第5話 独立部隊

 コウセイ家の門を通ると、圧巻の風景が目に飛び込んで来ました。

 流石に軍事大家!受付がある第一棟ですら、サイレイ家の城より大きい!!

 何に使われて居るのか、同等の城が数十棟も建ち並んで居ます!!!


 受付では、ビル所長が説明して居ます。

 わし達は、即座に応接室に通されました。


 応接室で待って居たのは、10代と思われる、整った顔は幼さの残る女性でした。

 ただ襟章は、金線に金星2個、中級指揮官の物でした。


 思わず、わしは直立不動で敬礼していました。

 女性は答礼しながら。

「いいわよ!そう言うのは............サイレイ-ライ君」

「お掛けなさい......」

「はっ!!」

「そんなに、かしこまらないで」

「先ずは、上級個兵合格おめでとう!」

「有り難う御座います」

「審査は見せて貰ったわ、年齢が10才以上なら文句無し、中級指揮官の実力だったね!!!」

「..................」

「単刀直入に言うわ!ライ君他2名!纏めて、私の隊に入りなさい!!」

「申し遅れた、私はコウセイ家当主の孫、コウセイ-リネです」

「生憎横槍が入り、入隊は無条件とは行きません」


「ジン君とヒミコちゃんは、中級個兵の借り資格を取って貰います」

「ライ君も、中級騎士の借り資格審査を受けて下さい!」

「えっ?......」

「借り審査とは言え、合格すれば正式資格が与えられるわ!」

「審査は相当厳しいから、合格すれば無条件よ!」


「詳しく事情を、お話願えませんか?コウセイ上官の隊に入隊すると、どうなって何をすれば良いか、理解出来ません!!」


「借り審査の会場に移動しながら説明するわ」


 新組織の独立部隊が発足する!

 君達が入隊するのは、その独立部隊になる!!

 との簡単な説明でした。

 もし借り審査に落第したとき、知り過ぎて居れば問題になるため、取り合えずは合格してから、と言う事でしょう。


 ビル所長が、引き続き案内してくれて居ます。

 武道館でしょう、厳つい建物に案内されました。

 ビル所長は、これで失礼します!と敬礼し帰って行きました。

「ビルさん、有り難う!!」振り返り直立不動で「ご活躍を!!!」

 ?活躍?どう言う事?

 ビル所長は、明らかにわし達がどうなるか、事情を知らされてる!


 会場は、只広いだけの、ガランとした場所でした。

 中央に、初級騎士の襟章をつけた、長身の男が二人、初級指揮官の襟章を付けた、ムキムキ男が1人立って居ます。

 地面は土を踏み固めただけのようです。

 観客席には、眼光の鋭い老人が1人だけ居ます。


「先ず、ヒミコちゃんから、始めて!相手はスラがして!!」

「ヒミコちゃんは、どんな事をやっても良いから、この相手スラを倒して!!」

「ちゃんと勝てば、中級個兵よ!!」

「準備は良い?............始め!!!」


 スラと呼ばれた初級騎士は、剣を構えヒミコに襲い掛かりました。

 相手が小さい女の子でも、容赦ありません!ヒミコを殺す気のようです。


 今にもヒミコが切り殺される!!

 思った瞬間、スラの剣が粉々に弾け飛びました。

 スラが柄だけになった剣を、呆然と眺めて居る間に、ヒミコがスラに殴り掛かりました!!!

 ヒミコの念動で、吹っ飛ばされた長身男は大の字でのびて居ます。

「其まで!!ヒミコちゃん合格!!」


「次はジン君、準備して!」

 ジンは木剣を借りてもう1人の初級騎士に対します!


「ズーロも本気で、相手を殺す気で行きなさい!!」

「それでは............始め!!!」


 勝負は、一瞬でした。

 ズーロと呼ばれた初級騎士は、何が起こったか、訳の分からない内に、気絶していました。


「ジン君合格!!威力は弱いみたいだけど、念動器用に使うわね!!感心したわ!」


 何度も見たジンの念動、弱い念動だが、押すと引くを器用に同時に発動する闘い方!

 今の場合、ズーロが前に出ようとする、その勢いを利用して、両足首を押す、同時に頭を引き付ける!

 ズーロは、へその当りを軸に、クルリ高速前転!!

 顔面を、地面に打ち付け気絶!!!

 と、なった訳です。


「最後はライ君、前に!!ゼブ相手をして!!!」

 ゼブと呼ばれた、初級指揮官は、流石に強そうです。


 わしは、5才の誕生日に、父から貰った剣を腰に差し、初級指揮官に相対します!!


 互いに礼をして、抜刀!

 互いの呼吸が合った!


 リネの「始め!!!」が掛かります。


 ヒミコやジンの前で、無様な事は出来ません!

 実力の違いを、ゼブやリネ、観客席の老人に見せ付けてやる!!!


 ゼブの剣筋は素直過ぎです。

 大上段から、真っ向唐竹割り!!

 振り斬る剣の、軌道間合いは、しっかり見切りました!!


 鼻先スレスレを、ゼブの大剣が通り過ぎます。

 瞬間切り落とし!!!!

 力を込めたため、ゼブの手から剣が消えます!!


 わしは、剣先を、ゼブの首に突き付けてやりました!

「まいった!!」堪らずゼブが叫びます!


「其まで!!!ライ君合格!!!」


 無事3人全員合格しました。



 リネは、わしの襟章上級個兵を外し、中級騎士の襟章に代えます。

(金の星が1、2、?3個?)上官殿!星が違います!!

 此で良いの!審査の内容が素晴らしい物だった3人とも!!

 予定より1階級上の襟章よ!


 わしの襟章は上級騎士に代わった!

 ジンとヒミコも審査内容が素晴らしいと、赤星3個の上級個兵の、襟章を付けて貰って嬉しそうです。


 おもむろに、老人が話し掛けてきました!

「私はコウセイ家当主、コウセイ-ジロスである!」

 孫のお遊びに、付き合う気持ちで見て居ったが、

 サイレイ家の面々、見事であった!!

 1段上の級を与えたのは、私の判断!

 サイレイ-シンの子らに対する、非礼の詫びもあるが、それ以上に3人とも、もっと上を与えても良い位の実力であった!

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