第24話 オ-カ-ノ-3国同盟

「発見されて、戦闘になっても良いように、各自臨戦体制で進め!!」

 オロ国将軍ボゲノが、発破を掛けます!

 ボゲノ将軍は、不安を打ち消すように、更に言います。

「サイレイ軍は、土人を上手く使い、最強軍団になって居る!!」

「我らの任務は、土人兵と戦闘し、感触を掴み情報を持ち帰る事にある」

「注意して戦闘時に、弱点等何でも情報を掴め!!」


(無理言うな!!2~30人で5000のブレイ軍を打ち負かせたと言う、化け物軍団に、どんな弱点がある?戦えば舜殺されてるさ!!)


(あんただけ、無事帰還する気だろ、俺達は捨て石!!)


(人質の家族............本当に金貨1枚支給されただろうか?)


 兵の士気は最悪です。

 誰も生きて帰れるとは、思って居ません。

 逃げる事も出来ず、希望は、出来るだけ苦しまずに死ぬ............


 オロ大橋を渡り、今日で6日目、常に辺りを気にしての行軍、疲労は既に極限です。


 ぼーっと空を眺めて居た俺は、何かが高速で飛んで来ているのに気付きました。

 空を指差し「あれは何だ!!何か飛んで来る!!!」


 全員空を見上げます。

「人が............空を......飛んでる............」

 弓兵が矢を射る構えをします。


 飛んで来た人が、大声で警告して来ました。

 女性?子供?高く良く通る声でした。


「そこの弓兵!矢を射ると、身体が爆散するぞ!!」

 空を飛ぶ者の言葉です、弓兵達は竦み上がります!!


 ボゲノ将軍が大声で「射て!!!」と、叫びました。

 その声を最後に、轟音が聴こえ、ボゲノ将軍だった物は、辺りの将兵と共に血の煙になって居ました。


「母さん、ナイス!!」

 飛行中の攻撃判断は、攻撃隊員に一任されて居ます。

「武器を捨て、降参せよ!!」

「捕虜は殺さん!!!」


 反射的に武器を、放り出して居ました。

 辺りを見ると、一人残らず、武器を放り出して居ます。


「わしらは、サイレイ航空隊である!!」

「お前達の所属を言え!!」


 誰も答ず、俺をチラ見して居る。


(残った指揮官は、俺だけか............)

(百姓出の指揮官の俺に訪れた、ピンチかチャンスか、考えろ!!)


 降り立ったサイレイ航空隊は、ざっと見た所、

 40人程の森土人に、10人のハーピー??

(見間違いじゃ無い!凄い!ハーピー!!本物だ!!!)

(この指揮官15才位だろうか?姿を隠し、人から逃げるハーピーを従えるとは!!)


(吉か凶か............感がこの男に従えと言ってる!)


「............俺がこの隊の、指揮官です!」


 この時語り掛けた事が、うだつの上がらない、百姓上がりの下士官、俺の転機だった。


「君の名前と、階級を聞いて良いか?」

「わしは、サイレイ-ライ、サイレイ国、国王です」


「!!国王様?」

 俺はとっさに、膝間着きました。

「あっ、そう言うのは良い!我が国では、誰もやらん礼だ!!」

「名前と階級を教えてくれ!」


「失礼しました!自分はリハツ兵長で有ります!」

「自分達は、故郷の家族を人質に取られ、無理矢理進軍させられて居ました」

「自分達は、サイレイ国に対し、全く敵意を持って居りません!!」


 100人程の兵士全員が頷いて居ます。


 ズッダーン!!

 俺達全員、ボゲノ将軍の血煙を思い出し、身が竦み上がります。

 轟音が響き、見ると巨大なクマが千切れ飛んで居ます。

 攻撃したのは、メイド服を着た美しい女性です!


(どんな攻撃?異能か?クマが千切れ飛ぶ一撃など見た事無いぞ!!)

(サイレイ国軍は、メイドですら、噂以上に恐ろしい実力を持ってる!)


 サイレイ国王が言います。

「この森の中では話も出来ん!」

「これから、サイレイ航空隊が、諸君達を空輸する」

「高空を飛ぶので、怖かったら目をつぶって居れば良い」




 森土人の女性が後ろに立ちます、密着され、胴が太いベルトで縛られます。

「飛び立ちますよ!」

 土人女性が声をかけて来ます、ベルトは女性と繋がれて居ます。

「わっ!!!」

 思わず悲鳴に近い声が出てしまいました。


(本当に空を飛んでる!!!)

(航空隊か............空から攻撃されたら対処しようが無い!

 盾などでは、さっきの攻撃防げない!!)

(それよりも、何故人や土人が空を飛べる?ハーピーなら兎も角?)

(3国同盟軍、無謀な戦いを始めたもんだ..................)


 白く綺麗な建物の建つ広場にフワリと降りて居ました。

 ベルトを解き、俺達は放置されました。


 サイレイ航空隊は飛び去って行きます、残りを迎えに行ったのでしょう。

 下士官に支給のボロ懐中時計で、時間を確認します、彼女達が何分で帰って来るか。


 自分達は待機していた、メイドに案内され建物の中に通されました。

 メイドの襟章を見て驚きました。

「中級指揮官殿!!!」

「気にしないで!航空隊員は殆どが士官だから」


 広い会議室に通されました。

 着席すると、即飲み物が出されました。

 飲み物は、今まで飲んだ事の無い、飲み物でした。

 洗練された文化、オロ国やカモ国、ノメ国みたいな野蛮で下品な者達と大違いの国でした。


「貴方が侵略軍の指揮官さんでしょ」

「自分は、オロ軍兵長のリハツで有ります!」

「私はサイレイ国軍、戦闘メイド隊、隊長メイ中級指揮官です」


「戦闘メイド隊ですか?」

「隊員のレイを見なかった?」

「......あっ!クマを千切り飛ばした、メイドさんが居ました」

「クマを倒したの?その娘がレイ初級指揮官だわ!」


「戦闘メイド隊は国王のライ様直属の隊なのよ!!」


 美しいメイドと話してる内に、残りの部隊員がやって来ました、16分経って居ました。


 捕まった位置は森の中間だった。

 自分達が6日間掛かった距離を、10分足らずで移動したのか!!!



 大サイレイ国は、軍事力、文明に置いても聞いた事も無いレベルでした。

 部隊員全員、言い含めて、亡命するしか無い!!!

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