近付いて居ます。

 一人の餓死者も出さないよう、資金を湯水のごとく使い、サイレイ、コウセイ家に留まらず、沿岸諸国からも、食糧物資を調達しミラノ府復興を急ぎます。



 カモ国、ノメ国は、同盟軍を瞬時に壊滅した、サイレイ国軍に恐れをなし、両国にサイレイが宣戦布告すると同時に、無条件降服してきました。


 オロ国の言いなりに出兵させ、全滅させられて、交戦するにも残存兵が、殆んど居ない両国でした。

 カモもノメも国として、終わって居ます、放置すれば領民達は、冬を待つこと無く、飢え死にする事でしょう。



 直観異能者のリネ姉さんと、リハツさん立ち会いのもと、戦犯裁判を開きました。

 カモ家、ノメ家70名と、両家の官僚軍関係者500名も、裁きます。


 結果400人は無罪放免、60人が処刑、リネ姉さんと、リハツさんの意見が別れたのが、80人も出ました。

 無罪の400人に陪審員になってもらい、30人は処刑、50人は両腕に犯罪者の刺青を入れて、主要都市追放の刑にしました。

 疑わしきを罰する、乱暴な裁きでした。

 裁きが長引くと、両国の領民が餓死します。

 ダラダラ裁判より、ミラノ府復興としての、緊急支援が優先です。


「人が人を裁くって、良い気分じゃ無いのに、無理なお願い聞いてくれて凄く助かりました」

 リネ姉さんとリハツさんに労いの言葉をかけると。

「人を裁くって、気分良く無い?ライ君何甘々な事言ってるの!!私は、悪の首謀者退治出来て、気分良いよ!!」

「そんな事よりライ様!機会があれば、お願いしてと、妹リエから頼まれて居たのですが、戦闘メイド隊に入隊したいそうです」

「リエさんが?良いですよ!!入隊許可します」

「有り難う御座います、リエを呼んできます!!」

 一緒に来ていたようで、嬉しそうなリエさんを連れて来ます。

「ライ様!!有り難う入隊許可して頂いて!!」

 護衛任務、幸い今日はメイ隊長、リエにメイド衣裳を渡し

「速やかに制服に着替え、護衛任務見習い同行!!」

「はい!!速やかに着替えて来ます!!!」


「メイ?メイド服の予備、持ち歩いて居るの?」

「メイドのたしなみです!!ライ様」



 わしも思う所は有りましたが、平和日本とは世界が違います、男女老人子供関係無く、処刑は迅速に実行しました。

 流石に赤ちゃん幼児は黒、灰色でも、保護処分としましたが、やっぱりわしも、元平和ボケ日本人、後悔する事になるのですが、先の話です。

 第二王都ミラノ府で、今まで奴隷の如く酷使されていた、ドワーフ男女600人が工兵隊に入隊しました。

 痩せ細り餓死寸前状態で助けられた、エルフ、狼獣人の話では、仲間は殆ど餓死したそうです。




 慌ただしく過ごす内に、雪がちらつく季節に為りました。

 完全では無いが、何とか対策は出来ました。

 屯田部隊のカラム芋が、飢えた人達に好評でした。


 12月1日

 モノコス家とリイナイ国から揃って、特使が訪れました。


「ライ様、私はモノコス家当主、モノコス-ショウズ............であります」

「ライ様、私めはリイナイ国当主、リイナイ-キイク、です」

「両当主自ら特使ですか、わしは、サイレイ国国王、サイレイ-ライです初めまして」


 わしの対応に、二人は驚いた顔をしています。

 オドオドと話す内容は、わしを非情な戦い方をする、荒々しい人物として、イメージしていたようです。

「二人が思って居る通り、敵には非情に為りますが、味方には不必要に甘いですよ、わしは」


「脅す訳じゃ無いが、二人は、敵ですか?味方ですか?」

「............私達二人で話し合いました」

「モノコス家と我がリイナイ国を、ライ様に献上致しに参りました!!」

「領土領民含め、全てを献上致します!!!」


 この後、モノコスとリイナイのセールスアピールが続きます。

 モノコス特産、砂糖大根精製の砂糖!樹液のシロップ!ニンニク類等特種野菜!

 リイナイ特産、養蜂の蜂蜜!蜂蜜酒!牛肉羊毛!

「今までは、燻製肉か干し肉しか、輸出出来ませんでしたが、サイレイ航空部隊で空輸して頂けたら、生肉の輸出も可能!!岩塩も特産品です!」


「分かった!サイレイ国が両家を取り込むと確かにメリットがある!」

「しかし、そうなった場合両家は何が得になる?」


 100年程前、私達両家はオロ家カモ家の一方的侵略に負け、それ以来軍隊を持つことを、禁止されて来ました。

(前世のどっかの国みたい)

 警備員と呼ばれる、戦闘員は居りますが、30人までと規制されて居ました。

 いつまでも、歯向かう事が不可能な、俗国としての位置付けが崩れない処置です。

(警備員は合法か非合法か、前世でも、非合法とか言われてたが、警察予備隊は、朝鮮戦争の時、進駐軍の意向で発足だった、不戦を誓わされた国の強制的に組織された、交戦権を剥奪された不思議な軍隊、似てるな!)


 ライ様にやって貰いたい事は、毎年雪に紛れて襲ってくる、蛮族の討伐です。

 力が強く、白くて大きな化け物退治を、お願いします。



 両家のサイレイ国統合化の、取り決めは此方の言いなり、化け物退治以外希望は無いようです。

 サイレイ国に成れば、繁栄は保証されたようなものですが。



 白くて大きな、雪に紛れて襲ってくる蛮族。情報が少な過ぎです!!


 狼獣人やエルフ、ドワーフ達に聞いても誰も知らないそうです。

 ハーピーのハープさんが「ペリル、雪土人の話、以前話してたでしょ!」

「ライ様、私がお爺様に聞いた話で、正確か分かりませんが............」

「情報は有り難い!不確かでも、何か知ってたら教えて!!」


「白い毛に被われた、雪男に雪女、雪土人が居るそうです」

「ひどく臆病で、人前に姿をさらす事が無くて、お爺様は上空から姿をチラッと見たそうです」

「白く大きな身体をして、此方を見上げた顔は人の顔だったそうです」


「ペリルさん、貴重な情報有り難う!」

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