第11話 独立部隊長ライ

 中級指揮官に昇進したわしは、部隊長に就任、リネ隊長は、独立部隊総司令官に昇進しました。


 避難場所まで帰り、約束通りエルフ達の要望を聞きます。

 人員の内訳は、セルを含むエルフ9人、獣人6人になります。


 エルフのリーダーヨイルと獣人のリーダーガルダ、2名が代表で話始めました。


「我ら全土人の希望です!お聞き入れ願えれば、これ以上の幸せは有りませんじゃ!!」

「ライ様のようなお方に、是非お仕えしたい!!!」


「皆それで良いの?わしは、6才の子供だぞ!」

「ライ様は、我ら土人を人として話をして下さる!」

「セルにも聞きましたじゃ!!土人なのに、薬を使い治療して下さったそうで!!」

「わしら全員、話を聞いて泣きました!!!」

「ライ様のような方に巡り会え、オーキョウ神に感謝の祈りをした位じゃ!!」


「我ら、命を賭けてライ様のお役に立ちます!!是非お側に置いて下さいませ!」

 15人が一斉に土下座です。


「分かったから!立って下さい!!」

「皆さんの適性を考慮して、わしの役にたってもらう!」


「その前に!土人とか卑下しないで下さい!皆さんもわしも、同じ人間です!」

「わしの信念は!!」

{天は、人の上に人を作らず!!人の下に人を作らず!!}


「能力により、区別はしても、決して差別は許されない!!」


「此れからは、共に助け合って行こう!!!」

「オーーーーーーーーッ!!!!!!」

 獣人、エルフ達が泣きながら、雄叫び!!

 腹に響くような、答えが帰ってきました。




 わしの嘘偽りの無い話に、よほど感銘を受けたのか獣人6人が、

「私達は、お役に立つには力不足、ライ様の剣技、ご指導願います!!!」

 ガルダを含めた4人には、普通に剣術を教えました。

 基本の米の字切りを、やって見せます。


 右からの袈裟懸け、手首を返し刃筋を整え右上に切り上げる!

 左から袈裟懸け、手首を返し刃筋を整え左上に切り上げる

 真上から切り落とし、手首を返し刃筋を整え、真上に切り上げる!

 右横から真横に薙ぎはらい、手首を返し刃筋を整え、左から真横に薙ぎはらう!


 此を何度も繰り返しやって貰います。

 頃合いを見て、背の低い人と打ち合い!

「皆!よく見て!」

 擦り上、切り落とし、二段打ち、三段打ち、受け流し、巻き落とし。


 巻き上げは、無理!!柄の握りが甘くても、下には落とせても、下から上に巻き上げると、グッと柄を握られ、手から剣は離れない!!

 決まれば派手で格好いいが、決まらない事の方が多い。


 ゆっくり目に技を繰り出します。

「2人組で技を掛け合って!ゆっくり繰り出して身に付けて!!」


 この間に、剣が持てない、鋭い爪の獣の手をした2人には、格闘技の基本を教えました。

 人体の急所、喉に金的脇の下、延髄に肝臓裏。

 頭脳の揺さぶり方に、指をバラけさせ、スナップをきかせた裏拳目潰し!

 拳のインパクトの瞬間手首を回し、えぐるように打ち付ける!


 正面蹴りに回し蹴り上段中段下段に、後ろ蹴り!

 足業のストッピング!!

「上出来!次に防御!受け流し!反撃をやって見ます」

「そっちの背の低い人、名前は?」「リンナです!」

(女性だったのか......殆ど狼だから獣人の性別解りにくい!)

「背の高い方の人、名前は?」「ノエラです......」

(この人も女性か!)「しっかり見てて!!」

「はい!ライ様!!!」

「............じゃ、リンナさん正拳突き攻撃して来て!」


 獣人の身体能力、半端で無い!!

 この程度教えただけで、即戦力に成りそうな感じです!



 男性エルフ5人も「弓兵としてでしたら、即戦力になります!」と言って来ました。

 装甲車に搭載の弓で、腕前を見ます。

 結果、最年少9才のラスカですら、遥か先の的に必中の腕前でした!


 女性エルフですが、セルちゃん以外の3人、皆若く見えますが、精霊術と言う物が使えるらしい。

 一番年上らしい、セイラさんは風系が得意だそう!

 サイスさんは、土系が得意と言ってます。

 イスカさんは、水系が使えるそうです。

 精霊術と異能が、どの様に違うのかよく解りません。


 セルちゃんは、彼女らと種族が違うそうで、弓の方が得意だそうです。

 弓で矢を射って貰いましたが、矢に火を纏わせて居ました!!

 弱いけど、火の精霊術だそうです!


 何!!それ!!

 凄過ぎ!!

 こんな特技持ってるのに、何で底辺の暮らししてたの?


「我ら土人は、戦う事を禁じられておりました!」

「武器に成りそうな物、棒切れ一本持つ事は許されません!」


「誰が禁止したの?」「ワルタ家です!」


「帰ってから、武器は支給するが、取り合えず装甲車搭載の剣、ナイフ、弓、勝手に使って良いよ!!」

 戦闘メイドのセレンさんが案内し、銘々仮の得物を受け取って居ます。


「リネ総司令殿!勝手に隊員増やしたけど、大丈夫?」

「隊員採用は、ライ隊長権限で問題無いわ!」

「ただし、新隊員全員、初級個兵審査受けて、合格したらだけどね!!」


 この話を聞いていたエルフ達は、

「我ら土人に、正式に兵の位を授けて下さるとは............」

 と、凄く感激してました。


 当主直轄はこう言う時便利です。

 コウセイ-ジロスに申請し、簡単な審査で全員、赤星が1個の襟章を授かり、初級個兵になりました。

 鞣し革製の簡単な防具も支給しました。


 エルフ、獣人、全員笑顔で泣いていました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る