第10話 思いがけない報償

 伝令がやって来ました。

「コウセイ家当主が、独立部隊をお呼びです」

「伝令、戦況は?」

「完全鎮圧終了です!」

「分かった直ぐ行く、案内を!!」


「避難民!食糧を置いて行く、この場で待機してくれ!!」

 エルフと獣人のリーダーの了解を貰い、コウセイ当主の所に行きます。


 コウセイ当主は、隊列を組んだコウセイ軍から、順に戦果報告を受けて居ました。

 わし達の到着を見て、直ぐに声が掛かります。


「次!リネ独立部隊報告を!」


 リネ隊長が前に進みます。

「報告します!」

「我が独立部隊は、避難民15名を保護し、西門1kの待機場所にて、逃走して来たワルタ家当主率いる精鋭200と交戦!ライ上級騎士の異能により撃破!!」

「我が部隊の被害、ワルタ弓兵の攻撃で、ジン上級個兵、戦闘メイドのメリルが負傷!!」

「報告は以上!」


「たった4名の隊員で200以上を壊滅と!!!」

「上乗の働きご苦労であった!!」


 しばらく待機を命じられ、再度呼ばれた所は、全コウセイ軍が、隊列を組む最前列でした。


 コウセイ家当主、コウセイ-ジロスが声を掛けて来ました。

「正式な報償は、帰還後になるが、仮の報償をこの場で授ける!」


「リネ隊長以下3名前に!!」


「コウセイ-リネ中級指揮官、この度の働きにより、上級指揮官を授ける!」

「慎んで、お受けします!」


「サイレイ-ジン上級個兵、この度の働きにより、初級騎士を授ける!」

「つ............つつしんで、おうけします」


「サイレイ-ヒミコ上級個兵、この度の働きにより、初級騎士を授ける!」

「慎んで、お受けします!」


「最後に、サイレイライ上級騎士!この度の働き、あっぱれである!!よって中級指揮官を授ける!!」

「つ?慎んで、お受けします!!」

(いきなり中級指揮官!こんな子供に与えちゃダメだろう、絶対文句言う奴出てくる!!)


 わしが思った通り、古参の指揮官から、不満の声が上がりました。

(コウセイ-ジロスの人柄だな!この場で意見が普通に出せるって)


「第4部隊長、ドス中級指揮官試合をやって見るか?」

「望む所です、是非!!!」

「ライ君すまん!相手をしてやって呉れるか?」

「はい、良いですよ!」


「ライ君、ドスは異能が使えん!悪いが異能無しで試合して呉れるか?」

「はい......」(異能使いたくても、使えない!あれだもんね......)


 全隊員、コウセイ軍全員が見守るなか、大男のゴツイ中年オヤジと試合する事になりました。


 さすがに真剣でなく、木剣使用の試合になりました。


 互いに礼をし、木剣を構えます!

「いざ!!!」


 中年オヤジ、流石、剣一筋でのし上がっただけはあります!

 曲者の剣筋!フェンシングのような、片手突き!下からの切り上げ!

 色々多彩な攻撃が来ます!!


 普通は振り下ろす、横に薙ぎ払う位ですが、

 本式の剣の振り方は米の字、上方下方左右の横、計8方向からの振りが基本です。

 ドス中級指揮官はこれが、出来てる!

 でも、父と比べると、全然ダメダメです。


 打ち合うと、所詮は子供の体力、力負けします。

 のらりくらり、逃げ回っているように見えたのか、ここが勝機と全力で打ち込んで来ました。


 半歩の移動で体を交わし、殆ど当てるように喉への突き!!

 勝負あったはずなのに、中年オヤジの悪足掻き!

 木剣を横に薙ぎ払って来ます!!

 一歩半移動で交わし、力を込めて個手打ち!

 と、言っても手は打たず、木剣柄部分を打ちました。


 カラカラと音を立てて、中年オヤジの木剣が転がって行きます。

 空かさず、剣先を相手の喉に突き付けました!!

「まいった!!」

「凄い!!!」コウセイ軍から、思わず声が漏れました。


「ライ君すまなかったな!」

「ドス中級指揮官は、剣技に置いてはコウセイ軍随一の実力者!」

「軽くあしらうライ君は、流石サイレイ-シンの息子!!あっぱれであった!!!」


 コウセイ家当主の、説明っぽいお褒めの言葉で、わしの素性がコウセイ軍に浸透したようです。

 コウセイのじいさんの心遣いに感謝を!!


 この勢いで、代官統治されている、サイレイ家解放に向かいます。

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