第8話 独立部隊初任務

 私は今でも、サイレイ家がコウセイ家の、本家筋だと思っておる。

 サイレイ-シンのような怪物や、ライ君のような規格外が産まれるのが、良い例だ!!

 ヒミコちゃんにしても、普通じゃあり得ない!!

 二人の凄さに霞んでおるが、ジン君にしても、尋常でない異能だ!!

 君らさえ良ければ、コウセイ家の為にも、コウセイを名乗って欲しいくらいじゃ!!

 時間はいくらでもある、考えてはくれんか?


 それから、3日後ワルタ家討伐が始まる!

 3日後の早朝、宣戦布告通知、即進軍、殲滅する!

 戦いはワルタ壊滅まで、終わることなく続く!


 リネ独立部隊は、遊撃隊として参加すること!!

 以上!何か質問は?

 無いなら、解散!



 わしらは、ラウンジに集合し、詳細打ち合わせを始めました。


 何処からか、メイドが2名あらわれ、冷たい飲み物が配られた!

 何?この至れり尽くせりは!!

 メイドって、何処に控えてたの?


「私達独立部隊は、明朝1000、ワルタ家に向かい出発する!!

 移動には、装甲車を使用する!」


(へぇーー装甲車を使用出来るのか!!)

 装甲車とは、豪馬2頭立ての、鋼鉄補強された車両で、最高司令官の乗り物のはず......

 間違っても、上級騎士や上級個兵程度が乗って良い物じゃ無いはず!


 我々の任務は、3日後の討伐に先駆けての、情報収集にある!

 あえて、危険は犯さないようにしたいが、状況によっては、戦闘を指示する事もある!!


 私は、戦力にはならんが、状況本質を見極めるのは得意だ!

 安心して、指示に従ってくれ!!

 解散!ゆっくり寝てくれ!




「すっげぇーーーこれが装甲車か!!」

 何故か御者席には、メイドが乗ってる!

 車内にも、メイドが乗ってる!!

「私達は、リネ様専属の戦闘メイドです」

「御者がセレンで私がメリルです、宜しくお願いします!!」

(えっ!戦闘メイド??)「............よろしく............」

(ラウンジで、何処からかあらわれた、メイドだよね?)

(............戦闘出来るの?)

 ジンとヒミコも呆気に取られてる!


(まっ............戦いにならなければ......問題ない............事も無いぞ!!)

(思い悩んでも、疲れるだけか!)



 装甲車は乗り心地最高!!

 気持ちよく進みます!速い!!!


 ............わっわ!!!何ぃーーーこのスピード!わっわーーー

 このままでは、確実に酔う!!

 異常な速さでぶっ飛ばす装甲車、夜営予定地通り越し、もう殆んどワルタ家周辺まで、一気に駆け抜けました。


「もう......ふらふら」

 身体が出来て無い、6才児には酷しい!!


 夕食準備は、流石メイド!プロだね!!

 あっと言う間に出来上がり!

 組立式のテーブルに、開くと座れる木製チェアーまで用意されていました。

 これだけの物、何処から出したの?


 夕食中、林の奥が、不自然に揺れます!

 わしは、何気なく話し掛けてます。

「お腹減ってるなら、遠慮せずに出ておいで!」

「食べ物をなら、いっぱいあるよ!!」


 声に無意識に釣られたのか、話し掛けたのが子供で、安心したのか、それとも、なりふり構っていられない程、飢えて居たのか、ふらふら出てきたのは............

(わっ?耳が!!)

(子供のエルフ?始めて見た!!!)

 ふらふらと、歩き方が変!怪我をおって居る!!

 わしの前まで来て、どうしようか迷って居る様子。

 メイドに席を用意してもらい、「此処に座って!」

 立って居るのが辛かったようで、崩れるように子供は座りました。


 パンと肉を適当に盛った皿を差し出すと、もきゅもきゅ食べだしました。

「慌てず、ゆっくり食べて、慌てて食べると、身体が受け付けないよ!!」


 顔は汚れていますが、綺麗な顔立ちをした子供です。

「話は出来る?わしはライ、君は?」

「............セル............です、もきゅもきゅ」

「あっ飲み物!」セルはカップを受け取り、ゴキュゴキュ、一気に飲み干しました。


 何か、小動物的可愛さが............前世のヒミコみたい、癒される!!


「お代わり......いる?」

「有り難う............お腹いっぱい!」

「落ち着いたら、セルがどうしたのか、話してくれる?」

「歩けない、ジャマって............捨てられた」


「ちょっと足見せて!」

 セルは、おとなしくしています。


 ............捻挫だね、骨折はしていない。

 治療箱から、シップ薬と固定具包帯を取り出し、手早く治療します。

「これで大丈夫、腫れが引くまで無理をしないよう」

「わしは、6才だけど、セルは何歳?」

「7才............よ」「少しお姉さんだね」

「私は............森土人よ!!お姉さんじゃ無い!」

「会話も出来るし、そんな綺麗な顔をしてるのに、土人は無いでしょ!!」

「ライは変わってる!私を嫌わないの?」

「嫌う?理由が無いでしょ!」


 セルは、泣き出したました「始めて............こんな親切............」


 事の成り行きを、黙って見ていてくれた、皆がホッとして、会話を始めました。


 セルの汚れを拭いて、着替えを手伝うよう、メイドに頼みました。


「ライ君、セルちゃんを、どうするつもり?」

「放っては置けないでしょ!!ワルタに、装甲車で乗り込む訳じゃないし、車の中で待機してもらえば良い!」

「そうね............メイドも1人装甲車の番で残るし、問題ないわね!!」

「リネ隊長、直感でセルは、スパイじゃ無いって感じた?」

「ええ、問題ないわ!」


 装甲車から出てきた、セルは、見違えるように綺麗でした。

(何でメイド服を着てる?)


 再び装甲車が走ります。

 昼間と違い、ゆっくり走るため、揺れも少なく、ゆっくり睡眠が取れました。


 無茶な行軍でしたが、その甲斐あって、早朝にはワルタ家の建物が見えて来ました。


 此処からは、徒歩の行軍です。

 戦勝に沸き立つワルタは、まさかコウセイ家が討伐に来るとは、夢にも思っていない様子です。

 独立部隊4人と戦闘メイド1名は、堂々と正面からワルタに入りました。

 卑怯者ども、明日になって、後悔しながら絶望しろ!!

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