第4話 3人の傭兵

 隣の地ワルタ家が、遠征の途中と言い、夜営地の使用を打診して来ました。

 迷惑は掛けない一夜夜営をして、明日には出立する。

 迷惑料の品を持ち、使者が来ました。


 ワルタ家は少し離れた地の、同じ位の弱小家!!


 夜営地より、闇に紛れての奇襲に、全く無抵抗状態で父母は殺されたそうです。

 こうしてサイレイ家は滅びました!



 ジンに託されて守られた、ヒミコのみ逃げ切り、ライに急を告げる事が出来たそうです。

 ヒミコは父シンから、最後の言葉を託されました。

「ライとヒミコさえ無事ならば、サイレイ家は再建される!!ライ!後は頼む!!!」


 戦乱の世には、父母はお人好し過ぎた............。

 しかし、それは別問題!堂々と力押しならともかく、卑劣な騙し討ちとは............。


 ワルタめ、思い知らせてやる!!!


「ライ兄、母さんからお金を預かって来たよ!これ......」

「母さん!............」

 渡された金額は、3人が生活するには多すぎる金額でした。

「これは、大切にしまって置いて、サイレイ家再興のために使う!!」


「此れからは3人で、傭兵団を組み、日銭を稼ぐ!良いね!!」

「ジンも頼む!」

「はっ!!ライ様!命に代えても、お二人をお守り致します!!!」


「ジン誰を守るとかじゃなく、たった3人......力を合わせ頑張ろうな!」

「年も、わしと同じ6才だろ?」

「は!!6才であります、ライ様!!」


「......同じ年でも、便宜上わしを、ライ兄と呼んでくれ」

「ヒミコはジンの事は、ジン兄と呼ぶように」

「うん!ジン兄宜しく❤」

「恐れ多い!!ヒミコ様!!!」


「ジン、話が進まんぞ!!此れからは3人兄妹として、行動する!次男が妹を様付けて呼ぶな!!!」

「咄嗟の時、変な呼び方しないよう、平素からヒミコは呼び捨て!わしは、ライ兄、分かったな!!!」

「............はっ!仰せのままに!!」「はぁ......固いね」

「わしは、念動使いとして、ジンの器用な所を頼りにしておる!」

「わしは............剣しか取り柄が無いからな」


「そんな私など、ライさ......兄の強さは良く存じ上げて居ります!!」

「それに、私の念動など、ヒミコさ......の念動に比べれば、赤子も同然!!」


 ジンの念動は、確かに弱いが、使い方が巧みで、驚く程の効果が発生する!


「まっ良いか......早速コウセイ家に傭兵として、雇って貰おう!」


「成り立ての資格だが、上級個兵だからな!わしは!!」




「帰れ帰れ!ここは貴様ら子供の遊び場じゃ無い!!」

「ふっ......」

 早速の障害............子供の身体は不便だね!

「門番!初級個兵!!この襟章が見えんか!!」

「ん?じょ?上級個兵殿!!失礼しました!!!」

「通って良いか?」

「............どうぞ、お通り下さい!!」


 不条理かも知れんが、その為の厳しい審査の資格、上級者には例え子供にでも服従する!!


 審査後で良かった!一歩間違えると、路頭に迷う所だった!!

「門番!司令部は何処だ?」

「はっ!第一棟一階が受付であります!」

「有り難う!生意気なガキで御免ね!」

「当然で有ります、上官殿!」

「我が家が騙し討ちに逢い、余裕がないのだ!!」

「............騙し討ち......‼サイレイ家の方でしたか!!」

「そう言う事情でしたら、ご案内させて頂きます!」


「そこまでして貰う訳にはいかん、部署を離れる事は出来んでしょ?好意には感謝する!」


 門番は、詰め所に向いて、大声で「おい!交代だ!」

「自分は門番所長で有ります!自分が案内すれば受付が速く済むで有ります!」

「好意に甘えよう」

「わしは、サイレイ家長男、サイレイ-ライ、そちらは兄妹のジンとヒミコだ、宜しく」

「自分は門番所長ビルであります、家名は有りません、ではご案内します!」


 横柄だった門番は、意外に気の良い兄ちゃんでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る